第一話 悲劇
初めて小説を書きました。おかしいところがあるかもしれませんが、誤字修正だったりよろしくお願いします。最初の十話くらいまではまだメインヒロインが出てこないので、僕の書きたい部分はまだまだ先ですが、どうか読んでください。
2050年一月一日。日本で、ある機械のテストが開始される………予定だった……………。誰が予測できただろう、日本人皆が待ち望んでいたこの日に起こった悲劇を……。
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2049年十二月二十日。十五歳の俺こと緩霧 舜は来月の一日に試験予定の、ある機械に夢中だった。多分、この機械を知らない日本人はいないだろう。その名もソルフィア。今までは夢だと思っていた完全なる仮想世界を作り出せる機械。現実世界での意識を停止し、機械が脳に干渉することで完全に仮想世界の中に入ることが出来るのだ。もちろん、ソルフィアは他の端末ともインターネットで繋がっていて、常に情報を交換し合っているので、仮想世界の中でも他の人たちと会うことは可能だ。俺が楽しみにしている2050年一月一日は、このソルフィアの正常に運転するかどうかのテストを行う日で、日本のなかから選ばれた人々、合計五万人が参加する。俺と俺の姉もその内の二人だ。
「あと十二日か。早く来月にならないかな……………」
俺は毎朝の日課となった、来月へのカウントダウンをしっかり行い、リビングのテーブルにつく。
「舜ちゃんいつもそればっかりね」
目線をキッチンに向ければ、もうお決まりとなった言葉を返してくる人物がいる。俺と同じく闇を思わせるような真っ黒な髪、それとは真逆に、明るめの焦げ茶色の瞳の女性。俺の姉、緩霧 櫻だ。俺はまだ物心つかないころに両親が亡くなったと聞かされ、ずっと姉さんと一緒に暮らしていた。俺が今十五歳(中学三年)なのに対し、姉さんは二十二歳とかなり年齢が離れているので、俺にとっての姉は母親の代わりのようなものだった。誰が見ても美人と形容するほど顔立ちの整った姉は、いつも優しく、そんな姉に俺は感謝の気持ちしかなかった。
「あとちょっとで俺の願望の旅行ができるようになるんだからさ、楽しみなのは当たり前だよ」
俺は姉さんと他愛のない会話をしながら日にちが過ぎていく……………
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そして迎えた今日、2050年一月一日。テレビや新聞ではソルフィアについての速報ばかりだった。
―待ちに待った、ソルフィアの試験予定日がついにやってきました!ところで、ソルフィアとは何なのか、もう一度考えてみたいと思います。それでは鈴木さんお願いします!-
―ソルフィアもうすぐ完成⁉これから日本はどうなっていくのか⁉-
―脱スマホ社会!ソルフィアどう活躍⁉-
テレビのどのチャンネル、どの会社の新聞を見ても、今日のテストの報道。家を出ると、高く並ぶビルの側面に3D映像でニュースが流れている。まあ、すべてソルフィアのニュースだが。こうして迎えたこの日、ソルフィアのテストは昼の十二時から始まるらしい。俺たちはソルフィアの開発組織《OSKER》(オスカー)によって事前配布されていたソルフィアを頭につける。そして、十二時になったらまず何が始まるかというと、
「やっとこの日がやってきたね。舜ちゃん楽しみにしてたもんね」
「早くサービスが始まらないか楽しみだよ。ソルフィアが普及すると、仮想空間内で沢山の場所に好きな時にいけるから、俺らみたいに両親がいなくても旅行とか今までできなかったことが出来るようになるからね」
そうだ。まさにそれだ。俺は今まで俺を親の代わりに育ててきてくれた姉さんに、何かお返ししたいと思っていた。そこで思いついたのが旅行だった。だが、俺はまだ中三なのでお金もそんなにない。なので、交通費までかかると俺の財布が悲鳴をあげて泣きだすことになる。そんな財布を労わってあげるために少しでも旅行費が安くならないか考えた結果、たどり着いたのが仮想世界だった。だからこそ俺は仮想世界に夢中になり、楽しみにしていたのだ。ただ姉さんの喜ぶ顔が見たかった。
「サービスが始まると交通費がかからないから、行けるところが増えるから、旅行に行こうな、姉さん。どこに行くとかはもう考えてあるから、旅行のことは俺に任せてくれよな」
自信満々に言った俺に対し、姉さんは一瞬顔に曇りが見えたものの、すぐに明るい笑顔で返答した。
「ありがとう、舜ちゃん。私のために考えてくれて………うっうっ……絶対に旅行行こうね!」
この時見た姉さんの顔を俺は一生忘れない。姉さんが喜んでくれて、ただただ嬉しかった。俺たちはソルフィアを装着し、時間が過ぎるのを待った。そして迎えた昼の十二時の一分前。テレビの全チャンネルがソルフィアのテスト開始へのカウントダウンに切り替わる。俺は期待に胸を膨らませ、カウントダウンが終わるのを待った。たった一分がとてつもなく長く感じた。
―三!……二!……一!………ゼロ!-
家の中だというのに、町中が沸き起こる声が聞こえる。これからあの夢のような世界が始まるんだ!………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ん?サービス開始予定時間からもう五分もたつのにまだダイブ(仮想世界内に入るという意味)できない。それは俺たちだけではないようで、テレビでは
―今で五分が立ちましたけれど、誰もダイブしていません。一体どういうことでしょうか。ただ今、オスカーの方に問い合わせしてみますので少々お待ちください。-
そんな言葉があってからピーピピピーなどと、ピーしか言わないなんとも形容しづらい歌が流れる。正直この歌嫌いだ。地獄のピーが鳴りやんだ。
―データタワーに問い合わせしてみたところ、向こうもまだ原因が判明していないらしく、今確認中なので少々待ってくださいとのことで………―
急にテレビがフリーズし……消えた。
「………え?」
「何が起こったの?」
俺と姉さんの頭の中は「?」のマークで埋め尽くされた。一体何が起こったのかという疑問に対する答えが一切思いつかない。しかも、この、テレビがいきなり停止するのを見た人は不安でならなかっただろう。ただでさえ、時間になってもサービスが始まらないことで不安になっているのに、それに追い打ちをかけるかのようなテレビの停止。ホラー映画かよ。一瞬俺もおしっこをちびr…………………………ゴホンッ、なんでもない。今のは聞かなかったことにしてくれ。中学になってあれでは俺の黒歴史が確立してしまう。少しでも不安をなくそうと姉さんに話しかけてみる。
「姉さん、一体なにが………………」
喋っている途中で急に俺の声が途切れた。そして、俺の体の周りに青いリングのようなものが上下する。ゲームのレベルアップの時のようだ。隣を見ると…………………さっきまで隣にいた姉さんがいない。俺の周りに広がるのはただただ黒い、無の世界だった。思考は出来るが、声も発せられず、体も動かせず、今まで味わったことのない不思議な感覚に包まれた。その状態が十秒と続き、やがて俺の目に明るい光が入り込む。目を開けて周りを見回すと、見覚えのない景色が広がっている。それに、妙に体が軽い。俺は自分の体に視線を向けた。
「……………何だ、これ?」
俺は、さっきまで来ていた黒のジャージとは違い、銀色の薄い胸板と普通の濃い青の服を着ていて、腰に剣をかけている。自分が置かれている状況に強い違和感を覚え、俺は姉さんを探した。
「姉さん!姉さん!」
姉さんは俺の隣で青いリングを放ちながら現れた。
「何が起こった⁉」
「私にもわからない。まあ舜ちゃんが無事だったから一旦はいいとして、さっきから変なことばかりよね。」
姉さんが頭を抱えて、必死に答えを出そうとしているように、俺も考えをまとめてみる………が、さっきと変わらず、俺の頭は「?」でいっぱいで何も思いつかなかった。途端、俺の視線のど真ん中に青白い光が現れ、立体の四角い画面を形作った。それは姉さんも同じだったようで、一点を凝視している。
「………何、これ……?」
「わからない……………」
姉さんの質問に俺は答えられなかった。長年、ゲームをやってきた俺もこんな画面見たことがない。そんなことを考えていると立体の画面が急に光を放ち、人型へと変化した。顔の部分がぼやけていて顔は見えない。すると、人型の光から機械音のような声が発せられた。
「こんにちは、諸君。私はオスカーの者だ。まず、この状況について説明をしようと思う。君らはさきほどまで、ソルフィアのテスト開始を待っていたはずだ。だが、それは始まらず、何故か自分の見覚えのない土地に、自分の知らない服装で放り出されたってところかな。そして、この放送を聞いていると」
まるでどこかで俺たちを監視しているのか?と思うほど俺たちの状況に当てはまっている。思考を始めようとした俺の頭をあの機械音のような声がさえぎる。
「まず、ここはすでに仮想世界だ。今ソルフィアのテスター五万人がこの世界に居る。ここはマグメシアという名の世界だ。諸君にはここでゲームをしてもらう」
ゲーム……?俺の頭の中が恐怖から「?」に変えられる。ゲームと言っても何種類かあるはずだ。STG、ACT、ADV、RPG、PZL、RCG、SLG……………例を挙げていくときりがない。その中にはデスゲームなども入る。流石にデスゲームはないだろうと思いつつ説明の方に意識を向ける。
「諸君の未来がかかったゲームと言えよう」
第一話お読みいただきありがとうございます!まだプロローグの段階なので、第二話もお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ 誤字修正などもあればお願いします。バトルシーンは第四話くらいからなのでどうかお読みください!ちなみに、ブックマークや評価などはログインするとできます。個人情報などはほぼ書かなくてもログインできるので、ログインしていただき、下の星にぶっさしていただけるとありがたいです。