本当の事はまだ言えない 2
この世界には火や水などの四大元素を扱う魔法使い以外にも、生と死を操れる魔法使いも存在する。
彼等は生気を与える手と生気を吸い取る手を持ち、扱いを間違えばゾンビさえも生み出せると言われ『不死の上に立つ者』と名がついた。
グリースもその一人だ。
一般的には十六歳を迎えた頃に魔力が目覚めると言われているが、彼は十二歳でその能力が開花する。
その為身内や周囲からは距離を置かれ、息苦しい生活を送っていた。
そんなグリースを受け入れたのが彼の祖父とその友人のジークフリードである。
グリースは居心地の悪い家を抜け出し祖父の家を度々訪れては、独学で魔法の勉強をするのだった。
そこに一人の少女が現れた。
兄とはぐれ森の中で泣いていた所をグリースが見つけ、彼女の持っていたぬいぐるみを使い場を和ませると、少女の涙はピタリと止まり満面の笑みを見せたのだ。
『自分の手は人を傷つける呪われた手』と、己の境遇を恨むばかりだった自分に向けられたその笑顔は、彼のこの先を照らす光になる。
『再び出会えた時には、この力が彼女を守る為の剣になれるように』
生まれ持った特異な能力を肯定することが出来たグリースは、祖父に教えを乞い本格的に魔力の腕を磨くようになったのだ。
その際に生み出したのがものを操るという魔法なのだが、その力が世に知られるようになる頃には生死を操る能力も強大なものとなり、絶縁体となる手袋が必須となる。
今でこそコントロールは可能になったが、それでも何かの拍子で傷つけてしまうかも知れないと、グリースはその予防策の一つとしてリシュの前ではパペットをはめる事にしたのだ。
泣いていた少女を笑顔にしたように――――
「すっかり上手くなっちまったな」
ガブをはめた自分の手を見上げグリースはくすりと笑う。
ガブを見て笑うリシュを見ていると苦しくもなるが、それが持ち主の心の声とも知らずに受け入れてくれる姿も愛しくてたまらない。
(やっぱり暫くはガブで我慢だな。 あんな可愛い顔正面で見たら色々止まらなくなりそうだし)
ぐいと背もたれにもたれ大きく伸びをした。
(こんな俺に好かれても困るのはリシュだ。 せめてリシュが俺のことを好いてくれるまで待つか……)
「グリースさん、お待たせしました!」
「うぉっ!?」
危うく椅子からずり落ちそうになった。
「あぁっ、大丈夫ですか?」
グリースを気遣い側に来たリシュと視線がパチリと合った。
先程まで相手のことを考えていたなんて言えるはずもなく思わず目を逸らす。
それはリシュも同じで、頬を染めて目を逸らした。
「いやいや、問題ない。 少し早い気もするんだがもう良いのか?」
「はい! よろしくお願いします!」
「じゃあもう一回やってみるか」
リシュはガブの正体にもグリースの思いにもまだ気づいていない。
グリースもまた、リシュが部屋へ戻った理由を知る由もなかった。
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