荒野の王 ③
私はまず、防御のミーアキャットを爆発魔法で吹っ飛ばした。
すかさず回復しようとする回復役のミーアキャット。その隙を狙って、私は至近距離でミーアキャットに触れる。
この距離ならば絶対に外さない。私は2000MPを消費し、回復役のミーアキャットを倒したのだった。
「これで少しは楽になるかな!?」
回復役を倒した。
その事実がほかのミーアキャットに知れ渡った。その瞬間、2匹のミーアキャットの体の色が変わった。
赤く染まっている。それはまるで怒ったかのように。よくもと仲間を殺されて怒っているかのように。そして、その瞬間、私のほうに勢いよく、ミーアキャットが飛んできた。ミーアキャットの頭突きで、私はそのまま吹っ飛ばされる。
「ン成程っ! 回復役を倒したら攻撃が変わるのか!」
随分と仲間意識が強いことで。
私は立ち上がり、魔法を唱える準備をした。2匹のミーアキャットは、親の仇のように一気に私にヘイトが向いた。
さっきまで追いかけていたスコティッシュを無視し、回復役を倒した私にヘイトを向けている。回復役を倒したらその瞬間、固定でヘイトがこっちに向くのかな。
「今なら対処できないんじゃない?」
攻撃しようと足を振りかぶるミーアキャット。
なにも神通力だけじゃない。効果力の魔法ならば私はたくさんあるのだ。私は流星群を唱えた。流星群は何度でも放てるぞ。天眼の効果が乗るからな。
特別魔法は天眼の効果は乗らない。が、流星群は普通のスキル。乗るんだなこれが。
さっきは頭が冷静だったから対処できただろうけど、頭に血が上っている今、冷静にこれを対処できるかな。
流星群が私の周りに降り注いだ。
攻撃しようとしていた手を止め、穴を掘ろうとするミーアキャット。私はミーアキャットの懐にもぐりこみ、メイスで思い切りぶったたく。
顎に衝撃が加わったミーアキャットは一瞬怯んだ。そして、そのまま天から落ちてきた隕石がミーアキャットにぶち当たる。
「アギャッ……!」
流星群は次々と降り注ぐ。
何発も、隕石が図体がデカいミーアキャットにぶち当たった。そして、そのまま攻撃役のミーアキャットはダウン。
防御役も冷静に尻尾を大きくして防いでいたようだが、ダメージは免れなかったようだ。
「さて、残り一匹」
残り一匹なら被弾しつつも倒せばいい。
それに、攻撃役じゃないのなら攻撃力も高くないだろう。私はじりじりとにじり寄ると、そのミーアキャットは少しおびえた目をしていた。
《ミーアCT次男はあなたに降伏の意を示しています。テイムしますか?》
「降参か。ま、経験値にしてもいいが……」
「アギャ……」
「戦う意思を亡くした奴を殺しても仕方ないしな。いいよ、テイムしよ」
「アギャッ……!」
テイムしよと言った瞬間、嬉しそうな顔をしていた。
その瞬間、倒れている回復役のミーアキャットを指さす。
「なに、回復させてほしいの?」
「アギャッ」
「スコティッシュ、ポーションある?」
「えっと、あります! 飲ませればいいんですよねぇ?」
「うん」
スコティッシュはポーションを回復役のミーアキャットに飲ませた。回復役のミーアキャットは目を覚ます。
「アギャッ!」
「アギャッアギャギャ」
「アギャ? アギャァ……アギャッ」
何か説明しているようだ。
そして、回復役のミーアキャットは攻撃役のミーアキャットを回復させた。むくりと起き上がった攻撃役のミーアキャットはこちらを見て威嚇するが次男が説明しに向かうと、なるほどと頷いて、私にぺこりと頭を下げた。
「えっとぉ……」
「ミーア兄妹が仲間になった。ねぇ、ここらへんで変な石板ない?」
「アギャ? アギャッ」
そういうと、ミーア兄妹の……次男がそのまま穴を掘っていったかと思うと、地中から石板を取り出した。
その石板にはPと書かれていた。
「お、占い通りだ」
「おぉ~!」
「助かるよ。ミーア兄妹は私たちとくるでしょ? 移動大変だから背中に乗せてよ」
「アギャッ」
ミーア兄妹の長男(攻撃役)と次男(防御役)が姿勢を低くして私たちを乗せたのだった。
回復役がどうやら長女らしい。女の子とか見分けつかないな。
「よーし! 進めー! 全速力だぁ!」
「アギャァッ!」
ミーア兄妹は私たちを乗せて走り始めたのだった。
攻撃役が長男
防御役が次男
回復役が長女




