レベリング
「みなさんおはコン! キツネ系VTuber玉藻イナリの配信の時間だぞー!」
私は手で狐を作り元気よく挨拶。
周りの人眼が気になるが気にしたら負け。だってVTuberは挨拶会ってなんぼだし……。キツネ系ってなんだろ。タヌキ系とかいるのかよ。
『待ってました』
『もうキャラクリ終わってる早い!』
『今どこ?』
次々とコメントが寄せられる。
私は今日やることを説明した。やることはまぁ簡単でレベル上げと金稼ぎ。レベルをあげなくちゃ魔物にも勝てないから序盤の敵をバンバン狩ってレベルを少なくとも20は上げたい。絶対きついが。
「お金もないので! 素材をカンストまで集めて売り払おー! とりあえず序盤でレベルは20上げたい」
『相変わらず目標が高すぎるこの変態予備軍』
『これ一種のマゾヒストだろ』
『以前じゅんぺーとコラボしたことあるからってマゾヒストまで受け継ぐな』
いや、これ普通だよ?
なんなら前作のほうがもっと鬼畜だった気がするが。
「前作の序盤は誰もリスナーいなくてな……。見てもらいたいがために序盤でレベルをとりあえず100にしたんだ。それよりまし!」
『あれをリスナーいない中でやってんのが狂気の沙汰なんだわ』
『普通心折れるであんなん』
『狂気の沙汰ほど面白い……』
そこまでか?
たしかに魔物を何万とも狩りつくした気がするし、60後半になってからは接続も60と多くなってきて、序盤で本当にそこまで上げたのかと疑われたからアーカイブ全部残してあるから見ろって言ったら逆に少しはやらせしろよって言われたなぁ。
「どうする? じゃあ序盤でレベル100にする?」
『それだとしばらく進まんだろ!』
『前作のアーカイブの合計時間2週間分だぞ!? どんだけこの人ゲームやってんだって思ったわ!』
『頼むからレベル上げは1日で』
まぁたしかに延々とレベル上げの映像だけは地獄か。
「じゃ、さっそく魔物を狩りにいこうかね!」
私はメイスを持ち戦場へと駆け出していく。
魔物を狩るプレイヤーがいて、たくさん魔物が駆除されている。私はとりあえず獲物を見つけ、メイスを頭にたたきつけた。
「あははっ! あはぁっ! 殴るの楽しい~~~~!!!!」
『絵面が狂気』
『言葉ももうサイコの言葉なんよ』
『こんな見た目可愛いのに殴るの楽しいとかバカみたいなこと言ってて草』
私は魔物を屠る。
メイスで脳天をたたきつけ、殴り殺していく。経験値もたくさん入ってきて、3体倒したときにレベルがやっと1あがった。
まだレベル1だから倒す数も少なくていいけど、徐々に倒す数が多くなるんだよな。レベル100にするまでいつまでかかるやら。
私はそう考えながらも、魔物を狩る手は止めない。止めたら効率が悪いからね。
「この羊の魔物、超狩りやすい~!」
羊の魔物はたまにタックルを仕掛けてくるが、見極められるぐらい遅いので余裕で躱せる。
私はメイスで羊の魔物の頭をぶん殴り、バットの要領で振り回し、羊の魔物を吹き飛ばしたり。いろいろとメイスは楽しくて、レベル上げもなかなか苦ではなかった。
「ふふふ、レベル20はあっという間かなぁ?」
もっと目標高くてもよかったかな。