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半人半神

 よく当たる占い師の店はすすきのにある。

 札幌女子高生の中でめちゃくちゃ話題なのだ。女子高生はそういうのすごい好きだからな……。でも、店の名前が占いの砦という名前で、すすきのにあるということも相まって、言っては何だがそういう大人の店だと思ってた。


「いらっしゃいませ。よくぞお越しくださいました」


 40代くらいの女性が出迎えてくれた。

 案内された部屋の中には水晶玉やタロットなどの占いに使う道具一式がある。私は椅子に座り、守護霊を占ってほしいと告げた。


「守護霊を占ってほしいのならば……この水晶玉をしばらく見つめてくださいませ……。この水晶玉にあなたの守護霊が視えます」


 というのでジーっと見つめてみる。

 が、私の顔を反射しているというだけで、何も見えてこない。そういうスピリチュアルと私の相性って悪いからなァ……。

 占い師さんも水晶玉をのぞき込んでいた。すると、みるみるうちに顔が青くなっていく。


「……そんな怖い守護霊なんすか?」

「……あなた、幼少期不思議な体験、してない?」

「不思議な体験?」

「誰もいない神社にいったとか……そこで狐と出会ったとか」

「あ、しましたね。突然誰もいなくなったかと思ったら狐がいて……。そっから不思議なことばっか起きてるんすよね」

「そう、よね……。これは狐憑き……。いや、それにしては悪影響をもたらすつもりはない……。というか、この風格ってもしかして神なのでは……?」


 占い師さんがぶつくさ言っていた。


「なんか私の守護霊が変なんですか?」

「この狐の神様はこの子をものすごく好いている……。あなた、ものすごく運がいい、わね?」

「え? まぁ、そうっすね。運はものすごくいいです」

「そう、よね。あなた、誰かに刺されるとか、車にひかれたとか死にかけたことはある?」

「5階建ての建物の屋上から落ちたことが2回くらい」

「……だからこんな曖昧なのね」


 占い師さんはこほんと咳払いをしていた。


「あなた、半分神になっているわね」


 と、思いもよらない返答が来た。


「……えっ?」

「最初に死にかけた際に……。半分死んでしまって、その狐の神様が宿ったという感じね。信じられない話ではあるでしょうけれど……。半分神様の領域に足を突っ込んでる人間なんて初めて見たわ」

「嘘やろ」

「嘘じゃないのよ。信じられないならそれでもいい。でも、あなたはこの先もずっと運がいいままよ。あなたは神様に守られているし、神の力を宿している。あなたと関わった人、みんな幸せをつかんでいない? あなたと話したら幸せになっただとか、あなたと友達でいいことが起きたとかそういうのはない?」

「あー」


 ママが宝くじが当たったとか言ってたな。


「あったっすね」

「でしょ? あなたのご利益よ。あなたは知らず知らずのうちに周りに幸運を振りまいてるの。いい神様ね」

「そういう褒め方されんの初めてなんですけど」

「あなたのその神聖なオーラに充てられて、どんどん人を集めていくのね。あなた、動画投稿サイトで配信とかしてる?」

「まぁ……」

「チャンネル登録者、多いでしょ」

「そんなことわかるんすか? ま、まあ身バレしてるし顔で大体わかりますよね」

「私そういうの見たことないからあなたが誰かとか知らないわ。でも、そういうオーラがある」


 そうなんすか。

 よくわかんねっす。


「守護霊を変えることは私にはできないわ。祓ってもらう必要もないわね。うん、これからも周りに運気をばらまいてあげるといいわ」

「運気をばらまいて私の運がなくなるとかないですよね?」

「相当強い神様だから大丈夫よ。あなた、どえらいものに気に入られてるわね」


 えぇ……。

 私は驚きながらも、金を払おうと財布を取り出そうとしたら。


「お金はいいわ。珍しいものを見せてもらったもの」

「…………」


 拒否され、私はそのまま退店する。

 うーむ、神様か……。











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