呪いの遺跡
ここ人間界以外にも、魔界にもハロウィーン限定のモンスターがわいているのだとか。
リキエルさんとの決闘も終わり、魔界に入る。
「ここが魔界か……。禍々しいな」
「普段は妖怪以外は入れませんからね。私はまぁ、入ることができますし……」
三人は魔界初体験。
魔界に入ると、様々な妖怪が私に頭を下げてくる。私も閻魔と並ぶSSランクの妖怪であるため、こういったもてなしを受けるのだ。
そう説明すると、上下関係怖いという話が出ていた。
「妖怪っていうのはこの世界にもいるんだな」
「えんらえんらとか、いろいろ有名な妖怪もちらほら見ますねぇ」
「妖怪ねぇ。現実ではいないと言い張っているが、ここはファンタジーだ。いてもおかしくはないだろう」
私たちがそう話していると。
「天狐様。本日はいかように?」
「ああ、ここにハロウィーンの魔物が出てるって聞いてね。討伐しに来たんだ」
「左様でございますか! なら、魔界の森などにおります! 妖怪どもも1年に1度のお祭りですから、楽しんでいってください!」
一つ目小僧が微笑んだ。
私たちは魔界の森に入っていく。ハロウィーンの日は魔界にとってお祭りの日なんだとか。先へ進んでいくと、魔界の森の結構奥深くまでやってくる。
魔界の森奥深くには。
「なんだこれ」
魔界の森には何か不思議な遺跡があった。
古びた遺跡。私たちは遺跡の入り口まで近寄っていく。
「呪いを示せ……とのことだ。呪いってなんだ?」
「菅原道真……。いや、違うね。呪いスキルがないと入れないということではないかな?」
「なら私持ってます。発動しますね」
私は天狐の呪いを発動した。
天狐の呪いを発動すると、遺跡の扉が開かれる。どうやら、呪いを発動しなくては先に進めないらしい。
私たちは遺跡の中に入っていく。呪いを解除しようと思ったが、どうやらこの遺跡内では呪いを解くことができないようになっているようだった。
「呪い……。天狐の呪いはどんな効果なんですか?」
「ええと、味方含め魔力消費量が増えるんです。極端に」
「……マジ? あたしらにも効果あんの?」
「はい。検証したんですけど、結構えげつないくらい増えます。消費量が通常の5倍っていうバカみたいな数値に……」
「効果範囲内にいる私たちもその呪いの効果を受けているというわけだ。うかつに魔力を消費することはできないね」
「ふふ。私たちはみな武器で戦いますからあまり支障はないかもしれませんね。属性付与などが厳しくなるというだけで」
「イナリには効果ねえの?」
「使用者である私には効果ないですよ」
「相手には魔力をたくさん消費させるくせに自分だけは……か。実にいいスキルじゃないか」
私たちは遺跡の内部を進んでいく。
魔物は出る様子がないが、遺跡の中の壁には文字がたくさん刻まれていた。だが、その文字は不気味そのもので、「呪」「殺」「憎」「恨」「怨」などの悪いイメージのほうの文字だけが乱雑にちりばめられていた。
「この壁の文字も気になるねぇ」
「何かのお経とかでしょうか」
「奥へ進んでいくうちに呪いをかけられていくとかか?」
「面白そうだ。ぜひとも先へ進んでいこう」
カメラを回しながら私たちは先へと進んでいく。
呪う、殺す、憎い、恨み……。悲劇的な感情が揺らめく遺跡。まさかハロウィーンの日にこんな遺跡を見つけるとは。
もうポイント集めることは諦めたようだみんなも。ポイント集めより、気になるものを優先的に調べるようだ。まぁ、私以外は普段来れないからね……。
私たちが進んでいくと、目の前に現れたのは四つの扉。
四つの扉には「桃」「紫」「黒」「白」と書かれていた。四つあるということは、それぞれ一つ行くことになること。
「……あんたらどれいくよ?」
「ここは若い人に譲ろうか。イナリ君から選びたまえ」
「私から? なら……一番左の桃で」
「なら、次は私だね。私は……そうだね。白だ」
「あ、あたしも白にしようとしたのに……。ならあたしは紫」
「あらあら、私が黒ですか。では、みんな心してかかりましょうね」
というので、私は桃の扉を開いた。
その瞬間、目の前の光景が変わる。これはよくあるピンク色のホテル、ラブホみたいな内装だった。




