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私たちの拠点

 私は配信のカメラを飛ばす。


「どーもー! みなさんおはようございます! 玉藻イナリのゲーム配信の時間だっぞー!」


 私は挨拶を済ませ、今日やることを説明していく。

 今日は農作業と、あのNPCからもはや自分たちの拠点が出来上がったという報告を受けたので、見に行ってみるという配信だった。

 あの任せていた拠点……ちょっとばかり不安なのだが。どうなっているんだろうか。私はドキドキしながらも行こうとしたのだが。

 その前にメンバー紹介をするのが先だったと思い、私はカメラに向き直る。


「の前に、今もちょうどメンバー全員いるから挨拶だけしておくね。クラン、イナリ神社のメンバーの人たちです」


 カメラを四人に向ける。


「フッ、イナリ神社四天王が一人……。闇を操り、混沌に好かれし者……。この世のすべての理に反逆せし者……。我が名はアンチテーゼ! 恐れおののくがいい!」

「君は普通に自己紹介できないのかい? だがまあ、四天王というのはいい響きだ。ボクはマルーン。職業は狩人を生業としているよ。よろしく頼むね」

「キエエエエエエ! イナリさんのリスナーのみんなに幸運のお・ま・じ・な・い」

「あのぉ……。自己紹介はぁ……」

「私はフォーチュン。運命をつかさどる四天王ヨ」

「四天王の響き気に入ってるんですかぁ!?」

「スコティッシュ。自己紹介が先だろう」

「あ、そうですねぇ。私はスコティッシュといいますぅ。生産を主にしています。きっとこのゲーム会社の前作をプレイしたことがある方は聞き覚えがあると思います。よろしくお願いしますぅ!」


 四人はやっと自己紹介を終えた。


『キャラが濃すぎる』

『中二に嫌味キャラに電波女に気弱って……スコティッシュ以外まともなやつはいないのか?』

『なんでこんなに変なの集まってるの?』

『類は友を呼ぶっていうじゃろ?』


 うるさいよ。


「フハハハハ! さぁ、今日は拠点を見に行くのだろう! 無事完成しているといいな!」

「無料で作ってもらったものだから不安しかないがね。いい拠点でも悪い拠点でもイナリさんが満足しているのならボクとしてはいい物件さ。周りは畑らしいから農業にも勤しまなければね」

「雨ごいなら任せなさイ。まじないは得意なノ」

「変な拠点で来てないといいけど……」


 私は私が購入した土地に立った家を見に行ってみた。

 すると、存外いい家が建っていた。


「外観は……割といい感じか? 豪邸って感じがする」

「周りの畑の景色ともあう感じの家だねぇ。白を基調とした壁がナチュラルさを醸し出している」

「あ、あのぉ。私が頼んでおいた鍛冶スペースはありますでしょうか……」

「わからん……。一応建ててくれたNPCにはお願いしたんだけど」


 とりあえず私は中に入ってみた。

 でかい両開きの扉を開き、中に入るとまずは広いエントランス。西洋のようなとてもゴージャスなエントランスだ。

 シャンデリアが飾られており、朝日が天井の窓から差し込みとてもいい感じ。夢の家って感じ?


「ふっ、まずはエントランスは合格だ」

「いいじゃないか。日本の豪邸でもこういうエントランスはないからねぇ。まさしく貴族が住むような家という感じがするよ」

「結構扉ありますねぇ。キッチンはもちろんあるんでしょうけど鍛冶スペースはぁ……」

「一番左奥にあるあの大きな扉じゃないかな」


 私は奥にある大きな扉を開く。

 すると、石造りの床で、かまどなどの鍛冶に使うスペースが広く取られていた。木材を扱う作業台とかもろもろある。

 スコティッシュは目を輝かせていた。


「すごいいい作業スペースですねぇ! ここからでも外に出入りできますし、ここで武器屋を開くことができそうですぅ。素材を入れる物置もありますねぇ」

「これが無料とか本当かい? なにか曰く付きではないのか?」

「うーん。そうなんだよね。こんなクオリティが無料でいいのだろうか」


 まだエントランスと鍛冶スペースしか見ていないが……。それでもこのクオリティ。まさしく夢の家!っていうような感じではあるが……。

 これが無料っていうのがまだ不安ということだ。なぜこれで無料なのか。金取れるぐらいのクオリティは本当にある。なにか裏があるな。


「ほかの部屋は客室が多いみたいネ。鍛冶スペースの近くの部屋は客室だったワ。私たちの部屋にしましょウ」

「そうだね。一番鍛冶スペースに近いところにスコティッシュかな。こんなにあるし、好きなところ最初にとってっていいよ」

「了解です! ではボクはイナリさんの隣の部屋がいいです!」

「我はエントランスに近いところだな」

「私はどこでもいいワ。それよりこんなのが落ちていたワ」


 私は一枚の紙をフォーチュンから受け取る。

 あの大工たちが残したメモだ。中を読んでみると、上手く建設できました、運がよかったです。成長のための家をありがとうございました。と書かれている。

 

「……もしかして無料なのって」

「この文面を見ると建物を建てる際失敗することがあるみたいですね」

「しかも多分失敗したらごめんなさいだけして亡骸だけ残していくパターンですよぉこれ!」

「博打! ギャンブルこそ人生を象徴するものだ!」

「失敗していたらただただ大損こいていただけになるのネ。解体するまで農地が閉鎖されたままになるしいいことがないのネ」


 こっわ。












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