次の舞台
もとより配信するつもりだったからね今日。
フラグを起こしてくれたんなら早速撮影撮影!
「こんにちはー! 全世界に性癖が公開されてしまった変態系VTuberの玉藻イナリでーす!」
「君の紹介はそれでいいのか?」
「そして、こっちはなんと、新たに私のギルド、イナリ神社に入ったアルカード君です」
「ふふ、よろしく」
アルカードがふりふりと手を振る。
『……マジのアルカード?』
『世界最強のプレイヤーだ……。顔が同じ……?』
『マジで!?』
と、アルカードのことを知っている人たちが多かった。
私は名前こそ知っていたが、顔はよく知らなかったから気づくのに時間がかかったが、やっぱりゲーマーはすぐに気づくくらいには有名な人。
整った顔立ちと、その喋り方からして本人だと断定されたみたいだ。
「改めまして、新入りのアルカードです。俺のことを知ってくれている人もいるようでうれしい限りだよ」
「というわけで、今日は新入りのアルカードと一緒に新ステージ行くんだけど……フラグ立て、してくれたんだよね?」
「もちろん。すでに行けるよ。すぐ近くに用意してある」
私は気になっているものを指さした。
というのも、拠点を出てすぐには気づかなかったが……。拠点の裏に馬鹿でかい何かがあった。屋敷と同じくらいの大きさの……。
「んだよこれ、帆船?」
「そう! これが新ステージにいくための船さ」
「水もないのにどこに行くんだっていう話なんですけど」
「ファンタジーって船が海をいくものとは限らないでしょ? 乗ってみればわかるよ」
というので、私は船に乗ってみる。
内装はいたって普通の船という感じ。客室があって、厨房があって……。動力炉には気になるものがあった。
それに、オールが下に取り付けられている。あのオールは何を意味しているのだろうか?
「乗ったね。じゃ、動かすよ」
そういうと、船が揺れ始める。
船体が浮き始め、オールが動いていた。こんなデカい船が飛行船のようなものもなく浮いている……?
すると、船は前へ進みだす。凄いスピードで、私は気が付くと宇宙にいた。
「……まさか新ステージって」
「そう! 俺も初見は驚いたよ。新ステージは宇宙! 宇宙を次は冒険するのさ」
「隣の大陸とかじゃなくて!?」
「じゃなくて、宇宙。話によると、いろんな惑星を旅できるみたいだよ。中には俺たちが住んでいる地球そっくりの惑星もあるんだとか」
「へぇ……」
今度の舞台は宇宙か。
ちょっとワクワクしてきたな。私は宇宙を眺めていると、甲板に何か突然落ちてきた。落ちてきたのはたこみたいな感じの宇宙人。
「なんだこいつ」
「そいつは宇宙魔物。俺たちに攻撃の意思を持つ生物」
「ふぅん」
「レベルは高いが俺たちの相手じゃない。ちゃちゃっとやっつけようか」
アルカードは双剣を取り出した。
アルカードは双剣使いか。私は杖を装備し、魔法を唱える。
宇宙魔物は魔法攻撃一発で終わった。
「へぇ、一発……。相当ステータス高いね?」
「うん。レベルももう70だし」
「そんな高いのか。どうやってレベリングした?」
「うちのギルメンのスコティッシュが作ったクローゼットダンジョンをソロ攻略」
「なるほど。話によると、クローゼットダンジョンは品質によってレベルが変わる。相当うまく作れる生産職か。スコティッシュ……。知ってはいたがナメていた」
うちのスコティッシュはすごいだろ。
「……で、この船に名前はあるの?」
「ある。ノアと名付けた」
「ノアの箱舟か」
いい名前だ。
「じゃ、ノアの箱舟! 未知の惑星めがけて全速前進!」




