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うちの父さんはメンタルが弱い

 東京っていろいろあるなぁ。

 秋葉原では私はいろいろとパソコンの機材を購入したりして、一日が終わってしまった。今日の夜の飛行機で帰るつもりで、空港に見送りに来てもらっていた。


「マルーン、こんなに買ってもらっていいの? めちゃくちゃ高いけど」

「いいんです、父もそうしろとのことで。ボクが力になれるのならうれしいです。ボクとしても活動を応援したいので」

「ホッカイドウ……。今度は私たちのほうで行くワ」

「帰ったらまたゲームしましょうねぇ。リアルで会うのは少し恥ずかしかったですが楽しかったですぅ」

「また来るがいい! 我らの住む東京の魅力はこんなもんじゃないぞ!」

「また来るよ。じゃ、またゲームで」


 私は飛行機に搭乗し、そのまま北海道に戻ることになった。

 パソコンの機材とかは宅配で送ってもらうことにしたので、手ぶらで行って手ぶらで帰ってくる。こういう身軽な旅も悪くない。

 1時間も飛行機に乗ればもう札幌。空港前のタクシーに乗り、住所を教えて家に帰るのだった。


「ただまー」

「おかえりー。東京どうだった?」


 私が返ってくると母が出迎えてくれた。父さんは洗面台のほうにいて、鏡を見て何か格闘している。


「楽しかったよー。ほい、一応お土産」

「おう。ま、一人旅もいいが気を付けるようにな。都会は怖いんだから」

「へいへーい。あ、父さんまた育毛剤やってんの? 無駄だからやめなよ」

「無駄とだれが決めたんだ。俺の髪はまだ……」

「そうよねぇ。もう生えないのに何かっこつけてんだか……」

「なっ……ひどいぃ! 二人してそんなこと言わなくてもいいじゃないか……」

「いっそ丸めたら? 父さんはそっちのほうがかっこいいと思うよ」

「よし、丸めよう」


 私の父さんはちょろい。

 父さんは棚からバリカンを取り出し、髪を全部切ったあと、カミソリで全部落としていた。そして、スキンヘッドの父が爆誕。

 それを見た母さんがぶふぉと噴き出して、どこからかサングラスを持ってきていた。


「これかけてみて」

「……こうか?」


 父さんがサングラスをかけた瞬間、こらえていた私もちょっと吹き出してしまった。


「父さんもろ反社の……ダメもう無理!」

「白スーツとか着てたらもう完璧ね! あははははは、強面なんだからスキンヘッドにしたらそうなるわ!」

「だ、だましたな!?」

「まぁまぁ! 見た目はいいほうなんだからいいじゃん! 無理して髪の毛と格闘するより男らしくて素敵だよ! 見た目はもろやくざだけど」

「素敵ならいいが……」

「だめ……! もう無理……! やくざよやくざ!」

「…………たしかに、そういう筋の人に見えなくもないな」

「もうサングラスはかけないでね! 黒サングラスとかならまだしもこういう茶色い眼鏡とかだめ!」

「これで教壇に立つの想像したら笑うからやめてほしいわ!」


 父さんは少し不満そうな顔をしていた。

 私の家族って見た目に難ありなんだよねぇ。私は言わずもがな歯があれなんだけど、母さんは美人なんだけどきつめの美人っていう感じで裏の顔がめちゃくちゃ怖いタイプに見えてるらしい。

 父さんは本当に強面で、私が中学の時はみんなから強面禿げって呼ばれてた。一応生徒からの人気はあるが、ふざけてやくざとか言われると家でどんよりしていた。


 こんな顔でメンタル弱いんだよな父さん。


「じゃ、私部屋でゲームしてるから!」

「わかったわー」


 私は階段を駆け上がり、荷物をベッドに放り投げてヘッドギアをかぶる。

 丸一日出来なかったからな。農作物の心配がある。水やりしなくちゃ。













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