僕と私の終末戦争 ③
ママがキルされても私たちは悔恨に残された余裕はなかった。
空からマグマが降ってくる。水魔法で相殺し、マグマの攻撃を防いでいた。
あの穴……。もしかしてこれらは異次元から持ってきたものだろうか。
アナザードラゴンは他空間と繋がる力があるのか?
まぁ、なんにせよこの攻撃の攻略法を見つけなくちゃ話にならない。
「この攻撃……! キリがありませんね!」
「フォーチュン、回復した?」
「ええ。必死にMP回復ポーション飲みまくったワ。またバリア?」
「いや、回復に専念! 私が攻撃を相殺してるから、アルカード! リキエルさん! 特攻!」
「おしきたァ!」
「了解だ」
リキエルさんたちは守りを捨てアナザードラゴンめがけて特攻していく。
ダメージ与えてないと意味がないからな!
「桜、シロはバフをかけ直して!」
「了解です!」
「かしこまり〜!」
「神宮寺さんは私と手伝ってこの攻撃を防ぎましょう!」
「わっかりましたぁ!」
神宮寺さんは魔法の杖を取り出し魔法を放った。
「ボクも特攻の方がいいですか!?」
「マルーンは知恵と運命の輪が使えるならまずはリキエルさんに再びかけて! 使えないなら回復! 蘇生は大事にしたいからね!」
「わ、わかりました!」
リキエルさんは再び吹っ飛ばされていた。
そして、知恵と運命の輪の効果で蘇生されていた。それを見計らって回復したマルーンは再びスキルを付与する。
それぞれに役割はある。
だけど、こちらの消耗の方が激しい。
私も攻撃に転ずるしかないかな!?
「私も攻撃しちゃる! フォーチュン、バリア展開できる!?」
「任せテ」
「任せた!」
私は降ってくる物体の対応を桜、フォーチュンに任せて私も攻撃に転じた。
最大火力の魔法をぶっ放す。神通力を使ってみたが、弾かれてしまった。
「グガァアアアアア!」
と、アナザードラゴンの様子が変わった。
白い鱗が逆立ち始め、大きな咆哮を上げる。間近で聞いたアルカードは思わず手で耳を塞ぎ、その瞬間を狙われてアルカードはアナザードラゴンに思い切り弾き飛ばされ消えて行ったのだった。
「アルカード!」
リキエルさんもやられたが、スキルの効果で蘇生。
アナザードラゴンはジタバタと暴れたかと思うと、その瞬間、口から小さな涎みたいなものが地面に落ちた。
そして、その瞬間、私たちは光に包まれたのだった。私は星の守りが1回残っていたので無効化できたが……。
「なんだ今の……」
「…………ほぼ全滅ネ」
「えっ!?」
辺りを見渡してみると、私とフォーチュン、アンテしか残っていなかった。
嘘、この攻撃そんな威力あったの?
「我は咄嗟に岩陰に身を隠したからだな」
「なんとかバリアを展開して回避したワ」
「私は星の守り……。1発防げないと即死!? やっぱレベルちげえなぁ!?」
そんなんチートやろうが!
一気に人数が減った。私とフォーチュン、アンテで攻略できるだろうか。
「この行動は体力も残り少ないんじゃないかしラ」
「だといいけどね! 一定体力削れたからやってきたってこともあるしなぁ」
私は杖を持つ。
さっきの攻撃、連発はないと信じたい。あんなバカみたいな威力を連発されたらこっちが困る。
そして。問題はアナザードラゴンがどこまで削れているか、なんだよな。これであまり削れてませんでしたってオチは心折れかねないのでやめてほしい。
「とりあえず攻撃あるのみ! 私はまだ戦えるから前衛に出るよ。フォーチュンは回復、アンテはフォーチュンの護衛!」
「わかったワ」
「フッ……。生き残った者の定めということか」
私は魔法を唱える。
最大火力の魔法がアナザードラゴンに当たる。当たった時、思い切りのけぞっていた。
さっきとは違う反応。先ほどまでとは違う反応。よく見ると、アナザードラゴンの顔が少し険しくなっていた。
「これはまさか死にかけということではないか?」
無駄じゃない。
死にかけならば私一人でも削り切れるかもしれない。が。一つ問題が発生してしまった。
「MPがすっからかん……」
アナザードラゴンは私めがけて爪を振り下ろす。
私は防御態勢を取り、そのまま地面に叩きつけられた。
「……なぁ、二人とも」
「なニ?」
「なんだ?」
「私のために死ぬ覚悟はある?」
「なゼ聞くノ」
「MPがない」
私のために二人は死んでくれるだろうか。




