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2話 コノハの国と子犬の王様

マニタはコノハの国へと辿り着いた。

そこは名前の通り紅葉が綺麗な国でとても魔王からの攻撃を受けたとは思えないくらい華やかだった。1つ違和感があるとするなら住民がみなモンスターと言うこと。ゴブリンが1番多いように思えるがたまにドラゴンなどの大きなモンスターもいる。1人も人間はいない。


マニタはとりあえずコノハの国の国王に会いに行く事にした。王に会いにいく道中で様々なモンスターに変な目で見られたがマニタはお構い無しに王城へと向かっていった。


王城の門のところでは流石に足止めを食らってしまった。当然だ魔王の力も食らってない普通の人間が来たら誰だって怪しむだろう。

「お前、魔王の使いか?」

門番はやや強い口調で聞いてきた。

「違いますよ。僕は元勇者のカタロス・マニタと申します。色々訳がありここに参りました……」

マニタはここまでの知っている情報やこの世界で何が起きているのかを説明した。



「そうだったのですか。疑ってしまい申し訳ありません。どうぞここをお通り下さい。ここから先真っ直ぐ進んでいけば城の入口があります。そこから中に入るとそこには大広間がございます。恐らくそこに王様がいらっしゃいますので……」

門番の顔は鎧で見えなかったが声からは疑っている欠片もない。

「ありがとう」

そう一言お礼を言いマニタは城へと進んで行った。


城は木で造られていた。火事が起きたらやばいんじゃ……とマニタは疑問を抱いたがそんな事を考えていても仕方ないと思いながら歩いていた。


扉の前に立つと今までとは違った迫力を感じる。木だけで出来ているにしては圧迫感の様なものがあった。マニタが関心を示していると扉が開いた。どうやら魔法で人が近づくと開く仕組みになっているようだ。

扉が開くとそこには……


可愛らしい子犬がいた。


実は人間はモンスター以外にも動物に変えられた人がいる。その国の偉い方の人だったり、魔法がよく出来たりする人が動物に変化させられている。てことは目の前にいる子犬もこの国の偉い方の人であるということなのか?その子犬には人間らしい髭が生えていて二足歩行だ。


マニタが困った顔をしていると

「よくぞ来たな。ここに来るのは何年ぶりだ?」

見た目に反した低い声で話しかけてきた。マニタは何が現実なのか分からなくなっていた。現実に戻るためにも1つ質問をしてみた。

「えっと。あなたはどちら様でいらっしゃいますでしょうか?」

「ワシの事を覚えておらんのか?マニタよ。ワシじゃ」

「いや、ワシじゃ分からないですよ。ちゃんとした名前を教えてください」

「ワシの名はワルギス・ワーナスじゃ。ホントに覚えてないのかの?」

ワルギス・ワーナス……それはコノハの国の王の名だった。

「ちょっと待ってください!!! え? あのワーナスさんなんですか?」

「いかにも。私がワーナスだ」

マニタは口をポカンと開け何が何だか分からないままボーッとしていた。何故ならワーナスは昔マニタの世話をしていたりなど関わりが深いのだ。しかも自分の名前を覚えている。それが謎で仕方なかった。

「ワーナスさん。何で僕の事を覚えているのです?」

「そりゃあ。お主がこーんな小さい時から知ってるからのぉ。忘れたりなどせんよ。」


おかしい……普通姿を変えられた後は記憶は消されているか、曖昧にしか覚えていないはず。なのにワーナスは記憶があった。

「んで?お主はなぜこの国まで来たのだ? 魔王が目覚めてお主は討伐作戦をしている最中では無いのか?」

「実は…… かくかくしかじかで……」

自分が勇者をやめさせられた事や、この国に来た理由などをマニタはワーナスに話した。

「そういうことじゃったのか。 そりゃ大変な思いをしたのぉ。まぁとりあえずこっちの部屋でお茶でもしようじゃないか。」

「は、はい」


連れていかれた部屋は明らかに来客用の部屋では無かった。ワーナスの書斎らしい。中々に広く本も沢山あって書斎と言うより図書館のような空間だった。

「そこに座りなされ」

真ん中にある豪華な机でお互いが向かい合うように座った。

「それで、ワシが知っておることを話せば良いのじゃな?」

「はい、お願い致します」

「ワシが知っておるのは、ワシのように動物に変えられた人間は記憶を引き継いで居ること、ここから遠く、西の方じゃな。そっちの方にいくとテノハのように魔王の被害を受けてない国がある。その国もテノハと同様に特殊な結界よって魔王の攻撃から護られたという事くらいじゃの」


マニタにとって衝撃的な事が多すぎて若干ついていけなかった。ワーナスのように動物に変えられた者は、モンスターに変えられた者とは違い記憶を保持していること。これはワーナスが記憶を引き継いでいるから納得出来る。だがもう1つ。

魔王の攻撃から護られた国……結界を張っただけなので不思議な事ではないのだが、実はテノハの国の結界は王しか結界の作り方を知っておらず、他の誰にも真似出来ないものだった。それを可能にした人物がいる……?マニタにとって新たな謎が生まれた。もう1つの護られた国とテノハには何かしらの関係があるかもしれない。


その後、マニタとワーナスは世間話をしマニタは城を出て、夕食をそこらのお店で食べ、そして宿をとり就寝した……


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