スキルの書
「みなさーん! こんばんは〜! 玉藻イナリでぇす♡」
私はカメラを回す。
今日も今日とて配信活動。私は挨拶を終えて今日やることを説明してみた。
「今日はこの2つの虹色スキルの書を使ってみようかなと。どっちも配信外で手に入れたものなんだけど」
片方はPKをキルした際にお礼として貰ったもの、もう片方はゲニウストレントを討伐した際に手に入れたもの。
まだ使ってなかったし、スキル増える分には構わないからね。使わないかもしれないけど。
私はまず最初に1つだけ使ってみた。
スキルの書を開くと、頭の中にアナウンスが響き渡る。
《スキル:流星群 を取得しました》
「流星群を手に入れました」
『なにそれ』
『やばそー……』
私は効果を説明する。
「狙った場所に複数の隕石を落とす魔法だって」
私は試しに使ってみた。
流星群を唱えてみると、空からたくさんの隕石がドドドドド!とものすごい音を立てて落ちてくる。
あまりにも壮絶な光景に私は思わず立ち尽くしていた。
「オーバーキルにも程があるやろがい!」
『草』
『うわぁ』
『えげつな!!!!!』
ただ、消費するMPも少ないわけではなかった。
気を取り直してもう一個の虹色スキルの書を使ってみる。スキルの書を開き、再びアナウンスが聞こえてきた。
《スキル:星の守り を取得しました》
「星の守り……ってスキルで効果は……。すげえ!?」
私は効果を説明する。
星の守りの効果は、3回まであらゆるダメージを無効化するスキル。一回の戦闘で3回だけ無傷で攻撃を受けられるスキルだ。
スキル貫通効果も無効化してくれるらしいから、連続攻撃で即死クラスじゃないとこのスキルを貫通するのは難しい。
攻撃の無効化……。やってること相当えげつないぞ。メイスを使っていた時は被弾はちょこちょこあってこれがあったら便利ってぐらいだったけど、今は主に魔法だ。
遠距離攻撃で不意の被弾も許されるようになるって……。
『書いてること強過ぎて草』
『お前何なんだよ!!』
『お前運営と寝たか?』
流石に困惑しているようだった。
一つは流星群とかいう高火力無属性魔法、もう一つは星の守りとかいうガードスキル。
正直、やり過ぎなくらい私のこのアバターがめちゃくちゃ強化されてる。
「この二つのスキルがあればゲニウストレントとか苦戦しなかったのになぁ〜!」
私が思うのはそのことだった。
高火力で被弾が許されるなんてあのダンジョンで使うには本当にもってこいのスキルだ。
これ手に入れられるんだったら早めに使っておくべきだったなぁ〜!
「ともかく、私は多分今のプレイヤーん中で一番くらいには強いんじゃないかな……」
私は今のステータスを見せた。
『Lv70で草』
『他40くらいなのになぜ』
『レベル上がり過ぎだろ。チートか?』
「チートじゃなくて、スコティッシュがダンジョンができるクローゼットを作ったんだよ。そこのダンジョンに出てくる魔物が軒並みレベル100超えててさ……。いいレベリングになった」
『草』
『俺も作ってもらおうかな』
「おすすめはしないよ……。私は種族のおかげで火力に関しては充分だと思ってたけど私が攻撃してもそこまでダメージなかったから……あそこは高レベルが必須なのと進化も必須だと思う」
経験したからわかる。
私は最終進化のステータスだから無理やり攻略できたが、ソロを強いられる上に並の火力じゃまず攻略は難しいだろう。
「最初は私は3発くらい攻撃受けたら死ぬくせに相手倒すのには6発くらい必要だったからね」
『えぇ……』
「階層もまさかの99階」
『終わってて草』
『よく攻略できたな』
「ソロ攻略を強いられるからマジでキツいよ」
もう二度とやりたくないもん。




