VTuberデスゲーム
この光の弓矢についてまとめてみよう。
まず弾数。1発しか放たれてないのを見るに、連射性能はないか、1発という弾数に制限があるタイプか、魔力をめっちゃ使うか。
魔力をめっちゃ使うのならMP回復ポーションを今飲めばいいもんな。氷柱を受けながら回復ポーションを飲み、弓矢でこちらを狙っている。
次に威力。
威力に関しては多分強い。あんな自信満々で繰り出してきたこの光の追尾型の矢。弱いわけがない。
そして、魔法。
魔法で叩き落すとなにかしらの不利益が出ると見た。
魔法を反射する性質か、魔法を吸収する性質か。武器としての性質を見ると、前者は矢ではありえないだろう。反射したところで反射角が定まらずうまい事こちらに反射させるのはまず無理。その時点で反射した魔法が当たればいいなというお祈りゲーになる。
となると、吸収されるとみて間違いないだろう。
「この矢の対処方法は……思いついているので二通り」
「何をごちゃごちゃ言ってるんだ? 早くポイント寄越せよォ!」
「よし、面白そうなほうにしよう!」
私は女と距離を詰めた。
そして、そのまま顔面をつかみ、顔面に膝蹴りを食らわせた。
「なっ……」
「んー、やっぱ近接戦は魔法より火力は出ないか」
「お前、魔法使いのはず……」
「イナリちゃんをなめるなよ。体術もできらぁ!」
光の矢をぎりぎりで躱しつつ、私は女に暴力をふるう。
字面がちょっとあれだな。攻撃を加える。
「なんでそんなぎりぎりで躱しながら私に攻撃……」
「私天才だから。トドメぇ!」
私は近くで火属性の魔法を放った。
女はそのままキルされて消えていく。光の矢もスキルを使ったプレイヤーが消えたことで、効果がなくなったようだった。
なんだったんだと思っていると、ママと、不知火さん、リキエルさんが近づいてきた。
「ごめんなさいねぇ。急に呼び出してしまって」
「なんすか? ポイントとかごちゃごちゃ言ってましたけど」
「今、24時間で全VTuberで殺し合い企画をしてるんです。VTuberならだれでも参加可能で、個人勢でも事務所所属でもっていう感じの。アローライフとまじまんじの合同企画なんです」
「わお、二大巨頭の……」
「それでですね、イナリちゃんにも参戦していただきたく……。参加条件は満たしていますから」
「……私最近Vなのか疑問なんですけどね?」
もう顔バレしてるし、顔出ししてる動画もあるし。
もう遅い気がするが。
私はママから詳しいルール説明を聞いた。VTuberの殺し合い企画。ポイント制で、一人倒すごとに10ポイントが贈呈されるらしい。
そのポイントの総数を競う個人戦。あくまで個人戦。団体戦ではない。
ルールとしては、ポイントの譲渡はお互いの合意があれば可能ということらしい。が、協力するメリットはあんまりない気がする。
協力したとて結局は個人戦。最後には裏切るんだよな。どうせ。
そして、もちろん大会みたいなものであるので、優勝賞品もあるらしい。優勝賞品はまじまんじ、アローライフに所属する好きなVTuberとのコラボ権利、いらない人は100万円。リアルのお金で。
うーむ。私としては正直いらんのよな。だってアローライフの人たちとはママたちと多くかかわってるし。
「優勝賞品にそこまで興味がないから私参加する意味ないのでは」
「だからこそ手伝ってほしいんですよ~。仲間を増やしたいんです。優勝賞品に興味ないイナリちゃんは裏切らないという確信がありますから」
「……私が参加するメリットなくないっすか?」
「優勝出来たら私と一緒にラブホいきましょ♪」
「おし乗った気張っていこー!」
美人なママとラブホ始めていける権利ですか! これはたまりませんなぁ! ママのおっぱいとか合意の上で揉んでいいってことですもんね!
「改めて思うが、イナリ君は高校生のくせに相当な変態だねぇ」
「ま、いいじゃねえか。これでママの協力者はいつもの三人だ!」
「リキエルさんたちは優勝とかに興味は?」
「ないね。私としては生々しい話にはなるが、100万円はすぐに稼げるし、コラボもたくさんしている。むしろ、これで喜ぶのは無名のVくらいだろう」
「大手所属は大半稼ぎはいいしな。ママのように優勝を目指すほうが珍しいまであるよ。まぁ、もらえる者はもらっておく精神が高いからみんな本気だけどな。あたしは戦えればそれでいい! あたしらはママ優勝を掲げてんだ!」
「だいぶ生々しい話ばっかですけどカメラで撮られてません?」
「大丈夫だよ。たしかにこれは生放送だが、そういう話は誰しもがする。こういう企画は優勝を狙うより、楽しんだもの勝ちなのさ」
「ではイナリちゃんにもコメントを視聴できるようにしますねぇ。えいっ」
コメントが表示される。
さすがママというべきか、めちゃくちゃ同接があるな。
中には私の視聴者もいるようで。
『あれ、疲れたから寝るとか言ってなかった?』
「ん、コンビニ行って夜食食ったら眠れなくなっちゃって」
さっきまで配信していたことを知っていた視聴者もいた。
「とりあえず、各々カメラを回してください。ばらけましょう。ばらけてたくさんバトルして勝ってきてください! 集合は私がメッセージで送りますので!」
「了解だよ。腕が鳴るねぇ」
「あたしもだ! うずうずしてきたぜ……! どこかに腕の立つVはいねえかぁーーーっ!」
二人はさっそく戦いに向かっていた。
私もぼちぼち向かうかね……。




