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竜宮城

 光の届かない深海へもぐっていく。

 竜宮城のようなものはまだ見えない。陸地で調査している三人からの連絡もないし、まだ竜宮城のフラグは見つかっていないんだろう。

 

 私はとりあえず一度水面に出た。

 少し陸地から離れており、泳いで陸地に向かうには時間かかる距離だなァ。船とかも通りかかってくれなさそうだからしばらくはここで調査するしかないかな。

 幸い、配信中だから一人じゃないというのも嬉しいが。


「さて、もっかい探……」


 と、私が潜ろうとしたとき、遠くから声が聞こえてくる。

 メガホンを持った漁師であろう人がこちらに何か呼び掛けているようだった。気を付けろという声が聞こえてくる。

 その瞬間、私の体が突然何もしてないのに動き出した。ぐるん、ぐるんと回りだし……。


「って、渦潮!?」


 私は大きな渦潮に巻き込まれていた。

 なんでこんなところで渦潮が起きるんだ!? ここは海流がぶつかるとかそういうところじゃないはず。渦潮が起きるなんてありえない……。

 私は渦潮に飲まれ、そのまま、沈んでいく。

 少しの間、視界が暗転していったのだった。




 そして、目が覚めると。

 目が覚めると、私は美しいサンゴ礁などがあしらわれたお城が目の前にあったのだった。


「え、ナニコレ」


 私が目を覚まし、辺りを見渡して出たのはその一言。

 ギィィと城の扉が開いた。そして、中から出てきたのは美しい女性。水色の髪をたなびかせて、水色の着物を着た女性が魚を連れてやってきた。

 随分おしとやかそうな女性だな……。


「よく来たわね、狐」

「……全然おしとやかじゃない」

「歓迎するわ。ようこそ、竜宮城へ」

「……竜宮城? ここが!?」

「ええ。運がいいわね。あなた」


 竜宮城らしい。

 

「……あなたは?」

「私? 私は乙姫よ。この竜宮城の主。我が海の城にずけずけと来た狐。案内するわ」


 そういって、乙姫は中へと入っていく。

 ついてこいと背中で語っていた。私は中へと入っていく。城内はサンゴ礁や、真珠などのきれいなもので飾り付けられていて、乙姫が座ったのはデカい貝殻。

 シャコガイみたいな感じの貝。


「まず初めにいらっしゃい。竜宮城へ」

「うす……」

「実はこの竜宮城にあんたを呼んだのは理由があるのよ」

「理由?」


 乙姫はこほんと咳払いをした。


「私を、地上に連れて行きなさい!」


 と、乙姫がそう言い放った。


「……地上に?」

「そう! 私、昔からの夢なのよ! たまーに竜宮城に人間を引き込んでは地上を案内させようと思ってるんだけどみんななんか拒否するのよ。でも、私は地上に出てみたい。地上がどんなところか知らないし」

「勝手に一人で出ればいいんじゃ?」

「一人だと迷子になるじゃない」

「そうですか……」


 沖縄で迷子にはなりづらいと思うけど。

 なんなら困ったら海へ行けば迷子になんてならないと思うけど。


「もちろん報酬は出すわ。私の力を授けてあげる。悪い話じゃないわよ。あなたは特別な力を得れる、私は地上へ出てはしゃげる。ウィンウィンの関係よ」

「……ならいいかなぁ。どこへ行きたいとか要望あります?」

「そうねぇ。魚の話だと県というものがあるそうじゃない。私が一番気になってるのは……北海道ね」

「北海道……」


 沖縄から一番遠いじゃねえか。

 まぁ、連れて行くといった手前断るわけにもいかないしな。私は行こうというと、乙姫は嬉しそうに笑顔を浮かべて、さっそく行こうと言い出した。

 

《クエスト:乙姫、地上へ! を開始します》









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