戦いを楽しんでいます
このゲームの目的はVTuberを倒してポイントを稼ぐこと。
有名な二つの企業が企画してるだけあって、参加人数が段違いらしい。アローライフ所属のV、まじまんじ所属のVはもちろん、個人勢も売り込むチャンスだと思ってたくさん参加しているのだとか。
私は割と知名度もあるし、チャンネル登録者数も多いほうだ。
売り込むのはもういいんだよね私は。だからまあ、ママに協力する。裏切りはしないけど。
私は廃墟と化した街を歩いていると、突然頭上から大きな剣が降ってきた。
誰かの攻撃か?私はそのまま一歩身を引いて躱す。
「おいおい、不意打ちとは卑怯じゃん?」
「いやいや。これはゲームだぜ。不意打ちだろうが勝てばよかろうなのだよ」
地面に突き刺さった剣を引っこ抜く男。
私はVは基本的に全員把握している。もちろんこの男も知っている。チャンネル登録者数500人の草刈 雑という男だ。
こういう企画は自分を売り込むのにはちょうどいいから、チャンネル登録者数が少ない人とかは熱心に参加するんだろうな……。あ、煽ってるわけじゃないよ。
「草刈さんよぅ。私と本当にやるっていうのかい?」
「チャンネル登録者数が多い相手にも忖度はなしだろ。さっさとやろうぜぇ?」
そういって大剣を大きく振り回す草刈。
私は攻撃の軌道はなんとなく読めたので普通に躱した。残念だったな。こういう大剣を使う敵とは直前に戦ったばかりだぜ。
大剣の弱点はその攻撃速度。
攻撃をしてしまえば、次の一撃に移るまでの時間があらゆる武器でも最長だ。大剣は重いからな……。
私は素早く距離を詰める。そして、草刈のお腹に触れた。
「0距離で躱すことは無理だろ? ”火炎放射”」
私は手から火を放った。
体が火に包まれ、焼き焦げる草刈。そのまま草刈はキルできた。
私の魔法の火力は高い。
ステータスがもう暴力的に高いから同レベルでも私の魔法は耐えられないことが多い。だから、ガードするより躱すに徹底されたら面倒。
火力が高すぎてガードすら崩せるからな……。
私に挑むなら魔法威力軽減のバフを受けてから挑むことだな。
「幸先いいな。まず10ポイント」
ポイント獲得。
私はまた再び獲物を探しに向かおうとすると、なんだか気配を感じた。私は背後を振り返ると剣を持った女の人が剣を振り下ろしてくる。
「気づくんだ」
「そんだけ殺気出されたらねぇ!」
私は剣を躱す。
後ろには女性の魔法使いも立っていた。
「まじまんじ所属の人ですよね? それも結構有名な……」
「そうだよ。天野 橋盾っていうんだ。よろしくね。イナリちゃん」
「天野さんも私を知ってるんすか?」
「そりゃ個人勢では超有名でしょ。知ってる知ってる」
「光栄の極み。で、後ろの魔法使いちゃんはプリティーちゃんですよね?」
「あ、私も知られてるんだ……。なんか嬉しいな……」
「そりゃまじまんじさんは大手ですから! 私はVオタクでもあるんで、全員名前だけは把握しておりますとも!」
プリティーさんは少し控えめな性格。
でも、天然で生放送のときには意図しない事故が起きてよく神回になる。
「イナリちゃん、お前もまじまんじに入らないか?」
「勧誘?」
「まじまんじに入ったらどうだ? 個人では限界があるだろ」
「バックに大手企業がいたら結構いいことありますよ……」
「なにその反社みたいな誘い方……。まぁ、遠慮します。私結構下ネタとかぶっこむんでそういうのやりすぎはダメっていうのが無理なんです」
「そうかぁ。人気としては申し分ないからいいと思ったんだけどなァ」
「それアローライフの人にも言われました」
「おお、さすが目を付ける人は似通ってるね」
「それよりバトルするんでしょ? こんな緩い雰囲気から……」
「そうだね。やる?」
「やりますか」
そういって、プリティーさんは魔法を放ってきた。
「さぁ、始めようぜ戦いを! 恨みっこなしだぜ!」
「始めます!」
「大手事務所への下克上、いっきまーーーーーす!」




