竜宮城のフラグ
「ここがこのVRの沖縄っすかー! 現実とあんま変わんないすね!」
「沖縄一度も行ったことがないのでよくわかりません……」
船の上に、ヒバナ、スコティッシュが上陸した。
私はとりあえずアルカードのところに連れて行く。
「アルカード、こっちギルドのメンバー」
「スコティッシュですぅ。よろしくお願いしますねぇ」
「ヒバナっす! よろしくっす!」
「アルカード。よろしく」
アルカードはいつの間にかサングラスを付けていた。
スコティッシュは持ってきていた簡易工房セットを手にして、さっそく防具を作っていた。
「スコティッシュ。スコティッシュか……。名前は聞いたことがあるよ。優れた生産職のプレイヤーなんだって?」
「そんな……。優れてるというわけではありませんが……。一応生産職ですぅ」
「謙遜するなよ。ヒバナもスコティッシュも生産職としては一線級のプレイヤーだ。よくもそんな人物をギルドに入れているな」
「入れられたというか、私から入ったんすけどね!」
「ギルドに入ってる人たちはみんなイナリさんのファンなんですぅ。イナリさんは私たちの推しでぇ……」
「なるほど。神格化されている神に信者が募るは当然か」
「神て」
「実際占われたんだろう?」
あれ本当なのかあやしいところなんですけど。
私がそういうと、そういう商売をしている人たちが疑われるので何も言わないが。
「ふふ、大成功ですぅ。おまけのスキルもついてきましたよぉ。水泳レベル3もついでにつきましたぁ。どうぞ、イナリさん!」
と、渡されたのはビキニアーマーみたいなもの。
これが水圧耐性がついている装備らしい。こんな装備で大丈夫なんだろうか。水着と守ってる面積変わんないんですけど?
まぁでも、エロイ。これに限る。
「今の私えっろ」
「ふおおおお! えろいっすね!」
「お似合いですぅ」
「……男の俺はどう反応したらいいんだ? 何を言ってもセクハラになるだろ」
「これが紅一点……違うな。男一人の場合はなんていうんだ?」
「ないっすよ? 紅一点の反対の言葉はないっす」
「そうなんですかぁ……? てっきり白一点かと思いましたぁ……」
「物知りだな」
「えへへ。これでもクイズ研究部っすから!」
「……料理研究部じゃないの?」
「料理研究部は私の学校に存在しないので!」
そうなのか……。
「とりま、潜ってくるよ」
「わかった。では、潜って探すのはイナリに任せて……」
「アルカードたちは陸地で情報を頼むね!」
「は、はいぃ! 竜宮城、ですよね。楽しみです……」
「浦島太郎っすよねー! いいじゃないっすかー!」
二人のテンションは高めなのでちょっとは期待できるかな?
私は再び海へもぐることになった。竜宮城というのならば、気になるのは亀だろう。現代日本で砂浜にウミガメがいたとしていじめるような子供いるか?
いや……いるにはいそうだが、昔のように叩いて遊ぶとかだろうな……。
フラグがあるとしたらそれかもしれない。
浦島太郎のストーリーになぞらえて進む……のかもしれないという危惧はしつつ、私は深く深く潜っていくのだった。




