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第一回公式イベント ⑤

 二人の力を得たことでポイント総計がものすごく高くなっていた。

 完全なる味方を得たわけで、運ぶリスクも分散されている。交換所の前で私が受け取ってポイントに換算すればいいだけだからな。

 私の今のポイント総計は10000Pだ。


 私たちがフィールドを歩いていると私たちの動きが止められる。そして、目の前にモニターが現れた。

 どうやらお昼のようだ。一度プレイヤー全員の動きを止めて昼休憩に入らせるって言っていたな。昼をまたぐのでおひるごはんはきちんと食べましょうということ。

 

 私たちは一度ログアウトして、昼ご飯を食べて開始時刻である1時を迎えた。


『はーい! 美味しい昼ご飯は食べてきたかな!? 昼の部、開催だぁああああ! の前に~? みんなも気になってるんじゃないかな。自分が今、どの位置にいるのか』

「ランキングですね!」

『みんなの手元に中間順位のデータを送ったから確認してね。では、再び開催!』


 そういって、私たちの動きがまた許された。

 私は中間順位を確認してみる。私の名前は……。


「2位か」

「まだ上がいるのですか!?」

「いるなぁ。こいつ、知ってるな。結構有名な箱のVだ。私と同じ手段使ってるのかもしれないねぇ。現に二人はめっちゃ下っていうか……0Pもちらほらいる。こんな昼までポイントを獲得できてないやつってそうそういないだろ。安いやつほど復活するし、持ち運びも簡単なんだから」

「なるほど……。たしかに0Pが結構いますね」

「我とマルーンも0だ。運営的にはこの動きも認めているのだな」

「そりゃ、個人戦ではあるけど誰も人のために動いてはいけないとは言われてないからねぇ。不正とは言いづらいよ。一人で真面目に頑張ってる人からしたらふざけんなって話だけど」


 推しを1位にしたい者、自分が1位になりたい者。様々な人間の思惑がイベントで蔓延っている。

 

「まぁ、運営としても何か対策は立てるんじゃないかな。こういう動きするのはフェアじゃないしね」

「ですね……。ボクとしたことが……」

「ならばどうするのだ。我らがやめたとしても、この1位の人はやるのだろう?」

「まぁそういう疑惑があるってだけだからなー。怪しきは罰せず……なんだろうけど……。うーむ。この人いろいろと危ないうわさある人だから近づきたくないし」

「危ないうわさ?」

「今カメラ回してないから言うけどこの人、いろんなゲームでチート使ってるんじゃないかって疑惑があるの。声が可愛くて大手所属だからだーれも言えないし、ただただ疑惑ってだけなんだけど……。ゲームスキルとかそこまでないのに上位にいたりするから怪しいってだけ」

「そうなんですね……」

「この噂はまぁ有名だけどね。リアルで会ったこともコラボしたこともないから……」

「あら、本当よその噂」


 と、茂みから現れたのはママだった。

 ママははぁと溜息を吐く。


「あれ、ママ知ってるの?」

「知ってるも何も同じ箱よ? 何回かコラボさせられたことあるのよ。彼女……強引でね……。オフでゲームしてた時、チート使ってるんだってこぼしてたわ」

「なるほどぉ……」

「ばれるのは時間の問題ね」


 ママはあきれたように溜息を吐いていた。


「ママ、お疲れ?」

「ええ……。さっきまでその1位の都城みやこのじょう さくらちゃんと話してたの。というか、少し優しく注意したのよ。リスナーにお宝集めさせるのはやめたほうがって」

「うっ」

「あの子、ルール違反ではないってだけ言って返したのよ。あれも結構炎上してこなれてるから炎上も怖くないのね……」

「……あのぉ。実は私もこの二人と協力してまして」

「……そう」

「きちんとけじめつけます! 棄権しますので」

「ならいいけど……」


 ママの顔が本当にこわばってる。


「ああいうの、本当に炎上して消火できないでそのまま引退しないかしら」

「ママがそこまで言うんですか」

「ええ。あの子、嫌いなのよ。わがままで、自己中心的で……。Vって言っちゃなんだけど割と社不しゃふの集まりじゃない? 大手に所属しているということがそれに拍車をかけて増長させてるのよ」

「あー」


 確かにそれはあるかも。

 私のような個人勢とは違って大手の後ろ盾があるからな……。都城 桜って人は結構炎上はしているが、それでもなお大勢のリスナーがいるんだよ。

 リスナーもリスナーで厄介なんだよな桜って人。都民って愛称で呼ばれてるリスナーがSNSでもたびたび話題になってる。ダメな方向で。


「桜さんってもう配信だと名前を言ってはいけないあの人ってなってますよね」

「そうそう。少しでも馬鹿にするとめちゃくちゃ荒らされるのよねぇ」

「話を聞く限り随分とひどいですね……」

「我もそうだが、女性ってねちっこいからな」


 それはそう。










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― 新着の感想 ―
[一言] いつもどこにでも有毒なたわごとがある たとえしばらくして、彼らを無視し、彼らを失望させるという最善の方法で彼らに対処することを学んだとしても
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