そろそろ誕生日
夏休み、到来!
北海道の夏休みは微妙に短い。本州だと9月入ってから学校だけど、北海道ではなんと25日間しかありません!
その分冬休みも25日間だからいいんだけどねぇ?
「ってなわけでこっからは私は大体毎日ログインしてるからよろ〜!」
「ボクたちも夏休みですからね。宿題はすでに終わらせましたし、ボクも毎日ログインできますよ」
「ビバ、夏休みですぅ」
「世の中の子どもが休みを欲している……。さぁ、我々の時間の始まりだッ!」
「夏休みは特に予定もないシ、毎日遊ぶワ」
四人も大した用事はないらしい。
「そういえばぁ……。イナリさん、もう少しで誕生日ですよねぇ?」
「お、よく覚えてたね? 去年も今頃誕生日配信したなぁ。ちょうど増えてきた時に誕生日配信開いたんだけど……ミカドノって人がすげー額のスパチャくれたことあったなぁ。よくあんなお金……」
「……それ、ボクの父ですね。ボクの名字が帝野と言うのです」
「なるほど。だからあんなに金が……」
マジでビビったよ。
私もあの時は登録者がやっと5000超えた辺りでそこまでスパチャも投げられたことなかったから……。
マジの低迷期の時に5千万円くらいスパチャしてくれたミカドノさんは恐怖しかなかったよ。
「今年の誕生日配信は参加できそうですぅ! スパチャ投げさせていただきますねぇ」
「ありがとう。無理はしない程度でいいから……」
「はいぃ」
「ボクもどんどんスパチャ投げますからね。ボクはイナリさんを尊敬し、敬愛しているので」
「フッ……我の血肉が欲しいか……。生誕の時ならば仕方あるまい……」
「そう……。なら、私は何か贈るワ。住所は知ってるしプレゼント、送ってア・ゲ・ル」
「それはいいな! ボクからも何かプレゼントを贈りますよ。なにがいいですか?」
「え、いいよ……。催促したみたいで申し訳ないし、私は四人の誕生日も知らないし、あまり高い物は贈れないし……」
「いえいえ、ボクはいいのです! ボクの誕生日の日に、誕生日おめでとうというボイスが独占できるのならそれで満足ですとも」
「フッ……。フーハハハハハ! そんな狭小なことを気にするとは……。だが、心配には及ばぬぞ。我は何も要らぬ。ただ、好意を示すだけのこと」
「そうですぅ。イナリさんは私たちの推しですしぃ……。こんなに毎日、推しと関われて、推しと一緒のクランってだけで嬉しいんです」
「そうヨ。それに、たくさん幸運にあやからせてもらったからお返しヨ」
四人はとても優しい。
誕生日を祝って、プレゼントももらえるという話なのに私の方からはいいとか……。聖人か?
四人の推しが私であるなら……。何か限定ボイスみたいなの送ってあげたほうがいいかな。
「流石にもらってばかりだとアレだし、私に何か言ってもらいたいセリフあるなら録音して送るけど」
「いいのですか!?」
「うん」
「毎日ゲームで声を聞けてるだけでも、指示をいただいて従っているだけでも幸福なのに!?」
「ならば我の望みは一つ……。我と同じように配信で演じてくれ。同類になるのだ」
「……一回だけね」
「あ、ああ、あのあの、なら……わわ、私とツーショットを……」
「それぐらいならいいよん。今撮る?」
「はいぃ!」
私はカメラを飛ばし、こちらに向けてスコティッシュと肩を組みピース。
ツーショットを撮った。データをスコティッシュに送る。スコティッシュは嬉しそうに写真を眺めてくれていた。
「フォーチュンは?」
「私はいいワ。推しの幸せが私のシアワセ。生きてるだけで幸福ヨ」
「冷めてるなぁ」
「とかいって本当は何か言わせたいんじゃないかい?」
「いいえ。私はいいノ。この普段の幸せを噛み締めてるだけで幸運ヨ。最初、イナリさんから声をかけてくれタ。その事実があるだけで私はとっても満たされているノ……! 3人は違うのかしら」
「それは……。確かにボクはボクの方から仲間に入れて欲しいと頼んだが……それでも幸福なのは事実だ! 満たされているさ」
「フッ。我は常に満ち満ちとしている。たとえ出会いが最悪だとしてもだ」
「私はぁ……。前作で有名だったこともありますし、助けていただいただけで幸運ですねぇ」
「うんうん。私も私が可愛いから毎日が満たされてるよ。強いて言うならおっぱい成分が足りない気がするけど」
私は巨乳が好き。貧乳も好き。
揉むなら巨乳、見るなら貧乳。ママのおっぱいが一番揉み心地が良かった……。
「くっ……ボクは胸が控えめなのです……! 申し訳ないっ……! 唐揚げとか食べます!」
「キャベツとかもいいって聞きますねぇ。今日からキャベツをぉ……」
「キャベツ。ふっ、美味しい料理が出来る本がうちにはあるぞ」
「フフフフフ、なら私のを揉む? リアルで出会ったでしょウ? 私、大きいノ」
「‥‥マジで?」
「マ・ジ・ヨ。Fはあるワ」
「マジかよすっげえでけえな。着痩せするタイプ?」
「そうヨ」
フォーチュン胸でかいのか……。ごくり。
「……今から東京のフォーチュンところに」
「フフフフフ……」
「ストップです! 抜け駆けは許さないぞ!」
「……チッ」
「さすがにフェアじゃありませんよぅ……」
「しばし待たれよ。持つ者よ」
「‥‥わかったワ」
えぇ。揉ませてくれないのぉ??
こう、柔らかさが今この手に枯渇しているんだよ。エロ本ごときじゃダメなんだって今はぁ……。




