クエストの終わり
苫小牧のほうにつくと、火星人がたくさんわらわらと集まっていた。
アルカード一人で対応している。スコティッシュとヒバナも頑張って戦ってはいるが、あまり倒せてはいないようだった。
アルカードもこの結構な人数を相手しているせいか、ものすごい疲れが見える。乙姫が無傷なのはすごいが……。
「アルカード! 来たよ!」
「ようやくか。守りながら戦うのは疲れる。早く参戦しろ!」
「わかってるよ! 銀狼、やるよ」
「依頼人たちをぶっ殺すのは気が引けるが仕方ねえなぁ!」
銀狼は大剣を振るう。
大剣の一撃が、火星人の大半を切り裂いた。
「……一撃の威力かこれは。というか、なぜそいつがいる?」
「仲間になった」
「おう。銀狼だ。よろしく頼むぜ」
銀狼は大剣を肩に担ぎ、にやりと笑う。銀狼と乙姫が目を合わせた。乙姫は銀狼の顔を見て。
「嘘……」
と告げていた。
「……知り合い?」
「いや? 俺は乙姫と知り合いじゃねえぞ」
じゃあ乙姫の嘘っていうセリフは何なんだ?
私はとりあえず、火星人のせん滅のほうを優先することにした。エクスプロージョンを放ち、火星人を諸共爆破させる。
銀狼も大剣を振り、すごい威力の斬撃を放った。
そして、気が付くと大量にいた火星人はいなくなり、乙姫が無事に生還したのだった。
「大丈夫か? 乙姫」
「……なんて素敵な人」
「……ん?」
「ああ、運命の人よ! まさしくこの人は私の運命! 惚れたわ!」
「ん?」
……もしかしてさっきの嘘って惚れてしまったっていうときに出たセリフってこと?
乙姫は銀狼に抱き着いていた。すりすりと顔を擦り、私の王子様というセリフを吐いた。銀狼は何が何だかわかってない様子で。
さっき見たのにさっきはなんともなかったんだろうか? こいつお前を殺しに来てたやつだけど。
「もしかして、王子様は私を助けてくれたのですか?」
「あ? ああ。まぁ、そういう約束なのでな」
「まぁ! この乙姫、嬉しいわ!」
乙姫は今日一の笑顔を向けていた。
乙姫は上機嫌のまま、こちらを向いた。乙姫は私のもとに近寄ってくる。
「イナリ様……! ここまで連れてきていただいた挙句、最愛の運命の人に出会わせてもらえるなんて感謝しきれないわ! この感謝はきちんと、行動で表してあげる! さぁ、受け取りなさい! 私の特別なスキルよ!」
「えっ」
「護衛はここまででいいわ! 私は王子様に守ってもらうから♡」
「えっ」
《特別スキル:超反転 を取得しました》
《特別水魔法:大津波 を取得しました》
《ここにいる全員に水圧耐性が与えられました》
というアナウンスが聞こえ、乙姫は銀狼の手を取りどこかへ行ってしまったのだった。
「……もしかして、銀狼を生きて乙姫と会わせること。それが真のクリア条件だったということか?」
「みたいだな。それを偶然にも成し遂げた、と。お前、本当にすごいな」
「私も水圧耐性スキル手に入れられましたぁ。宝の持ち腐れですけどぉ……」
「これは潜って深海魚をとれるってことっすよね!? 深海魚といやぁアンコウっす! アンコウ鍋を作りたいんでさっそくもぐろー!」
「私はそれ以外に特別水魔法と特別スキルゲットしたわ……」
「どんなだ?」
私はアルカードにスキルの説明をする。
「超反転……。スキルの効果を逆にするもの? 回復がダメージになったりするということか」
「そういうこと。私の神通力が回復魔法になったりするし、属性魔法で使うと、相手の弱点が反対になるみたい」
「水で風に弱点を付けて、風が火に弱点を付けてと弱点属性が反転するのか。それもいいが……あまり使えるものだとは」
「いや、私のスキルでめっちゃいいスキルがあるんだよ。天狐の呪いっていうんですけど」
超反転はスキルの効果を逆にするだけではなく、20%増副効果を持っている。
天狐の呪いは徐々にMPが減っていく。これは相手も対象だが味方も対象である。つまり、超反転を使って天狐の呪いを発動すると、相手もMPを回復するが味方もMPを回復するということ。
対人戦においてはそこまでだが、魔物にはMPという概念は仲間にならない限りない。
つまり、こちらだけMPが回復するということだ。
「おお……。つまり、天狐の呪いを反転させると対魔物戦においては俺らにも恩恵があるな。それはいいスキルだな」
「だろ?」
「生産職にも効果ありますねぇ。生産職も物を作る際にどんどんMPを消費するんですぅ。難しい工程になればなるほど……。だから生産職もレベル上げって大事なんですけどぉ……。イナリさんが近くにいてくれたら枯渇の心配ないですねぇ」
「そういう使い方もあるか。組み合わせというのはやはり心躍るな」
組み合わせによって化けるスキルってのがあるもんだなァ……。




