幸運の女神
学校から帰ってきてゲームにログインする。
石の町ストンズ。解放されてからというもの、プレイヤーの姿も見るようになった。私はとりあえず町の地図を購入し、ここら辺付近に何があるかを確認することにした。
石の町というだけあり、鉱石が取れる鉱山が近くにあるようだ。
「なるほどねぇ。鉱山か。ちょっといってみっかー!」
魔物の素材を売るよりはるかにいい値段にはなりそうだ。
鉱山ではレア鉱石というものも採取できるようで、レア鉱石をゲット出来たら万々歳だろう。私は道具屋でボロピッケルを数本購入し、鉱山へと向かうのだった。
鉱山につくと。
「キエエエエエエ!」
小さい女の子が何か祈祷をしていた。何この人……。
「フフフフフ、これで私の運は高まったはずヨ……。さぁ、バリバリ稼ぐワ!」
「怖……この人怖……」
「ン……? なにヨ。なにみてんノ」
少し釣り目の少女は私をにらみつける。
「いや、なにしてるのかなって」
「何してるのカ? 決まってるじゃなイ。御祈りヨ。私の運を高める御祈り。あなたにもかけてあげましょうカ?」
「……呪われそうだけど面白そうだし頼むよ」
「わかったワ。ではそこに座りなさイ」
言われるがままに座りこむ。
そして、少女は私の周りをぐるぐる回り、そして天に手を掲げて私に振り下ろす。
「キエエエエエエ!」
甲高い声が私の耳をつんざく。
「フ、これで完了ヨ。感謝なさイ。運がとてもよくなったワ」
「ありがとう。じゃあ、一緒に採掘する?」
「運が高まった二人が一緒にいれば最強ネ。その提案受けるワ」
「じゃあ、よろしく。私玉藻イナリ」
「私はフォーチュン。よろしく頼むワ」
そういって、私たちは一緒に鉱山の坑道の中に入っていく。
坑道の中は結構採取ポイントがあり、その採取ポイントで適当にピッケルを振り下ろす。が、レア鉱石のレの字もでないんですけど本当に効果あります?
「オカシイ……。何かが乱れたとしか考えられなイ……!」
結果に納得がいってないフォーチュン。
まぁ、私は一応信じてまだ採取してみるけどさ。ただ、フォーチュンが用意したピッケルは壊れてしまったようで、替えも何もないらしい。
私は仕方ないので結構買ってあったピッケルの半分を渡した。
「フフフ、あなたはいい人ネ……。あなたにはきっと幸運なことが舞い降りるワ」
「そうかな」
私はピッケルを振り下ろした。
その時、一瞬光ったような気がする。そして、鉱石が床に落ちた。私はその功績を調べてみると、その鉱石はレアメタルというレア鉱石だった。
「うお、マジでいいことあった」
「そうでしょウ。私が予感した未来は外れないノ……」
「すげー!」
「フフフフフフ」
レア鉱石まず一つゲット!
私はもう一回ピッケルを振り下ろすと、またピカっと光る。が、今度はなんか光が強い気がした。私は床に落ちた鉱石を拾い上げる。
そして調べてみると”サンシャイン鉱石”という超レア鉱石のようだった。
「うそ!? マジで!?」
「……私もなんかレア鉱石出たワ」
「すげー! マジで効果あるじゃん!」
「フフフ、だから言ったじゃなイ。私は幸運をつかさどるフォーチュン。あなたも運がいいのネ。あなたさえよければ私とクランを作りまショ」
「あ、私すでに作ってて」
「そうなノ。なら、あなたのクランに加入するワ。いいかしら」
「もちろんオッケー! 私配信者だからたまに顔配信されるかもだけどいい?」
「問題ないワ。私の幸運パワーを分け与えることができるもノ」
フォーチュンがギルドメンバーに加わった。
私はそう話しながらピッケルを振るうとまた光り、またサンシャイン鉱石がドロップ。マジで効果あるんじゃねえかなさっきの祈祷。
変な人に話しかけてよかったぜ。




