4話
作品を読んで下さった方、ブクマ登録して下さった方、ありがとうございます!
シリアス多めでしたが、これからはだんだんと明るくしていこうと思います!
「……そんな事が……」
「…ごめん、騙したりして……」
僕も美咲に謝らないといけない。
本当は、一番に報告しなければならない筈の幼馴染に、報告さえせず、あまつさえ騙したのだ。
美咲が僕にした事よりもよっぽど重い罪だ。
「……いいの。大変だっただろうし……」
「…ありがとう。」
僕も、あの時美咲に報告していれば良かったのか?
………後悔しても過去は戻ってこない、か。
* * *
その日の夜、僕はベッドで考えていた。
自分は一体どういう存在なのか?
先程美咲と話をした時、ふと思ったのだ。
あの神社で、僕は人間をやめた。
外見的特徴は人間だ。
だが実際は、何かを宿した化け物。
「僕は人間じゃない。じゃあ、なんなんだ?」
「お兄ちゃんは、お兄ちゃんだよ。」
「……冬香か……」
「ねぇ、そんな事どうだっていいじゃん。」
「いや、どうでもいいという事は無いと思うけど……」
「どうだっていいよ。お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ。いつも優しくて、冬香をいつも助けてくれるお兄ちゃんだよ。」
「……最近は、僕が助けられっぱなしだと思うけどな」
「ふふっ。言えてる。」
「………僕は僕、か。」
「そう。お兄ちゃんはお兄ちゃん。それでいいじゃん」
「……確かに、そうかもしれないな……」
“人間”でも無く、”化け物”でも無く、
”伊坂 圭介”
という一つの存在。
……うん。今はそれでいい。
「ははっ、僕は人間からすると、絶滅危惧種なんだな」
僕がそう言うと、冬香はクスクスと笑い、「そうだね」
と言って1階に降りていった。
……なんだか、小説の主人公の様な悩みだったな……
天井を見上げながらそう思った。
次の日、スッキリとした顔をして階下に降りると、冬香は何も言ってこなかったが、口元がずっと緩んでいる。
僕は冬香にお礼を言わないといけない事を思い出した。
「…冬香、ありがとうな。」
「んー?何が?」
「色々だよ。」
「いいよ。兄妹なんだし。その代わり………」
「そ、その代わり?」
「今度困ったら、1人で抱え込まずに誰かに話すこと。私じゃなくて、美咲さんでも、あと、あの人。えーと…コウスケさん?だっけ。」
「涼介な……」
我が妹ながら酷い……
「そうそう。その人。とにかくお兄ちゃんは1人で抱え込み過ぎなんだから、ちゃんと人を頼らないとダメだよ?」
「は、はい。」
かなり強い口調で言われた。
これからは気をつけよう……冬香が怖いし……
「……今何か失礼な事考えなかった?」
「いやべつになんにもかんがえてないよ?」
ヤバイ、即答しすぎて棒読みになった。
「……ふーん……」
これ以上会話を続けるとボロが出そうなので、さっさと食器を重ねて台所に持っていく。
「お兄ちゃんが心配なのに………」
前言撤回。冬香マジ天使。
何?今の。ふと本音が出ちゃったみたいな声は。
冬香の可愛さを再確認した後、2人で家を出た。
何時もの通学路を歩き、Y字路の所まで来た。
そこには、涼介の代わりに意外な人物が立っていた。
「…おはよう。美咲。」
「あっ、おはよう!圭介!」
美咲がY字路の分岐点の所に立っていた。
一瞬だが、美咲とY字路の組み合わせが、まるで絵画のように見えた。
「おはようございます。美咲さん。」
「おはよう!冬香ちゃん」
冬香も美咲に挨拶した。美咲も普通に挨拶している。
今まで僕の従兄妹だと思っていた冬香が、本当は義理の兄妹だと知ったのは昨日のはずなのだが、全く態度に変化が無い。
取り敢えず、涼介の事を聞くことにした。
「美咲、涼介知らないか?」
「あー……さっき会ったんだけどね……………私を見たら、いきなり「面白くなりそうだ」とか言って、先に行っちゃった。」
……あいつ、僕を見世物にするつもりか……
「と、取り敢えず行こうか。」
「そうだねー」
「はい。行きましょう」
歩いていると分かるのだが……視線が凄い。
興味本位で見てくる奴らはいい。
問題は、明らかに敵対心を持っている視線がチラホラと見受けられる事だ。
……美咲の人気を改めて実感した。
下駄箱で冬香と別れ、自分のクラスの方へ向かう。
「……そうそう。手紙は靴の中に入れたらダメだぞ?僕、気付かずに踏んだから……」
「あ、あんまり外から見られたく無かったの…」
まあ、それもそうだよな……
あ、後1つ注意しておかないといけない事があった。
「……教室ではいつも通りで頼む。面倒事に巻き込まれたくないんだ。」
「…私、そのつもりないんだけど。」
「………え?」
「だって、今まではクラスの雰囲気に当てられて、圭介とあんまり仲良く出来なかったし……」
「いや、それはそうなんだが……美咲……自分の人気の高さを分かって言っているのか?」
「分かってるよ。でも、せっかく仲直り出来たのに、学校で仲良く出来ないなんて嫌だし。」
参ったな……この状態の美咲はもう梃子でも動かない。
でもなぁ………喧嘩とかだったらなんて事無いんだけど、陰湿な嫌がらせとかあるからなぁ……
「もしかして、嫌がらせを受けるとか心配してる?」
「ああ……まあ……」
流石幼馴染。読心術かよ。
「それに着いては多分大丈夫。私達が、生まれながらの幼馴染だって事を公表すれば収まるはず。」
「え、どうしてだ?」
逆に嫉妬が強まるんじゃないか?
「だって、幼馴染ならまだ分かるけど、”生まれながら”だよ?私が圭介を大事に思っている事は分かるはずだし、逆もまた然り。
圭介に嫌がらせをするという事は、私に嫌がらせをする事と同義だっていう事を分からせればいいの」
………なんか、色々と考えてるんだな……
「……分かった。美咲の好きなようにすればいいよ。」
「ありがとっ、圭介。」
「まあ、危害が加わらないなら別にいいし……」
「うんうん。じゃあ、教室行こっか?」
「ああ……」
教室に着くと、案の定僕達の方を見てクラスメイトが囁き合っていた。
すると、美咲がある女子グループの方に向かって歩いていった。いつも美咲と一緒にいるグループだ。
あっと言う間に美咲はそのグループの女子に囲まれてしまった。
周りの人達もそのグループに注目している。
……今の内だ。
僕はなるべく気配を感じさせないように、ゆっくりと音を立てずに歩いて自分の席に向かった。
「よう、中々面白い物を見させて貰ったぜ。」
「……何が面白い物だ。せめてお前がいれば状況は違っただろうに……」
「まあまあ、両手に華の感想は?」
「今までで最悪の登校だったよ。」
「またまたー、すぐ嘘をつく。」
「嘘じゃないって……」
2人でじゃれ合っていると、美咲が女子グループを引き連れて歩いてきた。
……改めて見ると、女王様と侍女達みたいだな……
そんな事を思っていると、美咲が喋りかけてきた。
「あのね、今私と圭介が幼馴染だって事を話したんだけど、圭介からも説明して欲しいって。」
目が、「合わせて」と言っている。
これも美咲の策略の1つか……
「…分かった。説明するよ。」
そして僕は、なるべく分かりやすく、
”生まれながらの幼馴染”という事を強調して簡単に説明した。
「って事。私と圭介は、本当に幼馴染だよ?」
一見美咲は女子グループの人達に話しているようにも見えるが、実際はクラス全員に話している。
この場で全員にアピールしようという算段か。
女子たちは確認が取れると、また内輪の話で盛り上がっていた。
他の人達の殆どが僕から興味を無くしたように視線を外した。
……これで、僕に明確な敵意を持つ奴がはっきりしたな……
僕から視線を外さかったのは5人。その中で敵対的な視線を向けていたのは1人か……注意しておこう
読んで下さってありがとうござます。
前書きで書いた通り、だんだんと明るくしていくつもりですので、これからもよろしくお願いします。