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ヨモツイクサ ①

 冬休みを迎える。

 私は冬休みの宿題を一日目で全部終わらせて、残りはゲームに費やすことにした。


 というのも、以前行ったエデン。

 そこで特殊反応を起こすことを知った。私はそこまで興味はない……と思っていたけれど、力を得たものは力に溺れる。それと同じで、もっと強くなりたいという欲が出てきた。


 ということで絶賛調べてる最中なんだけど。


「見つかんねぇーーーーっ」

「ものの見事にないね……。そういうの」

「あってもよいものだがな……。まぁ、仕方はあるまい。以前貴様らが行ったエデンの園は半ば偶然だと言っていた……」

「もしかして文献には載ってないのではないか? そういう可能性もある」


 次なるメンバーはロロちゃん、アンテ、アルカード。

 このメンバーならば基本的に全員戦えるし、アルカードもいるから戦闘ではもう不安な点はないだろう。


「くっ……。この国では限界があるというのか……!」

「日本ですからね……。そういうのないでしょう」


 私は日本でそういうものを探索していた。

 こっちの世界にないわけはない。竜宮城があったのだからあるはずなのだ。そう思いながら国立図書館の本を片っ端から調べていくが何も得られず。

 仕方ないので、人に聞いてみるかと言い出した時だった。


「む? なぜここまで暗いのだ」

「夜だからじゃないかな?」

「いや、今の時刻は午後12時だ。暗くなるはずもない」


 外に出ると、夜のような暗闇が私たちを包み込んでいた。

 周りの人もなぜ暗いのかがわかっていない。雨雲が包み込んでいるからとかそういうわけじゃなかった。空を見上げてみると、満天の星空が広がっていた。

 

「なんだ?」

「夜の帳が下りている……。クク、夜は我の時間だ」

「違うな。私の時間だ」


 と、聞こえてくる声。

 私たちはその声のほうを向くと、死装束を着た男が嫌そうな顔を浮かべていた。


「夜の帳が下りるとき……。人は死を迎える。我が軍のもとに下るのだ。まさか天狐がいるとは思ってもいなかったが……予定通り始めよう」

「……なんだ?」

「ヨモツイクサよ! ここらのすべての人間を食らいつくせ!」


 その瞬間、男の周りには異形の大群が現れる。

 ドロドロに溶けたゾンビのようなもの。地を這い、周りの人間に襲い掛かっていた。私たちの味方じゃないとすぐに理解し、それぞれ武器を取り出した。


「イナリ! 指示を出せ! リーダーは貴様だ!」

「オッケー! とりあえず、周りの人間を極力助けながら交戦! こういうのってあまり被害を出さないほうがいいと思うから! なるべく人を死なせるな」

「了解!」

「ふっ、了解だ」

「わ、わかった!」


 私は魔法を放つ。

 襲い掛かりそうだった異形の物を思い切り蹴飛ばした。


「あ、ありがとうございます……!」

「お礼はいいから逃げろ!」


 私は逃げることを促した。

 ここにはまだ大勢の逃げ遅れた人間がいる。無視したらなんか後味悪いし、これがイベントなのだとしたら、殺された人間の数もカウントされそうだ。

 どれだけ人間を守れたかという成績もありそうだからあまり殺させたくない。


 だからこそ、私の流星群や大津波といった範囲魔法は今は使えない。周りに人が多すぎる。


 国会議事堂も近くにあるからやりづらいことこの上ない。

 そして、その重要な場所の近くだからこそというべきか、すぐに通報が入ったのか、自衛隊の人が銃を構えてやってきた。

 人数増えてやりづらいことこの上ない!


「戦ってる人間がいるぞ!」

「君たちもすぐに避難を……」

「死にたくないなら僕らに任せてもらおうか」

「ふっ、我らはよい。戦いの心得がある……。そこで見ていろ、我の剣技を! そして酔いしれるがよい! 我の技に!」

「あまり人を投入したら人死に増えますからねぇ」


 アルカードたちが自衛隊の人に強く言い聞かせた。

 異形の物を見て震えあがっている自衛隊もいるが、さすがに看過できないのか、突入合図が出されたのだった。

 だからやりづらいんだっての!












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