BL劇場
私は今、不知火さん、ママ、天神さんの四人でダンジョン攻略をしていた。
すでにクローゼットダンジョンを攻略している私はものすごくレベルが高くなっていた。ステータスもほか三人とは比べ物にならないくらい。
やっぱレベリングとしてクローゼットダンジョンはちょうどいいわ。クリアさえしなければずっとダンジョン残ったままだしな。
で、今挑んでるダンジョンは一風変わったダンジョンということ。
中は普通のダンジョンと変わらないが……。報酬というか、トラップが面白いらしい。
「ここが例のトラップ部屋だ」
「マジで入るのかよ」
「ふふ、面白そうですねぇ」
「うーん。一定層には人気でそうですけどねぇ」
私たちは例のトラップ部屋に入った。
その瞬間、私たちは煙に包まれる。そして、煙が開けた先にいたのは三人の男の人だった。すらっと背が伸びた男になった三人。
このトラップは一時的に性転換するんだよな。AIがそのアバターが違う性別になった場合のアバターを自動で作ってるらしく、そのアバターに一時的に鞍替えになるらしい。
リアルモジュールでやってる人は、自分が女の子になったのなら、男の子になったのならという場合の顔が見れるらしい。
で、このダンジョン、なんと課金者限定。
課金したフレンドがいれば、そのフレンドと一緒に入れるらしいが、課金してないとは入れないし、値段がくっそ高い。
値段高いくせに報酬がしょぼいから普通の人は買わない。運営もネタとして課金制にしたんだと思うが、お金を払って確かめるプレイヤーが出ちゃったから性転換ダンジョンとして有名になった。
まぁ、性転換は1時間で戻ってしまうが。
その間は別の性別を楽しむことになる。
「うわ、イケメン……」
「私たちはリアルモジュールじゃありませんからねぇ。アバターを男にしたらこういう感じにはなるでしょう」
「あたしらはあくまでVTuberだからな!」
「むしろ君はリアルモジュールな分……。あの美少女がこんな優男になるとはねぇ。銀髪青目。君は天に物を与えられすぎだ」
「えぇ……」
銀髪になったのは天狐の影響だと思うけど。
私は自分の顔を確認してみる。確かに自分でも言っちゃうけどイケてる。すっげえかっけえ見た目。ジャ〇ーズとかにいそうな見た目してる。
「視聴者の皆さん、どうだい? これが私たちの男の姿だよ」
「声は変わらずなんですねぇ。さすがに声までは難しいですね」
視聴者の反応も上々のようだった。
「視聴者の皆さん……。俺と一緒に、踊りませんか」
「うわぁ、様になってんなァ……」
「適応速いですねぇ、イナリちゃん」
「今宵、俺とともに踊りましょう。マドモアゼル……。なに、心配ないさ。俺がリードしてやるよ」
「おや、いいのかい? ならば私と踊ろうか、イナリ」
「そうだな不知火……。今夜は、寝かさないぜ」
私は不知火さんと抱き合い、そういう演技を取ると。
『どっちも男だからマジのBLにしか見えねえ!』
『こんなところで同人ネタ出すな!』
『たしかに男体化した不知火と男体化したイナリちゃんのBL本あるけどやめろ!』
『業が深すぎる』
どうやら私たちのBL本があるらしい。
なんでだよ。GL本じゃないの? 私たち一応女の子でっせ……?
「おいイナリ! お前……俺を裏切るのか!」
「裏切りなんかじゃないさ。俺は真実の愛を見つけてしまったのだ……。不知火という愛を……」
「そんなものまやかしだ……! 俺と寝た日々を忘れちまったのかよ……!」
「違います。イナリくんは……僕の彼女です。横取りはやめてください」
「やれやれだ。イナリくん。こいつらのことは相手しなくてもいいよ。君は俺だけ見ていればいい」
「俺を見ろ、イナリ! 俺だけを見てくれ!」
「僕の目をしっかりと見て。僕だけにその愛を向けてください」
BL劇場。
その劇場にコメント欄では腐女子が喚きだっていた。
『まさかのイナリちゃん総受け!?』
『つよつよな受けはいいぞ』
『くそ、こんなところでネタ出してくれやがって……! ちょっと描いてくる。冬コミでこの四人のBL本出します……。こんなところで供給するな』
『腐女子涙流してて草』
『何を見せられてるんだ』
コメント欄も賑わってるようで何より。
「さて、このトラップはあと50分は続く。それまで暇だねぇ」
「しばらくこのまんまですね」
「いいじゃねえか。男をとことん楽しもうぜ!」




