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スコティッシュ

 延々と羊の魔物などを倒していった。

 最初は少しダメージを受けていたが、動きも見慣れて来てダメージもなく、レベル差も上がって来てワンパンできるまでは成長している。


「ふははははは! もうレベル9だ! 早いぞぉ!」


 私は着々とレベルを上げていた時だった。

 どこかから声がする。そして、地響きのようなものも。私はそちらの方を向くと。


「助けてくださぁぁぁい! 誰かぁぁああああああ!」

「うお、なんで魔物をトレインしてんだあの女の子!?」

「ひっく……。誰かぁぁああああ!」

「しょうがない、助けてやろう! あれ、ステータスを見るとレベル5だし楽勝だ!」


 私はメイスを思い切りその魔物の牛をぶん殴る。

 頭に当たってスタンをとったらしい。クラクラとして足元がおぼついてない。

 私はその隙に何度もメイスを叩きつける。そして、その魔物の牛は倒れたのだった。


「ふぃー。だいじょーぶ?」

「は、はいぃ……。助かりましたぁ……」

「何で追われてたの?」

「レベルを上げようと思ってこの付近で魔物を狩ってたんですぅ。そしたらエンカウントしてしまってぇ……。戦うのは苦手なんですぅ」

「そうなんだ。災難だったね。名前はなんていうの?」

「ええっとぉ……スコティッシュですぅ。家で飼ってる猫がスコティッシュホールドという品種で……。それからつけました」

「スコティッシュ……」


 その名前知ってる。というか……。


「違うゲームではめちゃくちゃ生産が上手い人か!」

「そうみたいですねぇ。何か作るゲームは得意なんです。えへへ。武器とか鎧とか道具とか。このゲームでもそういう方針で行こうと思いましてぇ」

「マジか」


 スコティッシュという名前。

 違うゲームでは生産職のプレイヤーでもトップみたいな感じだった。

 レシピがあっても難しいものをたくさん仕上げたり、自分のオリジナル武器をめちゃくちゃ開発してる凄い人。

 その人がこんな若い女の子なんだ。へぇ……。会った事ないし、めちゃくちゃ人気だったから買えなかったんだよな。


「あなたのお名前は何ですかぁ?」

「あ、私玉藻イナリ! VTuberやってんだ」

「ええええ!? いつも見てますぅ! どうりでそっくりだなぁって思いましたぁ! あ、ああ、あの、とても可愛くて私の生きる糧なんです」

「そこまで!?」

「どぎつい下ネタはあるけど……でも、面白いです!」

『草』

『こんな女の子の救いになれてるのか……』


 私が救いになるか? 割とがっかりされる人間なんだが。ギャップで。

 リアルの友人曰く『立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花みたいな美少女なんだけど喋ったらラフレシア』って言われてるぐらいだけど。


「今日も配信見たいので今待機してて……。ってええ!? 始まってます!? 私が映ってるぅ!」

「あ、今映ってる」

「あわわわわ……。私って昔からこうなんです。上手くいかない……。何かに没頭してたりすると時間忘れちゃう……」

「まぁ、時間忘れるくらい何かに没頭するのはいいことじゃないの?」

「そうですかぁ? そう言っていただけて救われますぅ」


 スコティッシュさんは笑顔になった。


「よければフレンドになりませんか……? 私、あまりフレンドは取らないのですが、いつも見てるお、推しですし、助けていただいたので何か武器を作ってプレゼントしたいですし……」

「おー、いいの? なろなろ!」

「はいぃ……」


 私はスコティッシュさんとフレンドを交わす。

 スコティッシュさんの情報としてはすでに誕生日が記載されており、やはり私と同年代だった。というか同い年だな。


「やったぁ……! イナリ様とフレンドになれましたぁ」

「素材集めとか協力できることがあったら呼んでね!」

「はいぃ。わかりましたぁ。いろいろとありがとうございました」


 スコティッシュさんはぺこりと頭を下げて行ってしまった。

 おっとりとしてるけど、めちゃくちゃゲームが上手いな。生産するのが得意なのか。私はそっち方面は無理なんだよな。絵なんて画伯だし。


「…………ああいう子が将来イケイケの彼氏作ってセッ…するんだよな」

『おいやめろ』

『普通に侮辱で草』

『謝れ』

「わ、悪かったよ……。お詫びとしてアヘ顔でも」

『そういうことするから先生に叱られるんだろ』


 リスナーが私に厳しいんですけどこれバグですか。











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