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コンビニ

 乙姫と別れ、良い時間となったので配信も終了とした。

 私はふぅと溜息を吐く。


「今日はログアウトすっかなぁー。疲れたし」

「ん、わかったよ。僕はしばらく遊んでいるからログアウトするなら船を呼ぼう」

「……船って札幌の石狩のほうだよな? 呼べるの?」

「ああ。このアイテムがあればね」


 取り出したのはリモコンのようなもの。召喚と書かれた石がはめ込まれており、アルカードがそれに触れると、目の前にはノアの箱舟が浮かんでいたのだった。

 便利ぃ……。どこでも呼び出すことができるのか。私は船に上り、自分の部屋に向かう。そして、そのままログアウトボタンを押して、現実世界へと戻ったのだった。


「あーーーっ、疲れたぁーーー。お腹すいたし、夜食でも買いにいこっかなぁ」


 今の時間は午後11時。

 夕方5時から配信していて、夕ご飯を食べてなかったからな……。母さんたちは今日いないし、晩御飯を食べてないからお腹が……。

 私は財布を持ち、外に出る。


 外はきれいな星空だった。

 満月。きれいな星空。だけどめっちゃ寒い。もう季節は秋で、北海道は秋もとても寒くなる。上着着てきて正解だったな……。

 私は最寄りのコンビニまでポケットに手を突っ込み、歩き出す。


「……なんかいるなぁ」


 目の前にはトレンチコートを着たサングラスの男がいた。

 こちらを見ている気がする。まぁ、君子危うきに近寄らずともいうし、スルーするか。私は目をくれないように歩き出す。

 すると、男が私の目の前に立ったかと思うと、トレンチコートをガバっと開く。

 男の局部があらわになった。


「……ちっさ」


 私はそう言い残して去っていく。

 今更その程度のもので私が動揺すると思うなよ変態。で、なんなんだあいつは。ちっさって言った瞬間涙目になった気がするが。

 まぁいいや。私はコンビニめがけて歩き出す。


 だがしかし、先ほどの男が再び私に追いついて局部をあらわにさせながらじりじりと近寄ってくる。

 あれか。これ露出魔ってやつ。何が目的でこんなことするんだろうな。いたいけな女子高生にこんな局部を見せつけてトラウマを作ってやろうという悪意か?

 私は鍛えられてんだぞ。こんなもんエロ同人誌とかで見慣れたわ。


「なんすか?」

「……」


 息を荒くして、近づいてくる。

 なにこれ。たまーに変な事件に巻き込まれるけど今度はこんな変態と? そもそも露出をして何が楽しいんだろう。

 仕方ないので私は警察を呼ぶことにした。携帯を取り出した瞬間、男が逃げ出そうとしていたので私はトレンチコートをつかむ。

 トレンチコートの下は全裸だから逃げるにもトレンチコートを捨てなければ逃げれないだろ。


 私はすぐに警察を呼び、パトカーがやってくる。


 全裸で土下座している様子の男が警察の目に移り、男は警察に連行されていったのだった。私には大丈夫かという声をかけられたけど、あんな小さいのは見ても鼻で笑ってしまうとだけ言うと少し気の毒そうにしていた。

 私は当初の目的であるコンビニに入る。


 コンビニに入ると。


「おろ」

「あ、イナリさん!」


 勇者メロンがコンビニの制服を着て品出しをしていた。


「……バイトしてるの?」

「うん! Vの収益じゃやっぱまだやってけなくてさ。バイトして生計立ててるの」

「ほえー……。定職にはつかないの?」

「うーん。つかないかな。私って社不しゃふだし、責任持ちたくないんだよね……」

「あー……」

「企業の戦士でいるより、使い捨ての駒であるってほうがまだ心的に余裕があってさ。切り捨てられたら仕方ないって感じでいるほうがいいんだよね」

「なんとなくわかる気がする」


 使い捨てであると理解したら心に余裕できるよな……。


「それで何か買いに来たの? 課金カード?」

「いや、夜食」

「おぉ、夜食。課金カードはいいのかい?」

「いや、いいかな……。なぜそんな進めてくるの?」

「……私たちがやってるゲームに、初心者応援パックというのが実装されるらしいから」

「……まじぃ?」

「まじまじ! 3000円って高いけど、虹色のスキルの書が1個確実にもらえるんだよ。私も強いスキルが欲しいからさ……。買いたいんだ」

「ほう……? じゃあ、予定外だけど買おうかな」


 虹色スキルの書は取得方法がまだ少ないからな。手に入れられるときに買っておいたほうがいいか。










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