おもちゃの兵隊
私は爆発音とともに、ビル7階に相当する高さから落下していく。
「ちっ、やっぱ2対1はきついな!」
私は地上に落下し、落下ダメージを星の守りで相殺する。
あと2回無効化できる。が、なんだか嫌な予感がするので慎重に動く必要がある。私の嫌な予感は当たるんだ。
「あら、しぶといね。落下ダメージ相当食らってるはずなのに」
「今の爆発魔法で仕留められなかった……。というか、アレを躱すってどんなプレイング……」
「しょうがないわね、あれ使いなさいプリティー」
「わかりました」
私の目の前に現れた橋盾さんとプリティーさん。
プリティーさんは何かのスキルを使ったようだ。たくさんの小さな兵隊が私を取り囲んでいた。小さい兵隊は銃やナイフ、銃剣を所持している。
「なにこれ」
「おもちゃの兵隊です。多勢に無勢って言葉知ってますか?」
「……数の暴力って言葉だろこれ」
「そうともいいますね」
おもちゃの兵隊。
私はとりあえず魔法を放ち倒してみる。が、おもちゃの兵隊はすぐに消滅こそしたがまだ数は多い。何百体いるんだこの兵隊は。
おもちゃの兵隊は私めがけて銃を構えている。
この数は星の守りがあっても無意味だ。あと2回攻撃を防いでくれるが、2回以上ダメージを与えてくるからな……。
まとめて掃討するしかないか。
「死にたくないのならポイントを譲渡してください。してくれるのなら私は引き金を引きません」
「……なぁ、どっちがいい? 未曽有の災害か、天災か」
「?? 質問の意図がわからん」
「どっちがいい?」
「え、どっちも嫌ですけど……。しいて言うなら、天災?」
「おっけー」
私は流星群を放った。
二人は天を見上げると、ものすごく顔が引きつっていた。
「うそでしょ!?」
「え、何このスキル……」
「あっはっは! 降り注げェ!」
私の周辺に隕石がたくさん降り注ぐ。
プリティーさんと橋盾さんはすぐに逃げていた。おもちゃの兵隊は流星群に巻き込まれ、どんどん消滅していく。
流星群が降り注ぎ終わった後は、辺り一面が更地になり、おもちゃの兵隊は一人も残っていなかった。
「えぇ……」
「えげつないスキル持ってるわね……」
「でしょ? ほかにも大津波ってものがありまして」
「……そっちもそっちでやばかったかしら」
「おもちゃの兵隊はこれで掃討完了。厄介だったわ」
「あれを一気に倒されたら私の心折れるんですけど……。私の主力だったのに」
「よし、まずは一人倒そう」
私は半分の魔力を消費し、プリティーさんに神通力をかけた。
私のMPは14000程度ある。天翔神通力は消費MPの3倍の固定ダメージだ。つまり、7000の3倍だから21000ダメージ。
割とオーバーキルだと思う。
天翔神通力は使用すると30分のクールタイムが必要になる。弱体化をちょっと前のアプデで受けた。
「なにその力……。一気にダメージが来てプリティー死んじゃったじゃない」
「天翔神通力って言ってね。私の種族が天狐なんだけど、その効果。消費MPの3倍の固定ダメージを与えるの」
「……なにその強いスキル」
「私のMPが14000くらいあるから、正直固定ダメージだけで大体倒せるんだ」
「馬鹿げてるスキルねェ……。それがあるなら私の負けじゃない」
橋盾さんはため息をついた。
「私の負けよ。負け。でも、ただで死ぬのは面白くないわね。イナリちゃん。一つギャンブルをしない?」
「ギャンブル?」




