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単語帳が見つからない俺

あぁ、どうしようか……。

この気持ちには焦りはない。

焦ったところで意味がない。

焦ったところでそれを笑いにできる友もいない。

何しろ、俺はぼっちだ、悩みを共有できる友もいないし、笑いにできる友もいない。

だが、俺はぼっちで良かったこともある。

それは自分の時間を持つことができ、人と合わせるつまり、ある問題に対して素早く解決でき、その時間を自分の時間に使えるからだ。

故に俺は有意義な時間を一人でそして、気遣うことなく過ごせているのだ。

無理に自分を変える必要なんてなかったのだ。

無理に人と関わることなんて、金魚の糞と同じだからだ。

だから、俺は孤独に生き、孤独に過ごす。

古典だって同じだろう、その時代の人達はあまり自分で口に出すことなく、伝える時は手紙で表現する時代だったと思う。

故に平安時代もコミュ症だったから、コミュ症の人は偉い人の生まれ変わりだと考えている。

これはコミュ症レベルが高い人程天皇であった可能性ガララと高いということで俺は天皇であったと考えるから、俺は本来なら、こんな感じではないはずだが……

しかし、時代も時代だから、コミュ二ケーションの時代だから、それが憎い。

そんなことを考えていると……


「ねぇーねぇー君、単語帳持ってない?」


俺のことではないだろう。

とりあえず、無視する俺、ぼっちマスターは君とかあんたとかで反応するほどヤワではないのだ。

以前にも、あった確か中二の頃か、俺は誰かに呼ばれたような気がして振り向いてえっ何!?とかっで反応した時、そのままスルーされて傷ついたことがある。

だから、もうそんな同じことを繰り返さない為に俺は君とかあんたとかはたまた名前とかで呼ばれたとしても反応しないようにしている。

名前、フルネームの場合は別だが……


「ねぇーねぇー聞いてるの琴和正夫君?」


今、さっきフルネームで呼ばれた?

いや、それはありえない、もし仮に俺の名前と同性同名なやつがいるとしよう。

もし、その場合、うん、何だ……とかで反応した場合、ヤンキーの不良高校生とかだったら、あぁん何だお前お前じゃないんだけど!喧嘩売ってんのかコラァとか言われかねない。

そして、挙句の果てにジ・エンド、目をつけられて、そこからはパシリ人生に転落つまり……

ジ・エンド、その言葉が頭をよぎったのでひとまず、教科書を読んでおこう。


「ねぇーねぇー無視しないでってば琴和君」


今度は肩を叩いてきやがった。

しかも、ちょっと怒り気味に

これ以上無視すると声の主に気の毒なので、


「うん、何だ、何かようか?」


俺は叩かれた方の席に目をやった。

どうやら、俺の席の隣の奴らしい……名前は知らないし覚えるつもりもない、かえって惨めになるだけだ。

俺は明るくもなく暗くというより、ローテーション気味に警戒心を持って声の主に対して答えた。

何しろ、仲良くもない奴だし、知らないし、何をしてくるかわからないからな……


「もう、一回で振り向いてもいいじゃん琴和君!」


声の主は目をバッテンさせて怒ってらっしゃる、怖くないし可愛がられたいのか……

いや、無理でしょそんなこと、俺には過去の体験があるから察してくれよってリア充には無理か。

でも、明らかに陽キャラ100パーセント!コミュ力だけが取り柄ですみたいな子が俺の名前知ってんの?


「てかっ何でお前は俺の名前を知ってんの?」


何で俺がこの質問をするのかというと、当然で高校入学から2年目になって、知り合った友達は0でせいぜい、悪いこれやっといてくれるとか部活の奴の代わりに掃除をやってあげたくらいで、その時も名前では呼ばれなかったからだ。

別に俺はそれでいいと思っている、名前なんて呼ばれる奴は仲良くなって、時には変な名前をつけられたりして、いじられて嫌な思いするだけなのだから、だから、俺はぼっちを貫いいき、自分だけの楽しみを見つけてきた。

例えば、昼休みの机に突っ伏して音楽を聴くとかな……


「もう!覚えてないの隣の家に住んでて、今はもう引っ越しちゃったけど……昔、隣の家に住んでた、中谷理沙だよ」

「あっお前か…おっす久しぶり」


警戒心の解けない声色で応じた。

やめてくれ、声大きい周りの視線感じる、しかも、騒いでるの俺たちだけだし、あぁもう時すでに遅し、なぜなら……


「中谷理沙、何を忘れたんだ?」

「えっあっはい!あの単語帳忘れましたー!」


えぇ何で正直に単語帳忘れましたと言えるのか俺にはわからない


「でっお前はどうなんだ?持ってるのか?」


これでバレないように持ってますとか、偽装工作も巻き添いをくらった形にさせた張本人中谷理沙によってどうやら、罰を受けることになってしまった。

まぁ、持ってないからこれ以上面倒なことをしたら、ぼっちじゃなく、害悪になってしまうからな、ぼっちマスターは誰とも接さないそれ故に迷惑ひかけてはいけないからだ。


「はい、俺も持ってません」

「じゃあ二人とも罰を受けることになるがいいか?」


ヒューヒューとか、周りは言っているが俺は気にしない、気にしたところで何の意味もないからだ。

目立つことは嫌いだが、大半騒いでいるのは中谷の奴が忘れ物をしたからに対することだろう。

特に男子勢は若干興奮気味な感じがするのですが、それもそうだ 、いつもは男子が罰を受けることが当たり前であって女子が受けるのは今回が初めてだからだ。

いや、学校の歴史初かもしれない……。


「はい」

「うぅ……はい」


隣の中谷の顔を見る、見るからに赤くなっている。

こうなった張本人は中谷なんですけど!?

なんか泣き出しそうな顔だ、これ以上見てられないし長引くのも嫌だ。

それを考えた俺は……


「あの、先生」

「なんだ、琴和」


周囲にざわめきが起こる。


「あのこの子の罰は免除して俺が代わりに罰を増やしてください」

「えっ琴和君いいよ……」


汚れ仕事は俺が引き受けるのにどうして、そう遠慮するのか……

そうやって、自分健気アピールして人気者になりたいのか、面倒臭い。

だから、俺はこんな悲劇のヒロインぶるような奴が嫌いだ。




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