あの鉱山にはボスがいるらしい
私のギルドは三人になった。
フォーチュンが加入し、とりあえずサブリーダーのスコティッシュと顔合わせさせることにした。スコティッシュを石の町まで呼び出し、フォーチュンと出会わせる。
「ど、どうもぉ……。私がサブリーダーのスコティッシュですぅ……」
「フォーチュン、ヨ。フフフ、視えるワ。あなたは以前の作品でも生産職としてはトップクラスだったスコティッシュよネ。それぐらい知ってるワ」
「こ、光栄ですぅ……!」
スコティッシュは笑顔で握手していた。
「フォーチュンさんは何やられる方なんですかぁ……?」
「私は魔法使いヨ。さぁ、あなたも私の呪いをかけてあげるワ! 友好のあかしとしてネ!」
フォーチュンはスコティッシュを座らせて周りをぐるぐる回っていた。
スコティッシュは何が何だかわからないまま座り込む。そして。
「キエエエエエエエッ!」
「ひいいいいい!? なんですかぁ!?」
「ふぅ……。これであなたにも幸運が訪れるワ。私の幸運のおまじないは仲がいい人にしかやらないノ。誇ってもいいワ」
「そ、そうなんですねぇ。運がよくなったんですか。嬉しいですぅ」
スコティッシュは笑顔を振りまいた。
「スコティッシュー、これあげるよ」
「これ……? って、えぇ!? 超レア鉱石のサンシャイン鉱石に、レアメタルに……。超レア素材ばかりですぅ! このおまじないの効果ですかぁ!?」
「そう。あげるよ。加工は任せた。私の武器とかもろもろ作ってほしいんだよね」
「はいぃ……。ですが、そのぉ……。作るための場所がないというか……。今必死に金策に走って入るんですけどまだ持ち歩き鍛冶セットすら買えなくて……」
「高いものネ。ならば私が手に入れた鉱石を足しにしなさイ。私の杖もいずれ頼むことになるからネ」
「あ、ありがとうございますぅ!」
鉱山で手に入れた鉱石をスコティッシュに渡す。
スコティッシュはいろいろと石の町を調べてきたようで、鉱山について聞いてきた。私たちが掘った鉱山のことを説明すると、そこはいろいろあるとか言い始める。
「あの鉱山は終盤に手に入るようなものだろっていう鉱石も出るらしいです。さすが石の町ですね。中には炭鉱夫……鉱石を狩る人たちがこぞって硬くて掘れないっていうボス鉱石もあるみたいで……。あの鉱山にはいろいろ言われてることがあるみたいです。何かのイベントの引き金にもなると思います」
「ふぅん……。まぁ、そうか。そりゃそうか。あんないい鉱山がイベントにかかわらないわけないもんな」
「はいぃ……。一応、これなんじゃないかっていう目安はついてるんです。多分あの鉱山には鉱石を主食とするボスモンスターのストーンドラゴンが住んでるはずです。鉱山のどこかにいるはずです」
「あー、いたとしても今戦って勝てる気しないわ。さすがに序盤でドラゴンはな……」
「フフフ、確かに何かを感じたもノ。そいつの気配だったのネ」
「こちらから手を出さなければ温厚らしいので……。出会わないように注意してくださいぃ」
スコティッシュは調べてきたこと全部話してくれた。
たしかにあの鉱山はまだなんかあるよな。奥深くまで行ったわけじゃないし、全部探索するってなったら一日二日じゃ到底無理な複雑さ。中の地図もないのに歩き回れるわけがない。
「それじゃ私はとりあえずこの鉱石を売ってきますぅ。金が足りて持ち歩き鍛冶セットを買えたら武器をおつくり致しますね」
「うん。っていいたいけど私の武器って木製だから大工の工具とかじゃないの?」
「このゲームは武器全部鍛冶台で作れるようなんです。もっとも大工の工具もあるのですが……。そちらのほうで作ったら品質がものすごくよくなるだけっぽくて。そっちは工房を持ってから作ろうかと」
「へぇ」
「そういう仕組みなのネ。フフ、頑張りなさイ」
「はいぃ!」
スコティッシュは走っていってしまった。
「私もログアウトするワ。宿題が残ってるもノ」
「わかった。またね」
「また遊びましょウ」
フォーチュンもログアウトしてしまった。
さて、私はまだやるか。




