オフ会開きませんか?
「今日はすごい地味な絵面になったね。とりあえず活動するメンバーを紹介したかっただけだからさ。じゃ、ばいばーい!」
私は配信を終わらせる。
さっきまでやっていたのは畑に種を植える作業だった。こんなに広い畑があるんだから作物を育てない手はないと。
「植えるだけで一苦労でしたねぇ」
「これだけ広ければ時間かかるだろう。それに、イナリさんの話だと何年も手付かずだったのだろう? 雑草もボーボーに生えていた……。こんだけ荒れていたら買い手もつかないだろうタダ同然の畑を一日でここまでやれただけでも御の字さ」
マルーンの言う通り。
めちゃくちゃ雑草生えまくっていた土地に雑草を抜いて、一応安かったカブの種を植えるところまでは行った。あとは育てばいいのだが……。
「ところでイナリさん。農業について先ほどボクが調べてきたのだけれど面白いものがあったんです」
「面白いもの?」
「金のカブ、銀のカブというのが存在するらしいのですよ。このゲームに」
「……詳しく」
「誰も育て方も知らない、どんな風にできるのか誰もわからない……。そんなカブの存在が本にありました。現実ならば疑わしきものですが……ゲームではあると思います」
「たしかに。金のカブ……量産出来たら金策になるな」
「でもぉ、それって噂程度のものなんでしょう……? 量産する当てがなかったら無駄ですよぉ」
「それを探すのも醍醐味ヨ。フフフ、金銀のカブ……」
「しばらくの目的はその金策のためのカブを栽培する方法か?」
「になるかもね。まず第一に金は必要になる」
何をするにも金は必要になるんだ。
金策に早くから走っても問題はない。まず安定させるにはお金から。金のカブ銀のカブに対するヒントが少なすぎるがいけるだろ。
「だからといってこれだけに集中するわけにも流石にいかないからついでの形で探す形でいいよ。みんなもやりたいことあるだろうし、暇だったら探すってことで」
「了解です!」
「理解した!」
「わかりましたぁ」
「リョ・ウ・カ・イ」
金のカブ、銀のカブねぇ。
「あ、あのぉ。イナリさん」
「ん? どうしたスコティッシュ」
「そのぉ……。みなさん、多分東京付近に住んでますよねぇ……? 親睦会というか、お、オフ会みたいなのを開きませんかぁ……? これからゲームやる中なんですし、同年代っぽいですしぃ……」
「オフ会、だと?」
「ひいい、でしゃばったマネを言ってすいませぇん!」
「賛成……。なら明日でどうカシラ。明日の土曜日……渋谷のハチ公前で集合ヨ」
「……オッケー」
と、みんなの中で決まっているようだが。
私はとある問題があった。スコティッシュたちは私のファンだが知らないようだった。
「私行けるかなぁ」
「……問題が?」
「私いろいろ特定されてるから知ってると思ってたけど……。私の住んでるところ北海道なんだよね」
「……あ」
「ソウナノ?」
「今から飛行機乗って向かうわ! よし、ログアウトする! 私今から新千歳いってくるわ! 明日の10時渋谷のハチ公前ね! オッケー!」
私は自分の部屋に戻りログアウトして、お母さんに東京いってくるとだけ告げて財布だけ持ってバスで新千歳に向かった。
オラ、東京さ行くだ。




