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プロローグ 鳥取県

初めまして、鶏肉野郎(チキンヤロー)と申します。

むしゃくしゃして書きました。

ド素人なので好き勝手に気紛れに書きます。

名前通りの鶏肉精神(チキンハート)ですので、海外のお菓子位の甘さで見てください。

どうしても「この鶏肉野郎!!」とお叱りをする場合は、23-26歳程度のちょっとタレ目な二重のお姉様系で是非お願い致します!

そしたら反省してブヒィ………違ったコケーッ!と鳴きます。


こんな作品名なのですが、残念ながら心がピョンピョンする兎の様な可愛い女の子達の戯れは今のところ出て来ません…多分これからも出て来ません。わかりません。すみません。

鳥取県。

それは日本で一番人口の少ない県。

鳥取県。

それは田舎の代名詞。

鳥取県。

それは時にネタにされ、時に馬鹿にされ、よく誤解される県。


「鳥取県出身です。」と言えば、数時間後には「島根県だったよね?」と略略言われる。それが日常茶飯事な県。

半分は砂漠で出来ていると考えられ、中部では殺人事件が日夜起こり、西部では妖怪が日夜暴れまわる……………そんな人外魔境。

島根県との県境は朧気で、たまに妖怪が居るのは島根県だと思っている人もいる。

やめてくれ、そんな事をされたら鳥取県は不毛な砂漠地帯しかなくなってしまう!

鳥取県と島根県は略同じものとして見られ、名産品やお土産品は『山陰』としていっしょくたにされるのが日々である。

そしてそれですらまだ良い方で、本当に鳥取県に興味のない人間からは『取鳥県』と書かれる。


………………そんな鳥取県の西部でもさらに田舎、『市』ですらない『郡』に竹中隼人の実家はあった。


竹中隼人はこれと言った特技も趣味もない、凡以下の人間であった。


鳥取県という片田舎の中の更に田舎で育ち、同年代と接するようになったのは、小学校に入ってからだった。

その為対人スキルはあまり育っておらず、一人遊びと大人へ無自覚の媚を売るのが得意な子供であった。

けれどもそんな自身を把握することも、また他人から指摘される事もなくすくすくと育った隼人は、大学進学とともに荒波に揉まれることとなる。


鳥取県の住民というものは、高校生で大きな選択をする事となる。

鳥取県は幼稚園や小学校からお受験が始まることはない。人がいないからだ。「保育園の空きが~」なんて悩みとも無縁の地だ。私立の小学校……なにそれ?国立?なにそれ?付属中?なにそれなにそれ?

その為県民の殆どは高校受験で初めて受験を経験する。そして高校生の時に、『進学』と『就職』で悩むこととなるのだ。

なりたい職や将来の夢がある人間は県外に進学する。県内の進学先なぞ限られ過ぎているからだ。

そもそも鳥取県に四年制大学はない。

短期大学があるのだって東部で、西部の人間が毎日通うような場所にはない。

だからこそ、何かを極めてその道に本気で進もうと思うのなら都会に出るしかない。


隼人にそんな大それた夢などなかったが、鳥取県西部の草臥れた田舎町で高卒で働き始めるのだけは嫌だった。まだ遊んでいたい年頃だったし、家には継ぐようなものもない。これと言ったビジョンもないままに自分に入れそうな大学を目指し、なりたい職もなく適当に安定してそうな会社に入社した。


初めての都会はとてもせかせかして見えた。

嫌になるほど窮屈で、冷たくて五月蝿かった。

アパートなんて最初こそプライベートな秘密基地が出来た感覚だったが、数ヵ月もすればそのわくわく感も消え去ってホームシックになった。

上下左右の音に気を使わなければならない生活はそれだけでストレスだった。

鼻歌まじりに入っていたお風呂も一人だとシャワーだけになる。

あれだけ食べていた美味しい食事達も、カップ麺で過ごす事ばかりになり食事量も減った。

折角取得した運転免許だって、今では完全に『顔写真付き身分証明書』としてしか陽の目をみることはない。

話すことは極端に減り、ただでさえ趣味らしいものもなかったと言うのに、より一層、やる気はなくなった。


そんな日々も数年続けば慣れるもので、隼人はすっかり趣味も特技もない、日々を受け流すだけの影の薄い人間になっていた。


一言で言えば正に『モブ』。

大衆に混じってワーワー言うだけの奴。

ボッチや引きこもりという『個性』すらない始末。

社会に出てもそれなりの会社でそれなりの仕事をする。大きな案件をとってきたりだとか、会社に多額の負債を背負わせるようなミスをしたりなんかしない。

与えられた仕事はキチンとする。

たまに細かいミスをして上司に注意されたりもする。

皆で取り掛かるような大きな案件には一緒に取り組んで頑張りもするが、その場を引っ張るリーダーでもなければ、大きな功績や目に留まる仕事をする訳でもない。

そんな無個性極まる人間だった。


その為か何かはわからないが、会社の経営が傾き人員削減をする事となった時に、隼人の名前もその大多数の一人として挙がってしまったのだ。


…………結果、隼人は自主退職をした。

家賃だって安くはないこの都会で、野菜や米にお金がかかると知ったこの都会で、しょっちゅう食べていた魚が高級魚だと知ったこの都会で、次の職になるべく早く就かなければ死ぬ。

職安に毎日通ってみるものの、大した資格もない隼人がなれる職業は限られていた。

大人になっても育ちきる事のなかった対人スキルは、面接で不利だった。

新卒社会人の時ならばいざ知らず、会社に人員削減要員として切られた、中途半端な時期に中途半端な奴が受かる程、都会の就職は甘くはなかった。


決まった時間に起床して、身支度を整え職安や面接に行き、帰って来てポストを覗き不採用通知や御祈りメールに落胆する。

日に日に焦る内心と、どこか諦めている自分がいるそんな中で、カップ麺をすすり、シャワーを浴びて、少しばかり酒やテレビやパソコンで娯楽をして寝る。

そんな毎日の繰り返しに、隼人は自身の人生を振り返ってみた。


なんと面白味のない人生だろうか…………。


流されるがままに、何の考えもなしに、計画性もなしに生きてきてしまった。

大学進学のために都会に出てきたものの、結局やりたいこと一つ見つけられていない。

親友と呼べる友達一人すらつくれていない。

惰性に惰性を重ね、今もまた生活をするために職を探している。


そんな時にふと気付いた。


(何で俺ってここにいるんだっけ?)


惰性で住み続けているこのアパートが好きな訳ではない。仕事がやりたい訳でもない。ならば何故俺はこの地に拘って留まっているのか。

久々に思い出した郷愁にかられ、気が付けば実家に電話していた。


「俺、仕事辞めたんだ…………。どこも不景気でさぁ!………俺、さぁ…………そっち帰ってもいいかなぁ………?」


久々に聞く母親の声に懐かしさが込み上げた。懐かしくて、情けなくて、泣けてきた。

「お父さんに聞いてみて」と言う母親の言葉に、母さんから言ってくれてもいいじゃんか!なんて思ったりもしたが、泣きながら父親に電話をかけた。

父さんはもっと怒るかと思ったが、案外何も言ってこなくて、ただ「引っ越しはいつするんだ?」と言ってきただけだった。

俺は泣きながら「はよ帰りたい……業者と大家さんになるべくはやく帰れるように相談してみるけん………」と鼻を啜りながら答えて電話を切ったのだった。


……久しぶりの地元の方言だった。方言なんか使わなくなって久しいのに、何故かするすると当たり前のように喋っていた。

すると何故か途端に田舎が恋しくなって、もうすぐまたあの暮らしに戻れるのかと思うといてもたってもいられなって、そのまま大家さんと引っ越し業者に連絡を入れた。

大家さんは多少渋っていたが、俺が職無しだと説明すると、今週末で出て行くことを了承してくれた。

このまま貯金を食い潰して家賃も払えず居座られるよりはそっちの方がマシだからだろう。


それから善は急げと急いで荷物を纏めにかかったけれど、この部屋に何年も住んでいた割に荷物は少なかった。

無趣味で適当に生きてきたからなのか、服と少しの家電と家具があるだけだ。

どちらかと言えば、溜まっていたゴミを纏める方が時間がかかった気がする。


週末まではひたすらに掃除を頑張った。

埃が溜まり放題のサッシや、越してきてから一度もやったことのない換気扇の掃除なんかまでした。

身体を動かしていないと気持ちばかりがはやるからだ。

原状回帰に基づき、ひたすらに構ってこなかった場所の掃除に徹した。



……………そうして俺は、何とも言えない緊張と、期待と、不安の入り交じる気持ちで鳥取県に戻ってきた。

先に言っておきますが、暫くはこの主人公(&ほぼ母親)しか出て来ない話が続きます。

昨今の異世界転生(転移)モノはアッサリと異世界行っちゃうのが流行っていると聞きますが(面倒臭い前座をカットし直ぐに本筋へいく事で、初手での読者離れを無くすとかナントカ聞きましたが、そこ読むの面倒ってもう話を読むの自体面倒臭くなったりしないのかずっと疑問です)、残念ながらこの主人公は暫くしょっぺぇ思いを実家でしてもらおうと思います。

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