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天才ゲーマー、アルカード

 私の性癖は全世界へ公開された。

 この一文だけでだいぶパワーワードだと思う。それと同時に、ハロウィンイベントが明けるとゲームのメンテナンスがやってくる。

 メンテナンスを終えて、公式サイトを確認。大規模なアップデートがあったらしい。


 半年で大規模なアップデート……。何が追加されたんだろうか。


 私はゲームにログインする。が、いつもと変わらない部屋だった。

 アプデ内容は新たなステージの追加とかだったな……。となると、そのステージに行くためのイベントが追加されているはず。

 とっとと出かけてイベントに出会ってこよー!


 ウキウキ気分で外に出ると、なにやら拠点の前に一人のプレイヤーが立っていた。

 めっちゃイケメン……。


「おや? 君が玉藻イナリ君、だね」

「そうだけど……。私に何か用?」

「何か用ってほどでもないけど……。へぇ。君も天才といわれる人種なんだ」


 と、私の顔を覗き込んでくるイケメン。

 なんだこいつ。


「見た目も俺みたいにイケてるし、実力もある。こりゃ人気が出るわけだ」

「……あの、なに?」

「いや、こっちの話。ああ、失礼。俺の名前はアルカード。よろしく」

「アルカードって……」


 聞いたことある。

 というか、ガチでゲームやってる人とかは誰でも知ってるような名前だ。プレイヤーネーム、アルカード。

 17と私と同い年にして、数々のゲーム大会で優勝している世界最強のゲームプレイヤー。

 

「知ってるの? 光栄だね」

「なんでそんな世界最強のプレイヤーが私のとこに?」

「君の噂を聞いたから。君もゲームがうまいんだって?」

「うまいのかね?」

「少なくとも、俺の耳に届くくらいなんだから相当うまい。それに、君は世界的にも有名な配信者だ。僕が構成したいギルドのメンバーにぴったりだね」

「……だから?」

「もう薄々感づいているだろう? 僕がここに来た目的」

「自分のギルドへの勧誘だろ……」


 たしかにアルカードが作るギルドには興味がある。きっと世界最強のギルドになるんだろうが……。


「あいにく、私は世界最強だなんて興味ないし、私は今のギルドあるから無理だよ」

「だろうね。断られることを承知で来たのさ」

「……わかってんなら来る必要ないのでは?」

「それでもなおだよ。先日の君の配信、見させてもらった。凄くおもしろかったよ。人気が出るのも頷ける。俺もそれ以来ファンだよ。君の」

「……マジ?」

「だからこそ、一目会いたかったというのもあるんだ」

「……そう」


 なんかこいつところどころ上から目線だな……。

 見させてもらったとか何様のつもりなんだ……。こんなことでいちいち私は何も言わないが。


「同じギルドにはなれなくても、友達になりたいと思った。俺が心から友達になりたいと思ったのはまだ君だけなんだ」

「何それ、プロポーズ?」

「そう捉えて不利益がないのならそう捉えてもらってもいい」

「いや、まぁ、どっちでもいいけど……。少なくとも上から目線なのはちょっとやめてほしいんだけど……」

「む、すまないね。俺、どうにもそういう節があるんだ。気を付けてはいるつもりなんだがね……」


 気を付けてそれかよ。

 まぁいいけど……。


「それでどうだい? 俺と友達になってくれるかい?」

「まあいいよ……。世界最強のプレイヤーってのには興味がある。私とタメで数々の世界大会でジャンル問わずに優勝している生粋のゲーマー……。面白くなさそうってことはないよね」

「ああ。退屈はさせないよ。俺と君がいればどんな敵も倒せるさ」

「どうだか……。私割と死ぬし」

「それは君が油断しているからだと思うね」

「油断?」

「俺が見るに……。君は俺とのスペック差がほとんどない。動きも、思考回路も似ている節がある。俺と君を分けているのは性格だろう」

「……あー」

「性格もゲームにおいては重要なファクターだ。最後だからとごり押そうとするやつ、何事にも備えるために準備を万端で挑むやつ。ゲームでも人間の性格は出る。人間の性格はそう簡単に変えられない。君は……小さいころからそういう詰めが甘いところがあるだろう?」


 あるな。

 詰めが甘いとか、めっちゃ油断してる。割と警戒してないし。


「俺は育った環境もあるけど……人一倍警戒心が強いんだ。新たなことに挑むにもものすごく考える。リスクマネジメントをものすごくしてしまうんだ」

「あー……」

「だからこそ、俺はどんなことにも対処できるようにしている。君は違う……。君は俺とは違ってものすごく楽観的で楽しそうに生きている。その差だね」


 なるほど。


「納得」

「だろう?」

「案外ちゃんと見てるんだ」

「見てるさ。最初に言っただろう? 俺は君に興味がある、と。興味がある相手はとことん調べ上げるのさ。動きや、思考回路、性格をね。そこまでしないと世界大会の壁は越えられない」

「……案外ストイック?」

「少なくともゲームに賭ける情熱は人より数倍あるとは言えるね」


 こいつもこいつで頑張ってるんだなァ……。


「さて、これから一緒に行くかい? フラグは起こしておいたんだ。別ステージに行くための」

「……マジ?」

「ああ。マジさ。それと……。連れていくには条件がある」

「……なに? 戦えって?」

「いや? やっぱ俺がギルドを作るのはやめた。まだメンバーいないしな。代わりといっては何だが……。君のギルドに入れさせてくれよ。女性しかいないから少し気が引けるが、君がいるんだから面白そうだ」

「……いいけど、ぶっちゃけいうと私より上手い奴いないよ?」

「いい。ギルドは強い弱いより、楽しいを優先すべきだ。ゲームというのはそういうものだからね」


 ……まともなこと言うなぁ。

 

「まぁ、男禁制なら別にそれはそれで構わないよ」

「いや、単に誘う人がたまたま女ってだけで男を禁止してるわけじゃないけど……」

「そうなのかい?」

「うん」

「それはよかった。たまに俺も配信に出してくれよ。俺は結構難しめの依頼やものすごくきついダンジョンとかは余裕だからさ」

「オッケー。じゃ、フラグ起こしてくれたんなら早速行こうか。の前に、カメラ回すよ」


 私はカメラを飛ばした。











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