5話
読んでくださった方、ありがとうございます!
昨日、他の小説サイトを漁っていたのですが、やっぱり発想と文章力が全く足りていない事に改めて気づかされました。
これからも頑張っていこうと思います!
下校のチャイムが鳴った。
「圭介、帰ろうぜ」
「ああ。」
僕はいつも通り涼介と教室を出た。
歩きながら涼介と今日の出来事について色々と話していると、後ろから誰かが僕を呼ぶ声がする。
振り返ってみると、美咲だった。
「圭介!ちょっと待ってよ!」
「…なんだ? もしかして帰りも一緒か?」
「よく分かってるじゃない。昔は何時も一緒だったでしょ?」
「昔はな……」
帰りもあの視線に晒されるのか……しんどいな……
「とにかく、これからは登下校は一緒だからね!」
「………分かったよ。行こう。」
また美咲と仲違いするのは嫌だからな。これくらいは我慢しよう。
そう思い、僕達は連れ立って下校した。
* * *
家に帰り着くと、既に冬香は帰宅した後だった。
「おかえり、お兄ちゃん。」
「ただいま。」
僕が帰ってきたのを見ると、直ぐにニヤニヤ笑いを開始した冬香。
「お兄ちゃん、人気者だったねー」
「……誰が人気者だ。動物園のパンダのような気分だったよ。」
「パンダ、人気者じゃん。」
そういう意味で言ったんじゃない……
「僕は部屋に行ってるから、夕ご飯が出来たら呼んでくれ。」
「分かった。」
部屋に着くと、僕は真っ先にスマホを出してメッセージアプリを起動した。
涼介と通話をするためだ。
3コールした後に涼介が出た。
「おう。どうした?」
「……すまん、少し手伝って欲しいことがある。」
「なんだ?お前から頼み事なんて珍しい。」
「俺には出来ない事だからな。」
「分かった。取り敢えず話してみろ。」
そして僕は、クラスのある人物の情報収集を涼介に頼んだ。
涼介は、広く浅い友好関係を築いているので、情報収集にはもってこいなのだ。
というのは建前で、実際は涼介以外頼める人がいないからだ。
「了解。お安い御用だ。」
「ありがとう。」
「おう。……あ、そういえば、最近また楽ドナルドの新メニューが出たよなぁ。美味そうだよなぁ。」
「……はいはい。分かりましたよ、奢るから」
「サンキュー!」
その後も色々と打ち合わせをして、通話を終了した。
……敵を打つには情報戦からだからな。
今日、僕に敵対的な視線を向けて来た奴は、学年でも有名なトップカーストの1人だ。
心配性と思われるかも知れないが、もしもの時のために情報は押さえておきたい。
……いや、もうフラグは立ったと考えていいか。
「お兄ちゃん!ご飯できたよー!」
1階から冬香が僕を呼ぶ声がする。時計を見ると、部屋に篭ってから既に1時間も経っていた。
「分かったー!」
返事をして、僕はご飯を食べに1階へと向かった。
* * *
「おはよう!圭介に冬香ちゃん!」
「おはよう、美咲。」
「おはようございます。美咲さん。」
「ついでに涼介。」
「おう。ついでの涼介だ。」
「おはようございます。」
「おはよう!冬香ちゃん!」
挨拶も程々にして、学校に向かった。
教室に入ると、昨日と変わらずざわめきが大きくなる。
僕はそんな雰囲気を無視して机についた。
机に突っ伏してから五分程すると、担任が入ってきた。
朝のホームルームの時間だ。
ボーッと聞いていると、担任が聞き捨て難い事を話し出した。
「突然だが、今日の体育の授業は来月予定されていた体力テストを急遽行う事になった。このホームルームが終わり次第、すぐに着替える事。」
生徒たちは口々に、「面倒くさい」だの「キツイから嫌」だのとほざいている。
「……どうしよう」
不味い。非常に不味い。
「どうしたんだ?体操服でも忘れたのか?」
「いや……そうじゃないんだ……」
なぜ不味いのか。
それは、僕の身体能力が高すぎる事に起因する。
事が起こったのは中学校の時。
その頃にも体力テストは有ったのだが、実はその時の握力測定で、
”測定不能”を叩き出してしまった。
……あの時は何とか機械の故障という事で誤魔化せたが、握力が最初に来なかったら、全く手加減せずにテストに臨んでしまっていただろう。
だが、その後のテストで僕が手加減しすぎたせいで、僕のテストは全種目最低点という結果に終わってしまったのだ。
それの経験を踏まえて、僕は体力テストの前には”手加減の練習”をする事を始めた。
これは、その年の男子の各種目の平均値を調べ、その値に合わせるための練習だ。
これをこっそりとやっていたお陰で、僕は体力テストで良いようにも悪いようにも目立たずに済んだ。
だが……今日は、何も準備していない。
この年の平均も、このクラスの運動能力の平均も分からない。
よって、対策のしようが無い。
そんな風に僕が悩んでいると、上からよく知った声がかかった。
「圭介、どうしたの?そんなに悩んで。」
おぉ。僕の秘密を知る人が1人いた。
取り敢えず相談してみよう。
「ちょっと付いてきてくれ。」
「へ?う、うん。」
僕と美咲は教室を出て、騒がしい廊下に出た。こっちの方が盗み聞きをされにくい。
「実は、今日の体力テストをどう切り抜けようか悩んでいたんだ。」
「え?どうして?普通に受ければ良いじゃん。」
「…知ってるだろ?僕の体のこと。」
「あー……成る程……」
体、と話しただけで美咲は合点がいったようだ。
察しのいい幼馴染で助かる。
「何かないか?例えば、50メートル走とかで異常な結果を出してしまった時の対処法とか」
「うーん………………」
「どう?」
「…………無理だね!」
笑顔で言われた。
無茶を言っているのは分かっているのだが、美咲でもダメだと他に頼る人がいない。
冬香は別の学年だし。
「……でも、この好機を使えば………」
「?」
好機、じゃなくて絶対絶命だろう?
「………やっぱり、出来るかも。」
「ほ、本当か!?」
「取り敢えず、言う通りにしてくれれば。」
なんだか美咲の笑顔が怖いが、対処法を見つけてくれたって事だろう。
* * *
「まずは、列の後ろの方に並ぶわよ。ただし、最後尾はダメ。」
「分かった。」
因みに、この学校の体力テストは、クラス毎に行われる。
珍しい事に、クラスの中で決められた強制的な順番などは無いので、好きな時に測定出来るのだ。
美咲はその特性を生かして、クラスの身体能力の平均を知ろうとしていた。
……まあ、ここまでは誰でも思いつく事だ。僕も前回そうしていたし。
次に美咲が僕に指示した事は、クラス1速いと言われている陸上部の人と同じレーンに立つ事だった。
これをする事によって、力加減の調節が格段に楽になる。
要は、その人を追い抜かなければいいのだ。
しかし、美咲はそこでもう一つ指示を出してきた。
それは、”ギリギリ横に並ぶか並ばないかの速さで走る事”だった。
どうやら美咲はこの体力テストを使って僕のクラスでの評価を上げようとしているみたいだ。
* * *
「位置について……用意、スタート!」
横目で隣の人を見ながら走り出す。
さすが陸上部。加速度が他の人とは格段に違う。
僕はその人を追い越さないように慎重について行った。
「はい。1位の人が5.9、2位の人が6.0ね。3位の人が6.8で、4位が7.1」
どうにかギリギリ追い越さないぐらいのスピードを保つことが出来た。我ながら上出来だと思う。
終わった後で1位の人が「なんでこいつが」と言いたげな顔をしていた事には苦笑した。
息を整えて美咲の元に戻ると、満面の笑みを称えた彼女がいた。
「良かったよ!良い力加減だった。」
「…まさかあんなに楽に行けるとは思ってなかったよ。」
「これで圭介の評価も少しは上がるね!」
「足の速い人が人気が出るのは小学校までではなかろうか……」
「そんな事ないから、次、行くよ!」
「はいはい……」
その後も順調に各種目をこなし、僕のテスト結果はクラス2位という事で落ち着いた。
どれもこれも美咲のお陰だ。
「……お前、そんなに運動神経良かったっけ?」
「……偶然だろ。」
「ふーん………そうか。」
前回の僕の成績を知っていた涼介は適当に誤魔化しておいた。
次の日から、僕に対する視線が増えたのは言うまでもない……
読んでくださった方、ありがとうございます。
これからはこの様な日常系になると思います。