悪魔喰〜デビルイーター〜
初投稿の瀬川水斗です。
自分の初めての小説を少しでも多くの人に見て貰えたら嬉しいと思っています。
「君には、僕が夢を叶えるための糧となってもらうよ。」
薄暗い路地裏、そこには傷だらけの怯えた少年と、全身黒ずくめの小さな少女がいた。
「お、お前俺が誰だかわかっているのか!?俺は、千光寺財閥の御曹子だぞ。」
「知らないよそんなこと。こうして君の前に現れたのも偶然。僕は夢を叶えるため君を殺すそれだけだよ。」
少女の右手には、血だらけの錆び付いた大きな鎌がある。
「お前、まさか、大勢の人を殺し回ってる深紅の悪魔か!?」
「そうだよ。だけどこんな可愛い美少女に、悪魔なんて酷いなー。私には、赤音っていう可愛い名前があるんだからさ。」
「な、何が目的だ?か、金がそうなんだろ金が欲しいんだろ。俺が父さんに頼んで、いくらでも払ってやる。だ、だから殺さないでくれ!」
「チッ、ムカつく。お前みたいな金持ちは皆そうだ金で全て解決しようとする。視界に入るだけで反吐が出る。でも、生贄にするにはちょうどいい…。」
「見つけたぞ!赤音!!」
「また邪魔しに来たの?でも残念だったね、シロ。もう殺しちゃうね。」
バッ!
赤音の一撃は子供には当たらなかった。
「もうこれ以上お前の手を汚させない。お前を…本当のお前を取り戻す!」
「またそれ?そろそろ諦めなよ。シロが僕に勝つなんてことは絶対にありえないんだからさ…。」
「行くぞ!赤音!」
「来なよ、シロ!」
これは、真っ赤に染まるの悪魔と、それを狩る一人の悪魔喰の物語である。
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「赤音のことは必ず俺が止める!」
俺は、ある一人の幼なじみ「赤音」を追っている。
俺は「シロ」あかねの幼なじみだ。そして、1人の悪魔喰だ。
俺が赤音を追っている理由…それは…。五年前、俺と赤音が10歳の頃ののことだ…。
俺と赤音は、家が隣同士で何時も一緒に遊んでいた。彼女は、よく笑う女の子だった。だが、ある日突然、赤音の両親は彼女一人を置いてこの世を去った。突然の事故だったらしい。いや、本当は…彼女の両親は働いていた会社の社長に殺されたのだ。
その頃から赤音は、人が変わったように笑わなくなった。それから、毎晩赤音はどこかへ出掛けるようになった。
「赤音、毎晩どこに行ってるんだ?」
気になった俺は帰ってきた赤音に尋ねた。
「内緒…。」
「辛かったらなんでも言えよ俺がそばにいる…か……ら?」
「えっ…」
赤音の顔を見た瞬間、背筋が凍りついたかのようにヒヤッ!とした。
赤音の顔は、赤く染まっていて、彼女は、悪魔のような笑みを浮かべていた。
「あ、赤音その顔……」
「あっ、落としてくるの忘れちゃった。」
「お前、まさか…」
「ねぇ、シロ…殺された人の亡骸が百人分あれば死者を甦らせることができるって話知ってる?」
俺たちが暮らすこの東京には、ある都市伝説が存在する。
それは、「殺された人間の亡骸を、捧げる事で死者を甦らせることが出来る」という伝説だ。
「そう、お父さんとお母さんを生き返らせるために私はお父さんとお母さんを殺したヤツらの子供をを殺してるの丁度今10人目の亡骸を手に入れてきたところだよ。」
そう言って赤音は、左手に持っていた袋の中を漁り始めた。そしてなにか小さな塊を取りだした。
「う、嘘…だろ……。」
赤音が取り出したのは、人間のと思われる心臓だった。
「これで、あと90個わたしは…僕は、お父さんとお母さんを生き返らせる。そのために、二人を殺した奴らの大切な子供たちを殺してるんだ。」
「あ、赤音…」
止めなきゃ…こんなの赤音じゃない…。
「赤音!こんなこともうやめろ!そんな噂なんか信じて人を殺しても両親は帰ってこない!」
「…邪魔…するの?」
赤音の表情は完全に人殺しの顔だった。
「俺は、お前を止める!」
俺が、赤音を取り戻す!
「なら、止めてみなよ。僕、シロならわかってくれると思ったんだけどな。残念だよ。」
すると、赤音は、走り出しどこかへ行ってしまった。
それから5年が経ち15歳となった赤音は、次々両親の勤めていた会社の上層部の人間たちの子供を殺して周り、いつからか深紅の悪魔と恐れられるようになっていた。
「赤音!」
「シロ!」
赤音は、手に持った大鎌を振り下ろしてきた。それを避け俺は赤音の腹部をめがけて拳を打ち込んだ。
「ガハッ。」
赤音は、地面に転がった。
「や、やるようになってきたね。シロ…でも、まだまだだね。」
その瞬間、俺の右手に切り傷が出来た。
「っ!!」
「僕に勝てると思った?でも、まさかそんな力まで身に付けるとはね。さすが、悪魔喰。」
俺は、赤音を取り戻すために、ある力を手に入れた。
それは、ある一定の人間が持つと言われている。特別な力「タクト」だ。
そして俺が使えるタクトは、「ソニックインパクト」音速の打撃を打ち込むという力だ。
「お前のタクトは、その大鎌だろ。そんなの持ち歩いてたら直ぐにバレちまうからな。」
「正解!僕のタクトは、この大鎌、「デスイーター」を、取り寄せる力だよ。よく調べたね。」
「当たり前だろ、俺は悪魔喰だからな。」
「そっか、でももう飽きたよ。」
スパッ!俺の後ろに隠れていた、少年の首がぽとりと落ちた。そして赤音は、その亡骸から心臓を取り出した。
「あ、赤音!」
「じゃあね、シロ…」
「待て!!」
また、新たな犠牲者を出してしまった。
「すまない。これ以上犠牲者を出さないためにもあいつは、俺が必ず止めるよ。」
俺は、亡骸に手を合わせその場から立ち去った。
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私は、赤音。
お父さんとお母さんと、3人幸せな時間を過ごしていた。
でも、突然その幸せに終わりが訪れた。
お父さんとお母さんが、事故で死んだ。初めは悲しいという感情があった。でも、2人の葬式の時…
「あの二人、貧乏人の分際で出しゃばるから上の人間に殺されるんだ。」
「あはは、全くだな。ざまあねぇ。」
両親の、同僚の話を耳にしたその瞬間、私の中に眠っていた悪魔が目を覚ました。
そっか、二人は殺されたんだ…。腐った大人たちに…。
「あはっ、あはははは!」
その時私は初めてタクトを使った。気が付くと、私は真っ赤に染まった大鎌を手に立ち尽くしていた。
「これ…は?」
「それは君のタクト「デスイーター」だよ。」
突然、声が聞こえた。
「だれ?」
「僕は、君だよ。君の中で眠っていた、悪魔とでも言っておこう。」
「あく、ま?」
悪魔は私にある提案をした。
「僕と一緒に両親を生き返らせる気は無いかい?」
これは、奇跡だと思った。失ったはずの両親を取り戻すことが出来る、そう考えただけで、私は悪魔に心を許した。
「君がその気なら僕に君の体をちょうだい。必ず両親に合わせてあげる。」
「いいよ。二人を生き返らせて悪魔さん。」
この時深紅の悪魔が生まれた。
「ねぇ、僕の夢を叶える糧になって。」
スパッ!
僕は、毎日血に染っていた。
そんな時幼なじみの、シロに秘密がバレてしまった。
「あ、赤音その顔……」
「あっ、落としてくるの忘れちゃった。」
「お前、まさか…」
はぁ、面倒くさ。
「痛ったー。まさか、アイツもタクトを使うとはね。」
僕は、ただひたすら人間を殺す。それだけだ。
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赤音を追っているうちに俺はある情報を手に入れた。その情報とは、今の赤音の状態の原因が、両親を殺されたことによって目覚めた赤音の中の悪魔が原因ということだ。
これに気がついたのは、赤音が1度だけ悪魔と会話をしているところを見たからだ。
それともうひとつ、昨日の戦いの中俺は赤音に傷を負わされた。だが、あの瞬間普通なら俺はかすり傷どころか、殺されていてもおかしくはなかったのだ。だが、俺は殺されなかった。
赤音が、悪魔に抵抗をしたように感じた。
つまり、赤音がおかしくなった原因は、悪魔だと言うことだ。
「あいつは…赤音は、悪くないんだ。あの悪魔…アイツさえ倒せれば。」
「……シロ。」
「赤音!?」
「いいや、今は赤音じゃない。僕は君の言う赤音の中にいる悪魔さ。ちょっと君邪魔だから死んで…。」
そういうと悪魔は、デスイーターを振り下ろしてきた。
クッ!ギリギリのところで俺は回避した。
「待って!!」
「!?」
「シロは、殺さないで悪魔さん。私が、説得するから。お願い!」
「シロ。もう私たちの邪魔をしないで。あなたには死んで欲しくない!だから…。」
「断る!お前を助けるまで俺は諦めねえ。何度だってお前をとてやる。」
「ダメじゃん、赤音もう殺すね。」
「待って!!」
グシャッ!!
デスイーターは、俺の腹を切っていた。
「グッ!あぁぁぁぁ!出ていけ!悪魔ぁぁぁあ!」
腹の傷から、赤黒い血が流れ出てくる。口元に垂れた血を拭い俺は赤音を目掛けて走り出した。
「その傷じゃ、そう長くは持たない…諦めて死になって…」
「グォォォァァ」
痛い、目の前がぼやけて意識が遠のいて行く……でも、まだ死ねない。あかねを救うまでは………
「死ねないんだァァァァァ!」
「カハッ!」
俺の拳は赤音の腹部にめり込んだ。その瞬間、突然悪魔と赤音の意識が入れ替わった。
「シ……ロ……。」
「赤音っ!?」
「油断…大敵!」
俺が近づくと悪魔の意識がでてきた。
「あぁぁぁあぁぁああぁ!」
俺は腹部の傷を掴まれた。
「グッ!オァァァァァ!!」
「もう辞めてよ………。やめてよシロ!じゃましないで!!」
赤音の意識が出てきて俺と戦っている。
何度も何度も、俺はデスイーターで殴られ続ける。
しかし俺は、歩みを止めなかった。
「赤音もうよせ。悪魔になんて従わなくたっていいんだ!」
「うるさい!!邪魔…しないでー!!」
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「邪魔しないでよ!シロ!」
「断る!」
血塗れになりながらも俺は赤音にしがみつく。
「君じゃ私達には勝てないよ!」
「そう、僕ら二人にはね!」
「黙れ!お前が全ての元凶だ!赤音から出ていけ!!」
赤音は、デスイーターで俺を殴り続ける。
「いい加減殺すよ!死にたくなかったら退いてよ!」
「赤音、変わって。」
「待って!」
グサッ、、、
右膝から、真っ赤な血がどんどん流れていく。
「ガハッ!」
「赤音が、殺さないんだったら僕がやる。それが嫌なら君がやるんだ。」
「できない、出来ないよ。」
「はぁ、もういい。」
大鎌が振り下ろされるその瞬間、鎌の刃がピタリと止まった。
「や、やっぱり無理だよ。し、シロ、私を殺し…て。」
赤音は、涙を流していた。
「赤…音。」
「早くして!」
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「何をしてるだよ赤音…。全く、ばかだね。君は。」
グサッ!!
デスイーターは、赤音の腹部を突き刺していた。
「アガっ」
デスイーターの持ち手はあかねの手には握られていなかった。
デスイーターを持っていたのはもう一人の赤音。深紅の悪魔だった。
「もう君要らないや。僕ももう消えるとするよ。」
「悪魔ぁぁ!」
「君との戦いは楽しかったよ。さようなら、悪魔喰君。」
そういうと悪魔は消滅したかのように灰となって消えた。
「赤音!」
「し、ロごめんね。」
「謝らなくていい、謝らなくていいから逝かないでくれ赤音!」
「生きて……し………ロ…。」
そっと、赤音は息を引き取った。
「ごめん、救えなかった。ごめん赤音。」
俺は、赤音を奪われた悲しみを胸に、悪魔を狩る。この世から一匹残らず俺が喰らってやる。
俺はシロ、たった一人の悪魔喰だ。
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「お前は、悪魔…」
グシャッ!
「90匹目……あと、10匹…。待ってろよ赤音、まだお別れは早いだろ?」
俺は、赤音を取り戻すために、悪魔を狩る。たった一人の悪魔喰。真っ赤に染まる悪魔とそれを狩る1人の悪魔喰の物語……、じゃない!
ここから先は、悪魔に殺された1人の女の子を救う悪魔喰の物語。
まだ、さようならと言うには早すぎる。
こんな、素人の作品を読んで頂き誠にありがとうございます。素人の小説なんて大したことないと思割れるかもしれません。しかしこれからもたくさんの作品を作り、少しでも読者の皆様の心を動かすことの出来る作品を書けるよう、これからも精進していきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。