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森で見つけた少女

 レフカの体調も回復した頃、リシュも魔力のコントロールに少しずつ自信が持てるようになっていた。

 種から一気に花へと変えることも無くなり、文字通りゆっくりと成長させられる様になってきたのだ。


(そろそろ次の魔法も教えてくれるでしょうか……)


 最近のリシュはそんな事を思いつつも、実はグリースの事を考えていた。

 相変わらずガブと話す事の方が多いのだが、あの日を境に傍らで見守るグリースの視線が妙に優しい事に気づき、ガブの言葉がグリースの言葉の様に聞こえてならないのだ。

 

 いや実際その通りなのだが。


(また何かの機会でゆっくりお話出来るといいな……)



 そんな事を考えていたある日のこと。




『リシュ、オレの体見てくれよ!』


 そう言って突然ガブが飛びついてきた。

 何があったのかとガブの体をよく見てみると、中に綿が詰められているのか体がふっくらと柔らかく足までついていたのだ。


「足が生えてます!!」


「ぬいぐるみにしてみたんだがどうかな」


 その後からグリースがやってきた。


「グリースさんが施したんですか?」


「あぁ。 この方がよりリシュと話しやすいんじゃないかと思って。 最近のガブはリシュにだいぶ熱を上げてるみたいだからな」


「え……」


 ガブの事を言っているとわかっていても、グリースの言葉に思わず頬が熱くなる。


『リシュは嬉しいか?』


「ふふ、勿論です」


 リシュはより使い魔らしい姿になったガブをギュッと抱き締めた。


 その時だ。

 どこからか小さな声が聞こえてくる。

 リシュは驚いて辺りを見回したが声の主らしき姿は見当たらない。


「ドライアド?」


 どうやらその声はグリースにも聞こえていたようで、確認する為に二人で森へ向かうことにした。

 暫く歩き太い大木を見つけると、グリースは手を当てドライアドに呼びかけた。

 すると以前の様に緑色の髪をもつ小さな少女が姿を表した。


「来てくれてありがとうございます。 実はお二人にお願いしたいことがありまして……」


「また密猟者でも出たのか?」 


「いえ、密猟者ではなく女の子が倒れているんです」


「「え?!」」

 

 事実確認の為ドライアドについていくと、森の中で確かに少女が一人で倒れていたのだ。

 しかもその少女は細い絹の様な銀色の髪をしている。


「何でこんな所に……」


「一応意識はあるみたいだな」


 さすがにグリースも戸惑っているようだ。


「このまま放っておくわけにもいかないし、一旦連れて帰ろうと思うが、リシュはそれでも構わないか?」


「はい」


 リシュは頷くも、胸中は穏やかではなかった。



 ◇



 連れて帰った少女をソファへと寝かすと、グリースは複雑な面持ちでリシュに尋ねた。


「やっぱりエフモント家の関係者か?」


「多分、私の妹のシーラです」


「多分?」


「私ももう何年も会ってないので断言は出来ないんですが、確かこれぐらいの年齢ですから」


「じゃあやっぱり俺達の事は隠しておいた方がいいな。 名前は安直だがリシュは『リシェ』、俺は『グリード』ということにしておこう」


「分かりました」


 グリースは自分の髪色を黒に変えると、リシュの髪色も艷やかな黒へと変えた。


『まぁ、オレ達がついてるから心配するな』


 リシュの腕の中にいたガブもリシュの頬を優しく撫でた。


「はい、ありがとうございます」


「お兄ちゃん達、もしかして魔法使い!?」


「「!!」」


 突然声が聞こえソファの方を見てみると、先程まで眠っていた少女が目を輝かせてこちらを見ていたのだ。



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