ある日森の中ドラゴンさんに出会った ①
変な奴二人が加入し、とりあえず王都の探索をしようということにした。
王都付近には魔物が出る洞窟だったりがあるようで、魔物の素材もいくつか集めておきたいというスコティッシュの要望に応えるように私たちは洞窟で魔物を狩ることにした。
「マルーン、めっちゃレベル高いね。22?」
「はいっ! イナリさんを見習ってボクもレベル上げしたんです!」
マルーンというのは眼鏡の少し嫌味ったらしい女の子だ。
だが、私の真似をしてレベル上げをするあたり努力することはいとわない様子。そういうのはいい点だよね。
で、一方の明らかになにか患っているであろう女の子はアンチテーゼっていうらしい。何に対してだよ。世界にか?
マルーンっていうのはいいんだけどアンチテーゼって何て呼んだらいいの? 配信でアンチーとか言えないだろ。いや、下ネタ言ってるのにいまさらっていうけど人を刺激するのが一番怖いんだからな! 本当に嫌な人って割と粘着質だから!
これもうテーゼとかアンテって呼ぶしかないわ。名前で苦悩させないでほしい。
「それにしてもこのゲーム、作りこみがリアルですね! 石の質感とかびっくりしました!」
「そうだねぇ。最新の技術はすごい」
「闇夜の中でたたずむ我も美しい……」
「キエエエエエエエ!」
「あ、これレア鉱石ですぅ。素材として使えそうですねぇ」
うるさい。やかましい。
主にフォーチュンとアンテのせいだわ。このイロモノ二人がめちゃくちゃやかましい。ちょっと後悔させたのあんたらが初めてだよ……。
「イナリさーん……。素材拾いまくってたらカバンがいっぱいになったので少し持っていただけませんかぁ……?」
「オッケー」
私たちが魔物を狩りつつ先を進んでいると。
すると、私たちを何かの影が覆った。私は魔物のほうを向くと、目の前には何とドラゴンが鎮座していたのだった。
「うお、ドラゴン……」
「おお、竜よ! この我に捧ぐ竜よ!」
と、おかしなことを口走っていたアンテに手が振り下ろされて、アンテが死んでしまった。交戦したいようで、私はとりあえず全員に命令を出す。
「勝てないから逃げて!」
「言われなくてもそうしますぅ!」
「なんだいこのドラゴンは! なぜボクたちを襲うんだい!?」
逃げ出すマルーンとスコティッシュ。フォーチュンは何か占いを始めており、その場からびくともしない。
敵のヘイトはマルーンのほうに向かってるようで、マルーンを全力で追いかけていた。
「なんでボクのほうに来るんだ!? 来るな! 来ないでくれぇ~~!!」
私はメイスを思い切りたたきつける。
ドラゴンはこちらのほうを向いた。私のほうにヘイトを向けさせ、三人をとりあえず逃がさせることにした。
「今のうち逃げて! 私が何とかやってみるから!」
私はドラゴンの攻撃をかわしつつ、せめてもの抵抗でメイスで殴る。
ドラゴンはにたりと笑った気がした。そして、私めがけて唾を吐く。唾がもろに当たって、アナウンスが聞こえてきた。
《アナザードラゴンに気に入られました》
《アナザードラゴンの力が一部継承されました》
《アナザードラゴンの加護を取得しました》
というアナウンスが頭に鳴り響いた。




