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へんな奴二人

 大工の兄妹の夢の家ねぇ。

 夢だなんだ語るのはいいんだけど信用には値しないっていうのが本音。失敗しても成功しても動画にはできそうだし、どっち転んでもラッキーってことで受けたわけなんだが。


「……」

「……」


 なんか知らないけれど、私の目の前には左目には眼帯を装備し、人形らしき小道具を片手に持っていて腕には包帯を巻いているいかにもってやつがやってきた。

 お互い黙ったまま喋らない。


「あの、えっと、何か用かな……?」


 このまま黙っているのもちょっと気まずかったので声をかけてみた。


「問おう。汝がイナリか?」

「イナリっすけど……。あ、そういうキャラでやっているVの方で……?」

「違う。そうか。イナリか……」


 Vじゃねえの?

 え、じゃあ誰?


「ふはっ! ふははははっ! 汝よ、我の力を欲するか!」

「いや、そういうのいいんで……」

「なん、だと……? 我の力をいらぬと申すか……。だがしかし、汝に拒否権はない。さぁ、我を闇へ誘われし烏合の衆の集いに招待するといい!」

「なんて?」


 やばい。意味わかんなぁい。

 何言ってるんだ? 誰か翻訳できたりする? ちょっと自分でしてみるか。闇へ誘われしってところはよくわかんないが、烏合の衆の集い……。

 集うってことはクランってことじゃないか? もしかして。


「イナリ神社に入れてほしいの?」

「肯定しよう」

「めんどくさこいつ……。ってか誰から知ったの? 誰かの知り合い?」

「私ヨ」


 背後からひょこっと顔を出したのはフォーチュンだった。


「私がイナリのクランに入ってると言ったら自分も入ると言い出したノ。面倒くさい性格で悪いわネ」

「ふーはははははは!」


 フォーチュンの知り合いだったようだ。

 類は友を呼ぶということわざの意味を今知った気がする。どっちも相応にめんどくさい性格をしているようだ。

 

 私が少し頭を悩ませていると、今度は眼鏡をかけた女の子から声をかけられた。


「君が玉藻イナリさんですね? スコティッシュから話は聞いています」

「また変な奴が来た……」

「このボクをクランに入れていただけはいけませんか? ファンなんです」

「どっちもお断りしてえ……」

「すいませぇん!! 言っても聞かなくてぇ……」


 スコティッシュは頭を何度も下げるし、フォーチュンは不気味に笑っている。

 なんだ今日は。変な奴の博覧会でも近くでやってんのか? というか、こいつら加入させたら変な奴らの博覧会みたいになるだろ。私とスコティッシュしかまともなのいないぞ。ただでさえフォーチュンもそこそこイロモノなのに。


「申し訳ないけど……」

「この我を汝の集いに入れてくれたのなら……それ相応の援助をしてやろう」

「援助?」

「Vをもっといいものにしてやろうではないか! 我ならそれが可能だ!」

「……マジで?」

「株式会社ホーリーデイズ……。そこの会社の名前はVならば知っているな?」

「……あの超大手のV事務所だよね?」

「我の父親はそこの上に立つもの! 我は上に立つ存在なのである!」

「……要するにこいつの父親はその大手事務所のシャッチョさんって……コト!?」


 私の問いかけに肯定するかのようにうなずくフォーチュン。

 何気にすごいやつじゃねえかよ。それなのに子供がこんな性格なの? いや、あの事務所の社長とは一度会ったことがあるが、めっちゃ物腰低くていい人だった。なのにこんな性格の子供なの?


「どうだ? 最新の技術で動かされる自分の体……。我は援助は惜しまん……。さぁ、我の手を取るがいい!」

「ちょっと待った! その売込みには感心しないな。物で釣ってなにが加入だい? そんなもので釣られる安い女ではないのさ。イナリさんは」

「…………」


 割と本格的に心惹かれてた安い女ですが何か。


「イナリさんは下ネタとかも豊富だけれど……きちんと芯がある女性なのさ! イナリさんをよく知らないでまぁぬけぬけと物で釣ろうとして……恥を知りたまえ」

「…………」


 知らねえのはあんただよ。

 

「イナリさん! ボクはあなたのようなお人になりたい! あなたのように美しくて、聡明な女性に! なのでボクをクランに入れていただけはしないだろうかっ!」

「あー……」


 どうしたもんかな。


「あまり無理を言ってはダメですぅ……」

「引くことも大事ヨ」


 二人も諫めてはくれている。

 ま、仕方がないか。


「いいよ。登録してあげる」

「ふっ、心より感謝の意を送ろう」

「ありがとうございますっ!!!! ぜひ、イナリさんのためになんでもいたします!」

「うん。お願いね」


 変な奴が入ってきちゃったなァ。













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