ある日森の中ドラゴンさんに出会った ②
ちょっと待ってくれ。なんだこれ。
加護? アナザードラゴン? 私は加護の内容を見てみると、アナザードラゴンが認めた強者の証、魔物が怯みやすいと書かれている。
要するに歩くだけで怯ませることができるってコト?
「んだこれ……」
そして、驚くことにステータスが上がっている。
攻撃が90と、レベルが15にしては破格の数値になっていた。そういえば能力が一部継承されるとか言っていたがそのおかげか?
運がいいな。ドラゴンに抗ったらこんな素晴らしいものを手に入れたというわけだ。抗うことは大事だね。
アナザードラゴンは私を見て少し笑ったかと思うと、翼を広げてどこかに飛び去ってしまった。
その様子を見ていた三人が駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫ですかぁ?」
「フフフ、まだ幸運のおまじないが効いているのネ」
「さすがイナリさんです! あのドラゴンを追い払ってしまうなんて!」
本当にフォーチュンの幸運のおまじないが効いてるっぽいのなぜなんだ。
「大丈夫大丈夫。ビビったぁ」
「ですよねぇ……。いきなりドラゴンですもんねぇ……」
「死んだのがアンテだけでよかったワ」
「アンテさんは君の友達だろう? 少し冷たいんじゃないか?」
「友達だからこそ冷たくできるノ」
「ふん、ボクには考えられないね。友達だからって冷たくすることは人としてどうなんだい?」
「……あなたにはわからなくてもいいワ」
「なんだと!?」
「お、落ち着いてくださいマルーンちゃん!」
喧嘩するなよ。
だが、どちらの言い分も納得できちゃうんだよねぇ。友達関係って割と難しいのはある。それに、アンテなら少し冷遇されても中二病メンタルで絶対どうにかなるだろうし、こればかりはフォーチュンにつくけど。
「まぁまぁ。喧嘩はやめにしてさ。あのアナザードラゴンが何か落としてったみたい。これ、預けておくからこれで武器作ってみてくれない?」
「あ、アナザードラゴンの鱗ですねぇ。あの強そうなドラゴンさんなので結構強い武器が出来上がると思いますが……。鍛冶スキルのレベルが多分というか絶対足りないので作るのは時間かかりますぅ……」
「いいのいいの。先行投資」
「スコティッシュ。今どのような武器を作れるのカシラ」
「ええっとぉ……。やっと持ち歩き鍛冶セットを買っていろんなものを作ってレベルを上げてますのでぇ……。鍛冶レベルが9だから銅なら加工できますぅ」
「銅か。ならばあの鉱山で採れるワ」
「スコティッシュ。ボクのも頼めるかい? ブロンズソードでいいから作ってくれないか」
「私もロッドを頼むワ。少しでも威力を高めたいノ」
「了解ですぅ。ただ、ロッドは金属じゃなく木材なので、誰か採取専門の人が欲しいですねぇ。簡単な採掘や伐採ならスキルなくてもできますが、スキルがないと採れない鉱石や木もあるみたいなので……」
採掘専門の人か。
たしかにそれはいたほうがいいな。武器を作るためには魔物の素材だけではなく木から取るのも必要になるだろう。
スコティッシュの出す要望はもっともだな。
「それならボクが採取しよう。イナリさんの役に立ちたくていろんなスキルを取得しているんだ。伐採、採掘も持ってるよ」
「そ、そうなんですねぇ! じゃあお願いします!」
「任された! イナリさん、ボクにお任せください!」
「助かるよ」
マルーン、意外と有能説あるな。




