惚れちゃダメだよ
例のトラップ部屋があるダンジョンを攻略し、外に出る。
女に戻るまであと40分。私たちはとりあえず視聴者に魅せる、ということを重視していた。敵を倒すときもかっこよく決めていたりなどしていた。
だがしかし、そんなことは序章に過ぎない。
私たちが魔物を倒していると、3人のプレイヤーを見かけた。
少し挙動がおかしい気がする。それはママたちも気づいたようで。
「……あれってPKプレイヤーじゃないですか?」
「だねぇ。相当カルマ値が高い。そういう層は一定数いるのは知っていたが……」
「誰か狙ってる」
PKプレイヤーは剣をすでに持っていて、誰かを追い詰めているようだ。
私たちはそれを見て思わず走り出していた。追い詰めていたのはおとなしい感じの女の子。私は魔法を唱えてプレイヤー一人を倒した。
「なんだ?」
「おいおい。寄ってたかって1人を殺そうとするなんざ大人げねぇじゃねえか。戦いなら俺も混ぜろよ」
「そもそもPKがダメですよー」
「ふっ、私たちに見つかったのが運の尽きだねぇ。さぁ、やるかい? 私たちが相手になろう」
「上等だ」
相手はものすごくやる気だった。
初心者らしき女の子はママの背後に隠れている。リキエルさんは思い切り拳でぶん殴っていた。ぶん殴ってぶっ飛ばされた男。さらにリキエルさんはつかみかかり顔面に膝蹴りを食らわせていた。
不知火さんもナイフを取り出し、相手に投げつけていた。投げナイフで戦う不知火さん。似合ってるなァ。
PKはすぐに倒せたのだった。
「弱いな。口ほどにもねえ」
「大丈夫ですかー?」
「は、はひっ……。あ、ありがとうございます……!」
「PKに狙われるなんざ災難だったな。あれは初心者狩りで有名だから気をつけろ」
「はひっ……」
と、女の子の顔が少し赤くなっていた。
「あ、ああ、あの! かっこよかったです!」
「ん? おう。ありがとな」
「こういうことをナチュラルにするから皆さんイケメンなんですねぇ」
「今はだろ。あと30分で解けるんじゃねえか?」
「顔が赤いねぇ」
私がそういうと、女の子は照れてしまった。
「さてと。俺たちもういくぜ。お前も気を付けて……」
「あ、あのっ! わ、私も一緒に……。み、皆さんと一緒に戦って……」
「ん? あー……」
「惚れたのかい?」
不知火さんがそう問いかけると、こくんと頷いていた。
「困ったねぇ……」
「君、名前は?」
「りんご、です」
「りんごちゃん。ごめんね。俺たちは純粋な男じゃないんだ」
「ふぇ?」
私はりんごちゃんに説明することにした。
課金制のダンジョンのトラップの効果で性別が逆転していること、本来は女の子で、V活動をしているから今ちょっと配信中ということも説明してあげていた。
りんごちゃんは驚いた表情。
そりゃそうか。
「じゃ、じゃあ四人とも女性の方で……」
「そういうことだ。ちなみに、Vで推しとかはいるのか?」
「えっと……。私は天神リキエルさんって方が好きで……。あ、アローライフっていう事務所所属のVなんですけどっ!」
「あー、俺か」
「えっ!?」
「今、不知火の窓で配信一緒にやってんだ。動画再生できるだろ? 俺が天神リキエルだ」
と、今動画を見始めているりんごちゃん。配信に今映っているのは私たちの顔だけ。一応リンゴちゃんは映さないようにしているらしい。
「えーーーーーーーーっ!?」
「俺のファンか。嬉しいぜ」
「きょ、今日偶然初めてこんな幸せなことあるんですねぇ……」
「あはは。ま、運がよかったな」
「つ、ツーショットをお願いします……」
「おう。今だけレアだぜ」
りんごちゃんはカメラを起動し二人で写真を撮っていた。
「お、おお、推しとのツーショ……。男バージョンだなんて……」
「匂わせとかには使うなよ」
「もちろんです……! 嬉しい……」
「よかったじゃないか」
「リキエルさんは女性人気高いですからねぇ」
「なんか知らねえけどな。俺はまぁ、見てもらえんなら男でも女でもいいぜ」
「私、外国人の視聴者多いですよ」
「見てもらえるだけいいって思うが言葉分かってんのかね?」
「君の配信は英語で同時通訳されてないだろう? 言葉分かってないで楽しんでるのかもしれないねぇ」
「あまり面白い行動してないんですけどね」
それぞれ視聴者層違うんだよな。




