外国の視聴者
リスポーンし、スコティッシュに今の私じゃ無理だということを伝えてみた。
いや、ステータスで一応何回か攻撃は受けたが、3回被弾したら終了というのはなかなかきつい。ポーションとか何も持ってないからな……。
「そうですかぁ……。うーん、妥協したくないですしぃ……もう一度作り直すのも……。うぅ~ん……」
スコティッシュは唸っていた。
妥協は許さない職人気質だなァ……。たしかに、こういうのって妥協はしたくないよな。3回被弾したら即終了というのはきついし、こちらは攻撃してないからこちらから与えるダメージも気になる。
仕方ない。
「スコティッシュ、インベントリが多くなるカバンとか作れる?」
「え、はい! 作れますぅ!」
「大至急それ作って!」
「は、はいぃ!」
「私は錬金術師のところからポーションをたくさん買ってくる」
私のイベントリはもう満杯近い。
倉庫に武器以外の全部を一応しまい、私はクリエイティブギルドに向かう。クリエイティブギルドはプレイヤーが建てた生産職だけのギルドで、プレイヤーに自分たちが作ったものを売っている。
こちらにはスコティッシュ、ヒバナがいるが……。どちらもあいにく、ポーションなどの薬は作れない。専門外だからな……。
「こんちはー」
「ラッシャ!」
「おろ、外国人?」
「ワカリ、マ……アーーーーッ!」
「ん?」
「玉藻イナリサン、ダッ!」
と、グイっと近寄ってきて私の手を握ってきた女の子。
「推し、デス! 推シと、同じ国、住む、みたく、て! 日本に、引っ越してきまシタ!」
「……えっ?」
「パパと、一緒に、応援、シテマス! 同じ、高校、通い、マス!」
「ん?」
今なんて言った?
同じ高校通う……?
「え、同じ高校に来るの……?」
「ハイ! フゥ……。失礼……。いろいろ、忙しくて、高校に入る、時期が、遅くなりました。文化祭、見に行きまシタ! Very Goodでした!」
「……そりゃよかったけど」
「推しと、同じ高校に、なったのは、偶然デス。父が札幌の、支社に、自ら異動になってきまシタ。近いのガ、イナリさんと、同じ高校、デシタ」
「あ、そうなの」
パパか……。
「ちなみにパパはどういう系のお仕事を?」
「アメリカで、日本と貿易ヲ」
「あー……」
きっとマルーンの父にお勧めされた形で私を好きになった形ですね。
「日本に来る、ことになって、急いで日本語勉強シマシタ。まだ、ペラペラ、ではありません、が、話せるよーには、なりまし、た」
「すごいね……」
「前々から、あなたの配信で、日本語の、べんきょーしてたので、覚えるのは、早かった、デス。父はペラペラ、です」
「まぁ、貿易会社なら……と。ここに来たのはポーションが欲しくてさ。えっと……」
「あ、My name is Chloe。クロエ、と呼んで、ください。リアルも、クロエ、です」
「リアルネームでやってんだ……。クロエ、とりあえずハイポーションとMP回復ポーションをそれぞれ30個ずつ欲しいんだけど」
「ワカリマシタ! 今よーいします! お金はむりょーで」
「いや、払うし、ハイポーションとMP回復ポーションはレア度4越えてるから無料では無理だって……」
「ソウデシタ! では、30本まとめて100Gデ!」
「えぇ……」
それ最低価格やろがい。
推しだからってそういう割引は……。私は値段表を見ると、ハイポーション1本800G、MP回復ポーションが600Gの合計30本。その合計金額である42,000Gを渡した。
「おつり41,900Gデス」
「いや、いいよ……。普通にお金払うって! ありがと! また私の配信よろしくね!」
「ハイ!」
私は店を後にした。
一応フレンド申請を送っておいたから後で気づいてくれるかね。外国の人たちにも推されているのは前々から知っていたが、マジで来るとは。
というか、クロエの父さん……。もしかして私目当てで引っ越してきた説ないか?




