農業従事
作物が順調に育ってきた。
現実とは一応育つスピードが違い、植えてから一週間程度でもう収穫できるくらいには大きくなっていた。
まぁ、収穫に何か月待つとかはさすがにしないか。
「はーっはっは! 植えた作物みな育っておるぞ! さぁ、ハーヴェストの開始だ!」
「収穫ね……。とりあえず収穫して売り払おう」
みんなが収穫作業をしていた。
マルーンが一番真面目に収穫し、次々と出荷籠に放り投げていく。この籠に入れて置いたらいつのまにか出荷業者がやってきて代金を置いて持っていかれるらしい。すごいシステムだよなこれ。
もちろん、作物にも品質というものがあり、私たちが育てたカブはまぁ、そこそこの品質だった。農作業はアンテに任せてたからな……。統括は。
「もっと品質を上げるとするならばもっと肥料が必要か……。ククク、面白い……! 大地よ、我に反発しようというのか」
「豊作のおまじないが足りなかったワ……! キエエエエエエ!」
「あーうるさいうるさい。少しはまじめに収穫したらどうだい君達?」
「ククク……。我の話は重要なことなのだ……。あるかどうかもわからない金のカブ……あるとして、普通の土壌で育つだろうか」
「それは……たしかにそうだね。高品質の土壌でないと無理かもしれない」
「はーっはっはっ! そうだろう?」
たしかにアンテの言う通りなんだよな。
そういうタネがあったとして、はたしてこんなそこそこいいってだけの土で育つ者なのかという話がある。
土壌の改善にまだ全然余地がある状態ではたとえ手に入れられたとしても育つはずがない。
「肥料を撒こう! どのみち我にもほかにも正解は知らぬ! やれることを試すのみなのだ!」
「リョーカイ……。私が購入してくるワ」
「それと……作物は畑を4分割して行うのがいいだろう! 連作していては土が疲れると聞く」
「それには賛成だね」
アンテは農業従事者でもないのにやけに詳しい……。
と思ったが、こいつ出版社だから自社の作品調べたら農業の本でもあるのかもしれない。現実とはあまりにも違うが、現実のノウハウを基にしてたら基本的に大丈夫だからなこのゲームの農業……。
私たちが作物を収穫し終えた時、鍛冶場からスコティッシュが出てきた。スコティッシュは私に駆け寄ってくると、お願いがあるといってくる。
「なんですかい?」
「今、イナリさんの武器を作っているのですがぁ……。その素材に岩石タートルの岩盤甲という素材が必要なんですぅ……。とってきてはもらえないでしょうかぁ……」
「オッケー。岩石タートルってどこにいるんだ?」
「王都を抜けて落石が多いフォール崖にいるみたいですぅ。岩盤甲はレアドロップなので周回しないとだめかもです」
「そう。わかったよ。タートルか……。不安だからフォーチュンを連れて行きたいが」
「行っちゃいましたから待つしかありませんね。ボクが行くべきでした」
「そうだね。ま、フォーチュンが来たら私たちはちょっと抜けるから頑張っててくれる?」
「お任せください! ボクたちが立派な農地にして見せます!」
一朝一夕でできるものじゃないからどっちにしろ私もまたやることになると思うけど。
フォーチュンは10分後に戻ってきた。農薬とか肥料とか購入してきたらしい。私は帰ってきたフォーチュンにタートルのことを話す。
「それを狩りにいくのネ……。任せなさイ」
「心強いね! じゃ、レッツゴー!」




