表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/173

第一回公式イベント ④

 なんで公式イベントの配信の時にロロの過去話をしてるんだろう。

 というか、なんで私のチャンネルで暴露してんだ?


「とりあえずポイント、まだ稼がんとな……。長話失礼!」

「こ、こちらこそ……。あ、あのイナリちゃん!」

「なんだい?」

「私もイナリちゃんを手伝って、いい? 恩返しがしたい!」


 ロロちゃんはそう叫んだ。

 恩返しね……。


「そういうのいいよ! 私は何もしてないさ! ただ学校の屋上から落ちただけ!」

「でも……」

「ロロちゃんもイベントの参加者でしょ? 勝ちたいんでしょ? 私を手伝ってる暇はないと思うよ!」

「そ、そうだけどっ……」


 ロロちゃんもこのイベントに参加して勝ちたいはずなのだ。

 第一回公式イベントだから記念にとかじゃない。私に恩返しがしたいというのは本当の気持ちだろう。だけど、私に恩返ししたいからって自分の気持ちを押し殺すのは私としてはいただけない。

 もっと好きに生きていい。恩なんて気にせず、自分の好きなようにいてほしい。私としては私という存在がしがらみにはなってほしくないから。


「私ももち優勝狙う! ロロちゃんも優勝狙うんならライバルだ! 燃えるじゃん」

「そ、そうだねっ!」

「ライバルとして一緒に頑張ろうじゃないか!」

「うんっ!」


 私はロロちゃんと別れる。

 ロロちゃんはイベントが終わったらまた会いに行こう。


『イナリって案外人たらしだよね』

『人たらしだからここまで人気でてそう』

『地味にかっけえことも言うんだよなこの女……』

『顔がよくてかっこいいこと言える女is何?』


 私って人たらしかねぇ。

 いや、まぁ……そうかもしれないっていうのはあるけどね。マルーンとかあのフォーチュンですら私を推しって言ってくれるぐらいには誑し込んでるし……。

 私のアンチってほとんど見たことがない気がする。


「次に狙うのは雪山エリアかな。あの山にいこう」


 私の次の狙いは雪山だ。

 雪山のダイヤモンド……。ダイヤモンドダストっていうお宝を狙いに行こう。考えが怪盗みたいな感じになっているな。

 私が雪山に向かっていると。


「見つけました! イナリ様!」

「ククク……見つけたぞ」


 マルーン、アンテが茂みの中から現れた。お宝をもって。


「どしたの?」

「これ、お宝です! イナリ様のために見つけてきました!」

「これもやろう」

「え、ええ? いいのぉ?」

「はい!」

「二人、勝ちたいんじゃないの?」

「いえ、ボクはイナリ様なら参加するだろうと思いまして、イナリ様に勝ってほしいのでお宝を集めイナリ様に渡すつもりだったのです!」

「我も同様だ。我を従えるしたたかな主には勝利を捧げるのみ……」

「……いいのぉ? え、いいのぉ?」

「はい!」


 二人はお宝を差し出してきた。

 もとよりこういうつもりで参加してたならもらってもいいよねぇ? 


『バリバリ不正してて草』

『さっきのイケメンはどこ行った』

『ライバルだって言っておいて自分は他人からお宝もらうの草』

『やっぱイナリ様だわ』


 うるさい。


「もらえるもんはもらうんだよ!!! マルーンは私のために参加してくれたんだからいいじゃん!!!!」

「配信してるのですね! はい、ボクはイナリ様に勝利を捧げるために、参加しているのですよ。ボクが勝つなんてことはまずありえません」

「ふはははは! 我という狂犬を従える主に望むは勝利のみ……。主のために働くのが、犬である我の役目……。イナリに勝利を捧ぐのだ」

『二人とも狂信者で草』

『もう終わりだよ』

「もうごちゃごちゃ言わない! よし、三人でお宝たくさん探しまくって私に貢ぐがよい!」

「心得た。すべてはイナリのために」

「了解です! イナリさんにすべてを捧げましょう」


 人手が多いに越したことはない。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] お供え物が届きました 他人を否定したり受け入れたりする稲荷ちゃん(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ