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ハロウィーン ④

 ハロウィーンの日。 

 私たちはなぜか殴り合いをしていた。


「なんで元に戻ったと思ったら戦うことになってんだろ……」


 事の発端は一つのコメントからだった。

 リキエルさんが窓を建てて配信しており、そこにミスで動画配信のタイトルが俺より強い奴に会いに行くとかそういうのだった。

 前回の配信のタイトルのまま、というか、寝ぼけてそう設定してしまったらしく、リキエルさんの視聴者がワクワクして、いつ強い奴に会いに行くのですか?と聞いてきた。


 で、リキエルさんがミスに気づき謝罪したが、もう視聴者はノリノリで最強を決める流れに……。


「よそ見はよくないぜ!」

「”マグマブラスト”」


 私はマグマを放ち、リキエルさんを焼き尽くした。

 決闘は終わり、リキエルさんがその場で復活する。


「あのー、戦いに来たわけじゃなくて私、イベント攻略したいんですけど……」

「仕方ねえだろ!? アタシのリスナーが楽しみにしてくれてんだからよ! 女に二言はねぇ! 最強に会いに行くんだよ!」

「そこでムキにならないでもいいのにねぇ」

「おかげで戦う理由がないのに戦ってますからねぇ……。気はすみましたか?」

「……いや、あたしが全敗なのは気に食わねぇ! ワンモア!」


 と、さっきからこの調子なのだ。

 リキエルさんはすごい負けず嫌いのようで、決着がついてももう一回もう一回とせがまれていた。リキエルさんは私やママならともかく、錬金術師の不知火さんに負けるのは納得いかないらしい。

 

「すげえ負けず嫌い」

「リキエル君のそういうところが面倒なんだよねぇ」

「可愛いじゃないですか。ですが、リキエルちゃん。今日はこれでおしまいです。配信で延々と勝負を垂れ流してるわけにもいきませんよー」

「うぐっ……」

「わかったかい? 勝負ならカメラ外で……」


 と、リキエルさんの目には涙が浮かんでいた。


「えっ」

「おや?」

「あら……」

「いやだぁああああああ! 勝負するんだぁあああああああ!」

「駄々こね始めた!?」

「軽くキャラが崩壊しているねぇ。これはこれで面白い」

「あらあら」


 これ、ガチ泣きだ。

 リキエルさんは手を思いっきりぐるぐる回し、ぐるぐるパンチ。懐かしい技を出すな。というか、どんだけバトルしたいんだこの人。

 まぁ……。プライドがあるんだろうけど……」


「仕方ない……。一回だけだ」

「そうこなっくっちゃ……ぐすん」


 不知火さんは爆弾を取り出していた。

 錬金術師の主な戦い方は爆弾。自作の爆弾をぶん投げて攻撃をする。爆弾にもいろいろあり、火力が高いが爆発範囲が狭い爆弾とかがあるらしい。


「もとより、君が負けるのは単に相性の問題もあると思うがねぇ。君は私たちの中で唯一の近接だからな」

「私も元は近接でしたけど弓になりましたからねぇ」

「私も魔法使いになったしね」

「君は肉弾戦においては誰よりも上なのだが……。相性がな……」


 不知火さんはリキエルさんめがけて爆弾をぶん投げた。

 リキエルさんは爆弾を蹴り飛ばし、爆発をよける。そして、そのまま距離を詰めて大きく蹴りをかまそうとしていた。

 不知火さんはガードの姿勢をとる。


「力が強いからガードしても体力が少し減るねぇ……」

「リキエルちゃん、配信してると忘れてガチな目ですねぇ」

「がんばえー!」

「あらあら、舌ったらずで可愛いですね、イナリちゃん」

「がんばえー!」


 最後の最後くらいはリキエルさんが勝ってほしいが、不知火さんも手加減して価値を譲るような人ではないからな……。

 どっちも大人なんだし、そういう手加減は勝負として面白くない。


「これで終わらせる! 全力奥義”弾丸拳”」


 弾丸のような速さのパンチが飛ぶ。

 不知火さんは危機を察知してガードしたが、ガードを貫き、そのまま殴り飛ばされて決闘システムが終わった。


「勝った……。やっと勝てたぜ! あたしはっ……! あたしだって強いんだっ!」

「満足かい? ガード無効化攻撃か……。くっ、確かに負けるのは悔しいものだね」

「ふふ。満足しましたか~?」

「さて、気を取り直してハロウィンの……」

「まだ、だ。私はお前らにまだ勝っていない」

「……えっ」

「えぇ? もしかして私たちともやるんですか……?」

「ああ……。もうハロウィンなんてどうでもいい。あたしはお前らに勝たなくちゃいけねェんだ」

「……仕方ないですね!」


 ママが弓を構えて決闘モードに移行していた。

 

「やれやれ。この調子だとアローライフで我々が最下位になりそうだねぇ……」

「もう私たちでポイント集めてましょ」

「そうだね。そうしよう」


 もうほっとけ。












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