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幽霊屋敷に眠る秘宝 ②

 メロンとともに幽霊屋敷を進んでいく。

 あの気味悪い化け物はこの屋敷に何体いるのか……。あれが一体だけだったらやり過ごすことは容易だ。だが、複数体いたら困る。

 あの怪物のせいで、私たちの進む足はゆっくりになっていた。


「そこの曲がり角の先には光見えない?」

「ああ。見えない。後ろは?」

「こっちも見えない……。障害物がない廊下ってのが非常に嫌な光景だ」


 身を隠すところがないというのは不安が残る。

 私たちはその廊下を少し小走りで抜けることにした。先へ進み、廊下の中間地点に来た時だった。前のほうから懐中電灯の光が見える。


「やべ……」

「引き返すぞ」

「つっても距離があるから最悪見つかるんじゃ」


 と話していた時だった。

 懐中電灯の光がこちらを向いている。見つかった。その化け物は私たちを視認し、一気に走って追いかけてくる。

 私たちは全力で走って逃げだした。


「まずいまずい! どう振り切るよあれ!」

「部屋の中に入ってやり過ごすかぁ!?」

「時間がかかる! 二手に分かれるしかない? どっちに追いかけて来るか賭けようぜ」

「スリル満点だな! 乗った!」


 私は私のほうでもカメラを飛ばし、配信先をリンクする。両者の視点で配信が見れるように設定し、私たちは二手に分かれたのだった。

 私は階段を駆け上り、メロンはまっすぐ進んでいった。追いかけていったのはメロンのほうだった。私ではなかった……。安心はできないが健闘を祈る。


 私は成り行きで二階に来てしまったのでとりあえず二回を探索することにしたのだが、私の目の前には書斎と書かれた部屋があった。

 私は書斎に入っていく。書斎には血まみれの机やいすがあり、私はとりあえず引き出しとか全部開けて調べてみると、なにやら金色に光る鍵があった。


「なんの鍵だこれは」


 何の鍵かわからないけどとりあえず持っておこう。

 私が書斎であれこれ調べていると扉のほうが少し明るい。私はとりあえず身を隠した。すると、やはり案の定カツンカツンという足音が聞こえてくる。

 そして、懐中電灯の光が部屋の中を照らす。中に入ってくる怪物。


 この怪物は私たちを追いかけていた怪物と同一個体であってほしい。でないと……あの怪物は複数個体いることになる。そうなると非常に厄介極まりない。

 メロンはまだ生きているらしい。コメントではメロン頑張れというコメントを見かけた。まだ逃げ回っている……。そこから怪物が移動してこちらに来たと考えたい。だが……まだ追いかけられてる最中なんだろうな。となると今、この書斎を照らしている怪物は別個体……。複数個体いますねこれは。


 光が遠くなっていく。どうやらあの怪物は過ぎ去ったようだった。

 私は机の下から出るとき、思わず頭をぶつけてしまった。すると、突然地響きが起きる。ゴゴゴゴとこの書斎で何かが動いている気がする。

 だが、その物音で再びあの怪物がこちらに駆けつけてしまった。私は急いで隠れる。だがしかし。


「あ、やべ……」


 照らされた。視認された。

 化け物の見た目はとても怖い。私は逃げ場もなく、もうこれは無理だと悟ったのだが……。怪物は私から懐中電灯の光を逸らし、また歩き出したのだった。


「……あれ? なんで殺されないの?」


 私は疑問に思い、またあの怪物の前に堂々と立ってみる。が、襲い掛かってくる気配がない。


「あれ、私を襲わないの?」

「オナジナカマ……」

「ナカマ?」

「オバケ、ヨーカイ……マジン……仲間」

「ナカマ……。あぁ、なるほど」


 そういえば九尾って魔人の一種とか妖怪とか言われていたな。

 となると、私は同類認定されているから襲われることはないってことか。種族によってこういうのがあるのすごいな。

 だからあの怪物は私を追いかけないでメロンのほうに行ったわけだ。合点がいった。じゃあ私はあの怪物気にしなくていいじゃん。


「あのニンゲン、オマエノ、ナカマか」

「う、うん」

「ソウカ。なら、オソワナイ」

「そうしてくれると助かるよ」

「あの、ニンゲン、したに、イル。ゾンビに、キヲツケテ、コノヤシキを、シラベルガイイ」

「ありがとう! 優しいね!」

「ヤサシイ……。ホメテモナニモデナイ」


 私は下に降りてメロンのところに向かう。

 メロンは廊下の隅っこに追いやられていた。絶体絶命だ。やっぱ複数個体いたか。私はその化け物の前に立ち塞がる。


「……ナカマか」

「うん」

「ソウカ。ワルカッタ」


 そういって、化け物は去っていった。


「……なぜ?」

「いやぁ、私、種族が九尾なんよ。で、同類認定されて襲われないみたい」

「そうなのか……。ずっる」

「あはは……」


 怖がり損でした。












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― 新着の感想 ―
[一言] このままでは本物の魔王になってしまう
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