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文化祭 ②

 文化祭も佳境に入り、とうとう私の時間がやってきた。

 さすがの私も緊張しないわけがない。でも、先生の話では体育館にはものすごい人がいるらしい。そして、この光景は動画でも配信されていて、同接数も多いのだとか。

 一つの高校が、一人の生徒を引き立てている。それにこたえなくちゃ、私じゃない。


 私の姿が舞台の上に移った。

 そして、私はとりあえずつかみのためにと、先生にあることをお願いしていた。


「そう、私はただの人間じゃないの。私は天才なんだから!」


 私はさっきまでガチで振付を覚えた有名なアニメで世間でブームになった曲を歌って踊ることにした。

 私のホログラムが、私の動きに合わせて踊っている。コメント欄もすげー!という声で沸き立っていて、会場もものすごい声援が響いていた。

 

 歌を歌い終わり、私は一息ついて。


「みんなー! おはこんこん! 玉藻イナリだよっ! 今日は私の高校の文化祭! この私が、この学校の文化祭の大トリを務めまーす!」


 私は全力でぶりっ子。

 ぶりっ子って笑われていた。


「まずは、今日一日頑張ったわが校の生徒たちに拍手を! どんなお店も、今日という今日のために準備して、楽しませるために、必死に必死に……。店を作り上げていたんだと思う! 全力でイベントに取り組む姿、めっちゃ可愛いっ!」


 会場に拍手が舞い上がる。


「そして、ステージで発表をしてくれた子たちも、生徒の成長のために尽力してくれた先生たちも、みーんなみんな、よく頑張りました! はなまるです!」


 私は手でハートマークを作り、全力でかわい子ぶっていた。


「この文化祭が始まるまでいろいろあったんだよ。私としても、嬉しい言葉をもらえたんだ。とある男の子が、私の配信を見て救われてるんだって言ってた。嬉しいことはないよ。どんなに激重な感情でも、どんなに私のことを好きでいても応えることはできないかもしれない。私だってVである前に一人の女の子だから恋愛だってするかもしれない。でも、そんな私でも、誰かの救いになれてる! 私を見て前向きになれるならどんな感情もどんとこい! 私はなるべく全力で応えてみせるよ! でも、期待外れとか思っても口には出さないでね! お豆腐メンタルですから!」


 私はこほんと咳払いをする。


「それじゃ、トークショーの始まりー……ではないんだなこれが!」


 というと、会場やコメント欄が驚いていた。

 やんないの?とかそういうコメントが見られる。


「いや、最後の最後が私がただただ話すだけってつまらなくない?」


 私がマジトーンでそういうと、確かにという声もあった。が、楽しみにしてたのに!とか言うコメントもちらほら出てきていた。

 だから先まで聞けって。


「だからね、ただ話すんじゃないんだよ! 私が話すのは自分の配信でいくらでもやってやる! 今回は文化祭だぜ? 最後までパーリーするんだよ! だからトークショーではなく、私のワンマンソロライブ! 歌う曲は私次第! さっき決めました!」


 というと、会場から歓声が上がっていた。


「ちなみに振り付けとかさっきガチで覚えたばかりなのでミスってるかもしれません。だって当初の予定では本当にトークショーだったんで! さっきやっぱ歌いたくね?ってなって先生に提案したんだよ! まじで間違えてたらごめん! そんときゃ笑って許して! じゃ、まずは最初の一曲! アニメ”フネ娘”から……!」


 私は有名アニメの曲、今話題のドラマの主題歌を歌って踊っていく。

 自慢じゃないが、私は歌も歌えるのだ。天才ですから。ごめんなさいね。


 時間は歌っている間にも過ぎていく。

 何曲歌ったんだろうか。結構歌い、閉会式の時間がもうすぐだというカンペをちらりと見る。私はマイクを手にして。


「はぁ……はぁ……。みんな、ごめんね! 始まりがあれば終わりがあるように、そろそろ私のライブは終わらなきゃいけない。というかちょっとぼやくというかつっこむんだけど、なんで1高校にこんな立派な設備があるんだよ。ほとんどドームライブと同じじゃん!」


 それはたしかにというコメントを見かけた。


「だからね、次で最後。最後は校歌……ってのは通わせている高校に申し訳ないけど退屈だと思う。だから、最後に持ってきたのは今、全世界で人気を誇ってるあの曲です!」


 私は、最後まで全力で歌い切った。

 息を切らしながら、私は最後まで舞台に立つ。


「というわけで! 玉藻イナリのワンマンソロライブはこれで終わりです! 楽しかった文化祭も残すは閉会式だけ……。また、私の配信でお会いいたしましょうねー! 私も楽しかったです! では、本日のお相手は玉藻イナリでしたーん! ちゅっ」


 といって、舞台は暗転した。

 マイクを手放し、私は息を切らしながら先生を指さした。


「どーよ先生、大成功!」

「さすがだ」

「でも、こんだけぶっ続けで歌うとのどがきちー! でも楽しかったぁ!」

「そうか……。のどのケアはしないとな……」


 と、先生の携帯に電話が入ってる。

 先生は電話に出ると顔を青ざめさせていた。


「……すまん。マイクが繋がったままだった」

「えっ。さっきの会話丸聞こえってこと?」

「そういうことだ」

「しまらねーーーーーーー! いや、まぁ、私は絶対裏でも表でもマイナスのことは言わないからさ! いいんだけどさ! もうちょっと……こう、うまくしめようよ! いい感じだったのに最後こんなの!? うわーーーーっ! やっぱ私って最後って結局しまらんのよーーーーーー!」


 と、私が叫んだところでマイクを切ったらしい。

 いや、うん……。本当に最後しまらなかったな……。









 

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