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神宮寺 神子との対談 ①

 オフ会が終わり、夜を迎える。

 私は用事があると言って、オフ会を抜けた。抜けた直後の部屋では随分と盛り上がっていたようだ。私の今夜の配信を見てくれてるといいが。

 私はまじまんじの事務所に再び訪れ、キャプチャー用のスーツを着させられた。

 ぴっちりとしていて、Vの体がないと本当に不格好。女性としてはあまり見た目的にはよろしくない。全身タイツみたいな感じ……。慣れないなぁ。


 私は配信の部屋に案内される。

 配信の部屋には、私と同じキャプチャー用のスーツを着ている女性が座っていた。顔だけでみるとクール美人といったような感じで、めっちゃ顔がいい。

 

「もしかしなくても玉藻イナリ様でしょうか」

「あ、はい。そうですけど……」

「うわぁ……。本物だァ……。あ、私は神宮寺 神子といいます。イベントの際はありがとうございました」

「あ、いえ。こちらも戦いはしませんでしたが……」

「今日一緒に配信できるだけでも光栄です!」

「いえ、こちらもあまりキャプチャースーツなんて着る体験がほどんどないので、来られてよかったです」


 私たちはとりあえず自己紹介し、配信の時間を迎える。

 私たちの目の前には今の私たちのVの姿が映し出されている。配信画面がこちらでも見れるように設定されているようで、私たちのアバターが椅子に座っている様子が映し出された。


「みなさん、ようこそ。私はまじまんじ所属、新進気鋭の新人VTuber、神宮寺 神子です。そして、こちらが以前私たちが参加したVTuberの仁義なき戦いで、私が優勝してコラボする権利を手に入れた私の推し、玉藻イナリ様です」

「権利とかそんな大げさな……。どうもー。玉藻イナリ様でーす。今日はVの体だ……ってメタいのだめ?」

「いや、イナリ様は普通に顔出しもしてますし言ってもいいんじゃないでしょうか」


 スタッフさんもOKというように丸を手で作っていた。いいのか。


「ということで、今日はVの体でーす。よろしくー!」


 私は手を振る。画面の先の私のアバターも笑顔で手を振っていた。


「今日は私とイナリ様の対談形式での雑談配信となります。私はイナリ様に聞きたい質問をたくさん考えてきたので、それに答えてもらいます」

「ということです。スリーサイズからなにまで言うつもりです。明らかに私の尊厳破壊の質問だけはぜったい答えません」

「そんな質問しませんっ! ではまず一つ目。イナリ様が活動を続けてきて、一番頭を悩ませたことは?」


 あー、その質問か。


「アンチとかの対応とか、ちょっと答えづらいようなエロイねとかそういうのありますか?」

「基本的にないんだけど……。頭を悩ませてるっていうか、ずっと疑問なことがあって。今日も自分が玉藻イナリだってバレないように変装して自身のオフ会に参加したんですよ。そこでも言われたことで、私に救われてるってみんな言うんですよね。ずっとなんで?って思ってます」

「そうなんですね。私もイナリ様に救われてる一人なのですが……」

「神宮寺さんも?」


 ずっとなんでなんだろうって考えてる。

 鬱とか、上手くいかないときとかに見て楽しそうにしているからという理由はわかる。けど、それだと私じゃなくてもいいと思う。

 私は好き勝手やってるだけだからな……。


「なんていうんでしょう……。私も海外の大学で勉強していて、ちょっとうまくいかなくて落ち込んでいた時があって。その時に気分を晴らすために動画見ようとしてたら、引き込まれるようにイナリ様の配信画面を開いちゃって。そっからはまって私もやってみようってことで大学をやめてきたんです。イナリ様って……こう、不思議な魅力がありますよね」

「不思議な?」

「この人ならばなんかしてくれる、この人ならば何かが起きるっていう謎の確信があったんです。実際、占い師さんにも神様だと言われて妙に納得できたんです」

「たしかに言われたし、ママとか一緒にいる相手にめっちゃえぐい幸運きたことあったし……」

「でしょう? 多分、イナリ様は人を引き寄せる力があって、イナリ様を信仰してたら幸運が舞い降りるとかそんな感じで……」

「これ以上続けるとなんか怪しい宗教の話になりそうだから次の質問行きませんか」


 これ以上続けると私を信仰するための壺とか出てきそう。


「はい。では、二つ目。イナリ様が現在進行形で推してるVの人はいますか? 事務所は問いません」

「推してるV? うーん、私のタイプとしては女としてだったらリキエルさんみたいにめっちゃ男勝りな人、女子高生としてならママみたいなおっぱいでかい人。このタイプの人全員推し」

「男勝りってだけなら私もあってるな」

「いや、今性格変えたでしょ……」


 神宮寺さんは自分の胸を見てちんまりとしてるのを見て男勝りのほうにシフトチェンジしやがった。


「スタッフさん、私の胸豊胸しておいてください」

「いやいやいや、デザインを私にあわせないほうがいいっすよ!? 後悔しますよ!?」


 神宮寺さんってもしかして案外狂ってる人?











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