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セルジュと相談、そして閃き

本日、2話同時投稿。

この話は2話目です。

 店のことをカルムさんに任せた俺は、一目散にセルジュさんの店へと向かった。

 するとそこには……


「……」


 暖かさを感じる木造の店舗の壁面には、放火によって焦げた跡が広く残され、さらに店の前には厳しい顔つきの屈強な男達が立っている。


 ギムルの街に来て半年以上が経つが、こんなに物々しい雰囲気は初めてだ。

 俺がこの街に来た頃は、もっと暖かくて穏やかな所だったのに。

 この建物が今のギムルの状況なのかと思うと、寂しいと言うか、悲しいというか……


「失礼ですが、この店に用ですか?」

「! あ、はい」


 先ほどの厳しい顔つきの1人に声をかけられて我に返った。

 ……少し呆けていたようだ。


「こちらの会頭によくお世話になっている者ですが、最近街を離れていて。帰ってきたら、放火の被害に遭われたと聞いて……約束もなく来てしまいました」


 事情を話すと、声をかけてきた男性は入り口前の仲間を見て、その仲間と思わしき男性は1つ頷き店の中へ。


「確認を取りますので、少々お待ちください」

「ありがとうございます」



 ■ ■ ■


 それから数分後。

 俺はいつもの応接室に通されていた。

 しばらく待つと、多少の疲れは見えるものの、元気そうなセルジュさんもやってきた。


「リョウマ様、公爵家で別れて以来ですな」

「お久しぶりです。大変な事があったみたいですが、ご無事でよかった」

「ご心配をおかけしました。ですがこの通り、私自身はなんともありません。それに警備も強化しましたからね」

「ああ、表で見ましたよ。風体は荒々しい感じでしたが、丁寧な方々でしたね」

「彼らは王都から呼んだ傭兵団の方々ですからね。傭兵全体は粗暴な人が集まるイメージですが、一流の傭兵ともなると人当たりが良く、礼儀を心得ている人が多いですよ。

 なにせ人や魔獣、様々な相手や環境に対応する能力を求められる冒険者とは異なり、傭兵は“人間同士の問題への対処”が専門。警備や護衛で依頼者やその周囲に不快感を与えないのは当然のこと。必要性と信用があれば、敵との交渉の席に着くことも稀にあるといいますからね」


 なるほど……この世界における傭兵は、一流になると交渉人なども兼ねるのか。


「……やはり、そういう方々が必要な状況ですよね。今のこの街は」

「残念ながら、その通りですな。私の店への放火だけでなく、街中での喧嘩や窃盗なども増えています。原因はご存知ですか?」

「聞いた話ですが、労働者の流入が激しくて、仕事のない労働者が町に溢れていると。ですが、ここまで急激に治安が悪化するものでしょうか?」

「もちろん労働者の募集を締め切るなど、役所やギルドが対応に動いていますが、過剰流入を止めようにも次から次へと。中にはギムルで仕事を斡旋している業者を装って人を集め、紹介料を取った上に到着直前で放り出す。詐欺や誘拐のような手口で人を集めてくる輩もいるらしく、手が回っていないのが現状です。

 あまり大声ではいえない話なのですが……この事態は意図的なもので、複数の貴族が裏で糸を引いているようなのです」

「!! それは」

「おおかた領主である公爵家への嫌がらせでしょう。理由には見当がつきませんが、愚かな行いですね。私は少しお手伝いをさせていただいたので知っていますが、ラインハルト様は既に、騒動の元を断つために動かれていますよ」

「そうなんですか?」

「今はだいぶ荒れていますが、じきに落ち着いてくるはずですよ。それまでは少々、身の回りに注意をしつつ我慢のしどころですな」

「それは良かった」


 そこまで話が進んでいるのなら、守りを固めて事が収まるのを待てばいい……


「ところでリョウマ様、本日は何か持ち込まれたと聞いていますが」

「あ! そうでした。以前お話した通り、冒険者の仕事でファットマ領へ行ってみたら、良いご縁があったので、少々行商人の真似事を。仕入れてきたものと、あとは新しい商品を見ていただきたいのですが」

「ほうほう。それは非常に興味がありますな。して、何を仕入れて来たのですか?」


 アイテムボックスから、ファットマ領で買い込んだ陶器を各種1つずつ取り出す。


「ほほう。茶碗や湯のみに土鍋、壷、そして皿……どれも普段使いに良さそうですな。品質も中々。量はいかほど?」

「こちらに」


 購入時に用意した目録を渡すと、


「ふむ……この量ですと、このくらいになりますな。さほど高値はつけられませんが、手堅い品を選びましたね」

「現地の店員さんにも相談をさせていただいたので」


 提示された額は、仕入れの代金を2割ほど上回っていた。とても大きな儲けが出たわけではないけれど、交通費が浮いたしちょっとした小遣いには十分。別の仕事のついでと考えれば、全然悪くない。


「では、これらはこの額でお願いします」

「かしこまりました」


 次に取り出すのは、売り物ではないけれど、領主様からお礼としてもらった壷。

 梱包や預けられていたお店の店員さんの態度からして、かなりの値打ちものらしい。

 店に飾る予定だったが、その前に正しい価値を知っておきたい。


 事情を伝えて、見てもらうと、


「こ、これは」


 箱を開けたとたん、セルジュさんの表情が険しくなった。

 慌てて懐から取り出した白い手袋をはめ、丁寧に梱包を解いていく。

 そっと机に乗せられた壷は、青みがかった白地に色鮮やかで細かい絵が描かれている。

 かなり立派な壷には見えるが、


「むぅ……」

「あの、これはそんなに凄いものなんですか?」

「この地肌の青みと色鮮やかな装飾の特徴。おそらく、古代遺跡からの出土品です」

「古代遺跡? それって」

「高い技術力を持っていたとされる古代文明の遺跡ですな。世界各地でまれに見つかりますが、ファットマ領にも大昔に発見されたものがあったはずです。

 この壷は見ての通り美術品としての価値は高いのですが、製法が伝わっておらず、現代では作られていません。この壷のように完全な状態を保っているものは極めて珍しく、歴史的価値も高くなります。これは私も適正な値をつける自信がありません。どうしてもというのであれば、専門家に依頼すべきかと」

「そんな代物をどうしてファットマ領の領主様は僕に?」

「私に聞かれましても。ただ、依頼の報酬ということで受け取ったのなら、リョウマ様がそれ相応の仕事をしたと評価されたのでは? 一体、何をその領主様に提供したのですか」


 何って、真珠やあの貝のことは教えてないはずだし ……

 温泉掃除と料理そして毒魚の調理法について説明。


「なるほど。ファットマ伯は美食家として有名な方ですし、同好の士への顔は広いと聞きます。新しい食の情報はいち早く欲しいでしょうし、上手く事を運ぶ自信があるのでしょう。そのギョーザという料理を中心に良い経済の流れが生まれ、将来的に10年20年と領地が潤うようになれば……そう考えれば、この壷を贈ってきた事も納得もできますな」


 納得できるんだ……とりあえずこれは大切に、飾るなら専用の保管ケースでも用意しよう。


「では次、ここからはスライム製品です」

「新たなスライム製品、気になりますね」


 そしてまず出したのは、温泉でも使った酸性粘液。

 さらにその隣に糸巻きに巻いた()を並べる。


 すると明らかにセルジュさんの目が糸を捉えていた。


「こちらの酸性粘液はスティッキースライムの粘着液とアシッドスライムの酸を混ぜたもので、使用に注意が必要ですが酸に弱い汚れ、たとえばトイレの黄ばみ落としなどに使えます」

「それは一般家庭もそうですが、特に宿屋などに需要がありそうですな。あとは注意点と使いやすさ次第でしょう。ところで、こちらの糸は? スティッキースライムの糸とは明らかに違いますが」


 どうやらセルジュさん的には、酸性粘液よりこの糸の方が気になるらしい。


「これはつい先日、ファットマ領から帰ってくる途中に進化したスライムが作った糸なんです」

「ほほう、それはどのようなスライムでしょうか?」


 それはスティッキースライムが網を食べて進化したスライムで、“ファイバースライム”。

 名前からの推察だけど、厳密には網ではなく網を作っていた繊維が進化条件だったようだ。


 元はスティッキースライムの中でも特に糸吐きを得意とし、モーガン商会にも卸していた糸作りをよく任せていた個体だったし、そういうことも関係するんだろうか? 進化したことによる変化は、“繊維化”というスキルを新たに習得していたこと。


「この繊維化というスキルは体内に取り込んだ物質を一旦溶かし、糸状に形成して吐き出すようなんです」


 このスキルについて理解したとき、前世の“レーヨン”を思い出した。


 レーヨンとは植物の主成分であるセルロースをアルカリ性の薬剤などに溶かし、酸の中で紡糸する湿式紡糸という方法で作られる再生繊維で、絹に似せて作られたため人造絹糸、または人絹とも呼ばれていた繊維のこと。


 ファイバースライムの繊維化スキルは薬品などを使わないけれど、その工程はレーヨンの製造方法に近かったのだ。


 それに気づいてからは勢いのままに、ファイバースライムにセルロースを。さらに酸性粘液の製造過程でも気になる発見があり、試しにセルロースとしてフラッフスライムの綿毛を与え、スライム100%で完成したのがこの()


「名づけて“スライムレーヨン”です! いまのところファイバースライムが進化した1匹しかいないので大量生産はできませんが、材料はフラッフスライムの綿毛なので有り余っているくらいですし、必要になれば肥料を与えて増産もできるので、材料に困ることはありません。商品としてはいかがでしょうか?」

「これは素晴らしいですよ! この光沢、そして手触り。よくよく見れば絹糸とは少し違いますが、非常に近い繊維ですね。これを織ればさぞ美しい布ができるでしょう。また、それ自体の品質だけでなく、取り扱う側としては調達が容易であることも嬉しいですね」


 普通の絹は蚕の繭が原料だから、生産量や採れる時期が限られるし、増産も楽ではない。

 しかしスライムレーヨンなら、ファイバースライムに材料を与えればいつでも生産可能。

 生産量はファイバースライムを分裂で増やしていけば、やがて増えるだろう。

 材料に関しては先ほど言った通り、肥料があればいくらでも用意できる。


「これなら普通の絹製品はこれまで通り高級品として貴族のお客様に。スライムレーヨンは絹を模した“代用品”ということで、一般のお客様に向けた商品に。差別化ができそうですな」

「既に完成した競争の激しい市場に、新参者が入っていくのは難しいですからね」

「仰る通りです。それに、こちらはあくまでも“代用品”。向こうは“本物”と印象付けることができれば、貴族のお客様はこぞって本物を手に入れようとしますので、絹を扱う業者や生産者から敵視されることもないでしょう。

 一般に向けて販売するにはもっと生産力が必要ですが、そこは時間の問題のようですね。この一巻きは預からせていただいても?」

「はい、色々と調べていただければと」

「かしこまりました。今後の参考にさせていただきます」


 スライムレーヨンの話は大きくなりそうだ。

 しかし、俺にはもう1つ。最後の品がある。


「セルジュさん」

「どうやら、私も心してかからなければならない“何か”があるようですな」

「はい。これもスライムが進化して作れるようになったものなのですが、僕自身とても驚きました。僕がこれまで見せた中で、最も価値があると考えています」

「リョウマ様がそこまで仰るとは珍しい……覚悟はできました」


 以前、ブラッディースライムの血清の話をした時のような、 真剣な表情のセルジュさん。


 そんな覚悟をした彼の前に、今回の旅の最大の収穫? である、パールスライムに作ってもらった真珠を納めた小箱を出す。


 次の瞬間、


「ああ……」

「セルジュさん!?」


 貧血でも起こしたかのように、彼は座っていた椅子の背もたれに倒れ込んでしまった。

 手を前に出して、大丈夫だと言っているようなのだけれど……何かをぶつぶつ呟いている。

 何か計算をしているようで、セルジュさんが普通の状態に戻るのには、数分を要した。


「失礼いたしました」

「いえいえ、こちらこそ驚かせてしまったようで」

「そうですね。驚きました。驚きましたとも」


 それは当然だと言わんばかりに頷くセルジュさん。


「これはどう見ても真珠。これ1粒だけであればあれほど驚きはしませんが、リョウマ様はこれを“作れるようになった”と仰いましたね?」

「その通りです。先日、進化したスライムが真珠の体を持ち、真珠を作るスキルを持っていました。もちろん話す相手は選ぶ必要があると思ったので、この話をするのはセルジュさんが初めてです」

「それは良かった……本当に」

「ちなみに、真珠の相場はいかほどなのでしょうか? この国では取れないので、非常に高価ということしか知らないので」

「時価ですが、これ1つでも手に入れようと思えば、小白金貨は必要でしょう」


 小白金貨って、たしか1枚で100万とかいう超高額貨幣だったはず。


「そんなにですか」

「値を上げる理由は沢山あります。

 真珠を得るにはまず海で真珠を含む貝を採る必要がありますが、海にも魔獣はいますので、この作業が非常に危険であることがまず1つ。さらに採取した貝から真珠が見つかるのは、数万個から1個という確率の低さが1つ。そして得られた真珠は色も形も千差万別。宝石として使えるものはさらに少なくなり、さらに宝石として使える真珠の価値は上がる……とはいえ“原産国”ならまだ比較的安く手に入ります。

 この国のように真珠の採れない国は他にもありますから、買い付けをしたい商人が各国から原産国に訪れ、争い、関税や輸送費に護衛料など、もろもろの経費をかけて国に持ち帰ることになり、そこでまた値が跳ね上がるのですよ。当然ながら、仕入れに使った額よりも高く売れなければ損失になりますので。

 他にも真珠の相場はその年の漁の成果にも左右されますね。1つに小白金貨というのはほぼ下限と考えていただきたい」


 セ、セルジュさんがいつもより饒舌に。おまけに妙な迫力を感じる。

 それだけ貴重で大金になるということか……大金?


「それだけ高価なら……」

「リョウマ様?」

「……」


 ふと思いついた、と言うべきか、それとも閃いたと言うべきか。頭の中でバラバラだった事柄が、それも全く関係ない事柄までが思い出されては急速に繋がっていく。


「リョウマ様、どうなさいま――」

「セルジュさん」

「――はい」

「以前話した、ゴミ処理場の話を覚えていますか?」

「ゴミ処理場というと……ああ、スカベンジャースライムを街のゴミ処理に使うという話ですか。覚えていますが、それが何か?」

「実はファットマ領での仕事で滞在していた村で、毎日のように家庭から出るゴミをもらっていたんです。スカベンジャーの餌にもなりますし、生活様式が違えば出てくるゴミもこことは違って、先ほどのファイバースライムみたいに、スライムに新しい進化を促す物が見つかりました。

 また、それだけではなくて、1つの家庭で出るゴミは少量でも、村の全部の家庭から集めれば大量になり、それだけ早く進化もしたんです。ですからゴミを集めるということは僕にとって、とてもメリットの多い事だと考えています」

「は、はあ。確かに、リョウマ様にとってはそうかもしれませんな」

「そうなんです。ですから僕は僕のため、自分の趣味のためにゴミ処理場を作りたい。

 しかしそのためには、ゴミの処分はスカベンジャー達に任せるにしても、そのためのゴミを回収してくる人や、進化や実験のために必要なものがあった場合にゴミの中からそれを分ける人、働く人を管理する人など、多くの人手が必要になってきます。大半が汚い仕事になりますし、以前は働いてくれる人を見つけるのも大変だと思っていましたが……今なら?」

「! “仕事を求める人が街に溢れている状態”」

「その通りです。もっと言えば労働者を雇い放題、選び放題じゃないですか? 裏で糸を引く貴族にどのような思惑があって送り込まれてきたのかは知りませんが、ギムルに来た労働者の中には純粋に仕事を求めている人もいると思いますし、探せば有能な人もいるんじゃないでしょうか?

 また、いち早く職に就きたい、そういう焦りを抱いている人は職場に対する要求も下がるでしょう。そこにつけこんで不当に安い賃金や悪い環境で働かせる、というのはどうかと思いますが……向こうから要求を下げてくれるなら、雇う側としては得ではありませんか?」

「自己評価が無駄に高い方も時にはいますしね。言わんとすることは分かります」

「さらにこれです」


 俺は机に置かれた真珠の小箱を、再び手で示す。


「新しい事業を始めるにも、人を雇うにも、相応のお金が必要。もちろん事業で必要経費を賄えるようにするのが理想ですが」

「たとえ事業での収入がなくとも、この1粒をしかるべきところで売れば、当面は凌げるでしょうな」

「はい。それにやりたい事、やらなければならない事はまだまだあるんです」


 まず、今の街の状態を考えて店の守りを強化しなくてはならない。

 これまで通り、シュルス大樹海へ行く準備も必要だ。

 具体的には自分を鍛える時間も必要だし、万が一のために薬や治療の勉強をしておきたい。

 生活を楽にするための道具や保存食も研究したいし、もちろんスライムの研究もしたい。


 また、今後も増えるだろうスライムを養っていくために、公爵家で魔獣の餌に使われているとある魔獣のことを教えてもらっていたが、個人で飼うにはテイマーギルドで試験を受けて、飼育許可を取らないといけないらしいので、 そのための試験勉強も必要。


 現時点でもやってみたいこと、やらなければいけないことが多すぎて、スライム研究にも前ほど手が回っていない状態だ。さらにこれらも追加するとなると、完全にお手上げ状態になってしまう。


 全てやりきるまで待っていたら、シュルス大樹海に行けるのはいつになることか。もしくは準備の途中で向かうか? いや、中途半端な準備でというのはどうかと思ってしまう。


「ですが、前々から皆さん僕のことを心配して、言ってくださいましたよね。“1人で全部をやる必要はない”と」

「確かに、常々言っていましたが」

「まさに皆さんが仰っていた通り。スライム研究は自分でやりたいですが、例えば保存食の研究家とか道具作りだとか、そういうことは自分の代わりに作業をしてくれる人を探し、任せればいい! 違いますか?」

「……リョウマ様。仰っている事が間違っているとは思いませんが……それはつまり、労働者に仕事を与えたいということなのでは?」

「? まさか、そういうことは行政とか貴族とか、もっと偉い人達が考えてやることで、僕みたいな個人が考えることでも、やることでもないでしょう。

 僕はあくまでも自分のために、趣味のために、足りない時間を捻出するために、降って湧いたお金を使ってどうにかしよう、というだけのことですよ。全ては自分のためです。

 尤もその結果として、労働者に仕事が増えるのは事実だと思いますが」

「本当ですかな?」


 そう言って、じっと俺の顔を見てくるセルジュさん。

 どうしたんだろうか? なぜ俺はそんなに疑われているのか?

 疑問に思っていると、彼は1つため息を吐いて、何かに納得している様子。


「分かりました。ですが、様々な新事業もそうですが、特にゴミ処理場を新しく作るなら色々と根回しも必要になります。とりあえず商業ギルドでギルドマスターも交えて、もう少し細かい部分を詰めていくというのはいかがでしょうか?」

「! ありがとうございます! そうですね。それがいいと思います!」


 災い転じて福となす、と言えばいいのだろうか?

 考え方や見方を変えることで、悪い状況もチャンスに変えることができるかもしれない!

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱなぁ・・・どうせこうなるんだろうとは思ってた。結局のところ、個人でどうにか出来る領域はどんどんなくなっていってしまう。となると、どうしても、より巨大な事業展開が待つことになる。 つまり…
[気になる点] トイレの黄ばみ? ぼっとんトイレじゃなかった?
2021/08/02 07:27 退会済み
管理
[気になる点] この時代、黄ばみが気になるほど精巧な陶器の便器が一般に配備されてるのでしょうか? [一言] ついでに良くなるならええやん!っていう思考ではあるんだろうけど、ついでに良くする範囲がデカす…
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