プロローグ1
1人の男が何もない空間にポツンと佇んでいる。その顔はやや草臥れており、髪の毛には白髪が散見され、年齢はおよそ40代後半から50代に見えた。
しかしその頭部に反して首から下、おそらくは寝間着であろう無地のTシャツと腹回りが緩めの短パンから覗く体ははち切れんばかりに発達した筋肉で覆われており、鍛え抜かれた若々しい肉体である事を物語っている。
「ん……? ここ、どこだ?」
男が目を瞬かせて呟くと、男の前にどこからともなく3人の男女が現れる。
「気がついたかね?」
「意識はハッキリしているかい?」
「返事をしてくれるとありがたいわ」
「あ、はい、大丈夫です。突然のことで驚いてしまい、挨拶が遅れました。私、竹林竜馬と申します」
「よいよい、そう硬くならずに茶でも飲みなさい」
条件反射で行われた竜馬の挨拶を聞いた長い髭の老人が、柔和な笑顔を浮かべて地面と水平に手を振ると、瞬時にそこに無かったはずのちゃぶ台が現れ、人数分のお茶と座布団が用意されていた。
「ささ、とりあえず座って」
「ありがとうございます」
現れた3人の中の紅一点。若い女性は朗らかに笑いかけながら竜馬を促し、竜馬は一言礼を言って座布団に座る。同じように老人が竜馬の正面へ、女性が右へ、そして最後の一人である少年が左の座布団へ。
ちゃぶ台の四方を囲んだ彼らは用意されたお茶を飲み始め、それに続いて竜馬もお茶を一口だけ飲んでから問いかけた。
「すみません、幾つか聞かせて頂きたいことがあるのですが、質問をしてもよろしいでしょうか?」
「もちろんじゃ。儂らはそのために今ここに居る。じゃが、君の聞きたい事は大体予想が付く。まずは儂らの話を聞いてくれんかのぅ? その中で君の聞きたい事も分かるじゃろう」
「分かりました、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げた竜馬を見て、ガインと名乗った老人は一度頷くと、今の状況を端的に説明した。
「うむ。儂らは人間が言う所の“神”じゃ。儂が創造神であるガイン、君から見て右側の女性が愛の女神ルルティア。そして左の少年が生命の神であるクフォじゃ。儂らは君の生きていた地球とは異なる世界からここにきている。
そして君は残念ながら昨夜、寝ている間に息を引き取った。そして死後の魂となった君を儂らが連れてきたんじゃ。ここ、いわゆる天界にのぅ」
「なるほど、そういう事でしたか」
竜馬はそう言って納得したように頷き、お茶をもう一口飲む。その反応に3人の神が困惑する。特に驚いているのは少年の姿をした神、クフォだ。
「え、ちょ、それだけ!? もう少し嘘だ! とか、なんで僕が死んだの! とか言わないの?」
「今まで来た者達はもう少し取り乱したものじゃがのぅ……」
「いえ、驚いてはいますし、現実味が無いとも思っていますよ。ただ夢なら時間が過ぎれば目覚めるだけですし、本当でも人は何時か死ぬものです。……なにより私の仕事、といいますか、私の会社は仕事が厳しくてですね……体を壊して退職する同僚や新入社員が多かったので、私も早死にするとは思っていました。むしろ39、数えで40になる今までよく体がもったと思います。
それから私には年甲斐も無くゲームや漫画といったオタク趣味がありまして、こういう話は大好きです。家族や親戚も居ませんでしたし、灰になるよりはよっぽど嬉しい」
心の底から満足そうに話す竜馬だったが、神々の戸惑いが消える事はなかった。
「そ、そうなの? 人間ってそんな考え方する? 君、微妙に悟りとか開いてない?」
「それに趣味は関係無いと思うわ。あなたと同じ趣味を持つ人も何人かいたけど、彼らの方はむしろ大興奮していたわよ? 話を聞いてくれなくて困っちゃったわ……悲観的じゃないだけ大分マシだけどね」
「まぁ、こちらとしては納得させる時間と手間が省けて助かるが……話す内容が急に減ってしもうたな……他に聞きたいことはあるかの?」
そう問われた竜馬は、少し考えてからゆっくりと口を開いた。
「それでは……私はどうして死んだのでしょうか?」
「ん? まずそれかの?」
「はい。何時死んでもおかしくないとは思っていますが、死んだ記憶が無いもので」
「まぁ、あの死に方だと憶えてるわけがないわよね」
「君の死因は頭を打ったことによる脳内出血だよ」
「え!? ……憶えている限り、私は部屋で寝ようとしていたはずなんですが」
「ええ、ちゃんと寝ていたわ。その寝ている時に貴方がクシャミをしたのよ、何度も」
「4回じゃったな。クシャミをするごとに枕がズレ、最後に床に頭を打ち付けたんじゃ。お主の布団、安物のうっすいやつじゃったから、あまりクッションにはならんでのぅ……」
「目が覚めるほどじゃなかったんだけど、それがきっかけで脳内の血管が幾つか切れてね。それで夜が明けるまでに出血で脳が圧迫されて、ご臨終」
それを聞いた竜馬は俯き、言葉を反芻すると、突然苦渋に顔をゆがめて言葉を搾り出す。
「納得できない……何でそんな死に方を」
「「「?」」」
「酔った上司のビール瓶も、オヤジ狩りの鉄パイプだって平気だった、親父のしごきで頭を殴られたことなんて数え切れない。なのに、何でクシャミなんかで!」
竜馬は突然周りが見えなくなったように悔しさや怒りといった荒々しい感情を露にし始めるが、これについて神々は分かっていたという様子でただ観察する。
「あー、これは、きたね」
「死んだ事や私たちの事に取り乱さないで、こんなところで取り乱すなんて変わった子ねぇ」
「どうやら自分の体の強さには密かなプライドがあったようじゃの。幼少期には父親に強制的に武術を叩き込まれ、死ぬ前まで日課として鍛えていたらしいから……クフォ、ルルティア」
「なーに?」
「何か問題?」
「問題かどうかは分からんが、彼について気になることができた。彼が落ち着くまでの間、手伝って欲しい」
ガインの表情が竜馬と話していた時とは一転して険しくなり、それを受けた2柱の神々も何かを察すると、彼らは頭を抱えて周りの音が聞こえないほどに落ち込んでいる竜馬へ目を向けながら人には聞こえない言葉で話を始めた。
「ふぅ……っと、いかん。すみません、一人で」
しばらく後、竜馬がある程度落ち着きを取り戻して顔を上げると、そこには落ち込む前と変わらぬ姿でお茶を飲む神々の姿があった。
「いいのよ、私たちは基本的に暇だし、向こうの世界も余裕があるうちに竜馬君を連れに来たから時間はあるわ。それに、ここに来た人が取り乱すなんて珍しいことじゃないの。
人間の魂は本来肉体とセットであるもの。だから神の力で維持していても、そもそもが不安定で感情が暴走しやすいのよ。私たちにとっては驚くことでもないし、貴方も気にしないで」
「神界は時間の感覚が曖昧だし、魂には空腹も渇きも無い。目覚めてから落ち着いて話を始めるまでに4年位かかるのも珍しくないからね」
「4年!?」
老人の神にクフォと呼ばれていた少年の様に見える神の言葉に驚きを隠せない竜馬であったが、神々にとってはよくある事だった。
「本人が冷静さを取り戻すか、儂らがどの時点で落ち着かせにかかるかにもよるが、現実逃避に入ると話を聞いて貰えないのである程度は放置する。下手に落ち着かせようとして警戒されると面倒じゃからな。他にも話の最中ことあるごとに取り乱す者もおる。それが落ち着くのを待っていれば4年位はすぐに過ぎてしまう。そういうわけで、竜馬君が気にする必要はないんじゃよ。
それよりも、落ち着いたのなら話の続きをしようと思うのじゃが、良いかの?」
「はい、お願いします」
竜馬の答えにガインがまた一度頷いた。
「うむ。では、何故君をここに呼んだのかを説明するが……こう言えば一言で分かるかの? “テンプレ”じゃ」
「なるほど、異世界行きですね。転移ですか? それとももう死んでいるから転生ですか?」
「本当に話が早いわね……」
ルルティアが表情と言葉に浮かべた若干の呆れを意に介さず、竜馬は説明を受ける。
「一応は転移という形になるのぅ。儂らの世界で、儂が作った体に入って貰うから親や親族はおらん」
「向こうの体はかなり若返るから、転生と言えるかもしれないけどね。姿形も希望があればある程度弄れるし」
「具体的にどのくらいの年齢になるのでしょうか?」
「大体10歳以前じゃの、それくらいの歳であれば森などに迷い込んでいたとしてもかなり運が良ければ助かる可能性がある。子供ならその分怪しまれずに済むからそうして街に行き、生活を始めると良いぞ。当然、できるだけの保護はしよう。
身分は平民の孤児となるが、最初に送る場所は割と身分差に寛容な国を選んである。普通に生活をする分には不都合はあるまい」
「ありがとうございます。姿は向こうの世界でおかしくない様にお願いします。ところで、私はこれから行く異世界で何をすれば良いのでしょうか? 使命などはありますか?」
「う~ん……あることはあるけど、異世界に行った時点で終わるの。だから実質的には無いわね。強いて言えば、貴方が私たちの世界に行く事が使命になるわ」
「僕らの目的は君を異世界に送ると同時に、地球の魔力を魔力が枯渇しかけている僕らの世界に送る事なのさ」
竜馬はそれを聞いて納得すると同時に、新たな疑問が浮かぶ。
「魔力だけでは送れないのですか?」
「うん。分かりやすく言うと、世界と世界の間には壁があってね。魔力は本来世界の壁を越えられないんだけど、僕らの力で穴を開ければ魔力を移せる。ただ、これが僕ら神にとっても重労働なんだよ。穴の維持にも力が必要で、必要な量を移し終える前に僕らが力尽きちゃう。
そこで、君の出番! といってもその時意識は無いんだけど、神の力で保護した君の魂を壁の中に押し込んで つっかえ棒の代わりにする。そうすれば少しの間だけど穴が維持できるんだ。その間に僕らが地球の魔力を移すわけさ」
「私たちの世界は魔法が発達しているから、魔力が枯渇すると魔法に頼って生活している人類が困るのは勿論、魔力を餌にする魔獣は絶滅するし、魔獣が居る事で食物連鎖が成立していた自然のバランスが崩壊するの。
それに対して地球には魔力はあっても使われてないし、魔獣も居ない。なくなっても困らないから譲ってもらっているのよ」
「なるほど……特に魔力を枯渇させている原因が無いのならばですが、消費に生産が追いつかない感じでしょうか?」
「まさにその通りよ。色々と理由はあるんだけど、特に人間。魔法が便利なのは分かるし、色々研究されて発展もしたけど、どんどん消費量が増えちゃってね……」
「魔力の消費を抑えるのは少々難しい。さらに体内の魔力を使いすぎると体調を崩す。周りから集める方がよっぽど楽に魔法を使えるんじゃよ。嘆かわしい事じゃ」
神々が魔法と人間に対して愚痴をこぼす中、竜馬は一人心を躍らせている。
「その……魔法ですが、私にも使えるでしょうか?」
「使えるぞぃ」
「使えるよ」
「使えるわよ」
「本当ですか! っと、失礼しました」
「よいよい。で、魔法じゃったな。転移後の肉体は向こうの人間と同じとなる、よって向こうの人間が使える魔法ならば、当然訓練次第で使えるぞ」
「それに、さっき言った通り世界を渡る時には神の力で保護するから、その時に多少力を君にあげられる。才能が無くても底上げしてそれなりに使えるようには出来るから、君が楽しめる程度には魔法が使えるよ。世界一の才能とか言われるとちょっと難しいけどね」
微笑ましいものを見る目を向けられた竜馬は、僅かな恥ずかしさを感じながらも魔法が使えることは嬉しいと答えた。
「ならば、与える力は魔法系……とりあえず基本となる“属性魔法”は全属性を使えるようにしておこう」
「あの……それ、目立ちませんか?」
竜馬のその言葉を聞くと3神はニヤリと笑った。
「それ、ここに来た人はよく言うんだよね~、特にラノベってのをよく読む人は絶対」
「私たちの世界でも全属性持ちは珍しいけど、取り立てて騒ぐ程の事ではないのよ」
「そうなんですか?」
「うむ。生まれつき適性を持つ者もそれなりにおるし、やろうと思えば訓練で誰でも全属性の魔法を使えるようになる。国の騎士団なら生まれつきが10から20人位は居るじゃろう。
おまけに全属性持ちは使える属性は多いが、満遍なく訓練すると1つ1つの上達が遅くなってしまう。1つ1つの魔法が未熟な全属性持ちの魔法使いと1つの属性しか使えないが強力な魔法を放てる魔法使いでは後者が重宝されるぞぃ」
「器用貧乏になりやすい、と……」
「いかにも」
「そんな訳で、悪い事は無いし、魔法を使って楽しみたい竜馬君にはぴったりじゃないかしら?」
「……そうですね、では全属性をお願いします」
「わかった、しかしまだ余裕があるが、残りはどうする?」
それから竜馬と神々は、力について心行くまで、時間をかけて話し合った。
「――よし、これで何とか限界まで詰め込める。しかし、魔法ばかりになってしまったが、本当に良いのじゃな? 生前に身につけた武術で護身は十分可能じゃろうが、使える魔法の種類を多くする分、すぐに強い魔法は使えんぞ?」
「生きる事に問題が無ければ、全て先ほど決めた通りにお願いします」
「判った。竜馬君の意思が変わらんのならそれが一番じゃろう。では最後に、これじゃ」
竜馬の固い意思を汲み取ったガインは、どこからともなく木の板に乗った一枚の羊皮紙と羽ペンを取り出して竜馬に差し出す。その羊皮紙にはこれまでに話し合った事の要点が細かく記載されており、右下に名前を記入する空欄が用意されている。
「死んだ後で契約書を書くことになるとは……」
「あら、嫌だったかしら?」
「嫌ではないです。ただ、少し意外だったもので」
「まぁ、別に契約書にする必要ないしね」
「え?」
自分の何気ない言葉を聞きつけたルルティアとクフォの発言で、羽ペンに伸ばした手が止まる。
「これってただの最終確認だから。竜馬君はこっちの事情や君の置かれた状況を確認して、こっちは説明義務を果たして君が理解したかを確認する。で、最後の竜馬君のサインは同意の意思を確認するだけ。だから確認さえできれば口頭でもいいんだよ」
「そうなんですか?」
「人を見て変えているわ。もっと若い子の場合は契約書より口頭のほうが楽だったりするのよ」
その答えを聞いた竜馬は契約書の内容に集中し、読み終わると納得の上で契約書にサインをした。
――その瞬間、竜馬の体を淡い光が包み込む。
「っ!?」
「落ち着いて。それは準備が始まった証拠だから、害はないわ」
「残念だけど決まりでね。説明して決める事を決めたら、そう時間を待たずに向こうに行く事になるのよ」
「嫌な奴程長く居座るのに、なぜ気に入った奴はすぐに出立の準備が整うのじゃろうな……」
その言葉と様子で竜馬が別れの時が来たことを理解した。
「そうですか……名残惜しいです。このご恩は一生忘れません」
「気にするな。お主の人生じゃ、好きに生きよ。まずは出来るだけ安全な森に送ってやるから、安心じゃよ」
「私たちはずっと見守ってるからね。最後だし、わがまま言っても良いのよ?」
「口調もそんなに丁寧じゃなくていいし」
「最後くらいは素を出さぬか?」
「……そうで……そうだな。ありがとう。やっぱり形だけ、上辺を取り繕ってもバレるか」
「わしらは神じゃからな、気づいて当然じゃよ。おまけに取り乱したときは口調が違っておったしのぅ」
「最初っからそれでも別に良かったのに~」
「神様にいきなりタメ口聞くわけにもいかないだろ……」
「度が過ぎれば不快だけど、竜馬君は大丈夫よ。それに、私の心は広いんだから。なんと言っても女神ですもの」
「そうか」
「向こうに行ってからの活動方針はあるのかの?」
「心配事があるなら、吐き出しちゃいなさい」
「聞いてあげるよ~?」
そう言われた竜馬は少し考えるそぶりを見せたが、さほど間は開かずに自然に言葉が出てくる。
「そうだな……対人関係だな。39年の人生を送ったけど、人付き合いはあまり上手くなかった。異世界に行っても俺は俺だ、異世界に行ってそれが変わるとは思えない。……正直、人付き合いには疲れた、いっそ隠居でもしようかとも思ったが……」
「そうしたいならするといい。それも人生じゃ」
「それと同時に、異世界を歩かないのも勿体無いとも思ってるんだよ。どうすっかねぇ……」
「なら、しばらく隠居して考えつつ、気が向いたら旅に出れば?」
それで良いのかと竜馬が問う。
「どのみち向こうの世界で最初に着くのは森だよ。突然街中に転移したら大騒ぎになるかもしれないし。だから、その森にしばらく住んで、そのあと街に行けばいいじゃない。どうせ魔法とかの実験もするんでしょ?」
「あー……確かに」
「ゆっくりでいいさ。君は真面目に与えられた選択肢は全部やろうとするみたいだけど、1つずつ、気の向くままでいいんだから。最終的に全部出来なくても良いのさ」
「あなたは一度死んでるのよ? それこそ本当に生まれ変わるの。前の人生とは違う、自分の好きなように生きていいじゃない。特に向こうに行った直後は子供よ? 身を守ること以外は考えずにパーっと遊ぶくらいでちょうどいいのよ。
私たちが与えた力も貴方の立派な力になるんだから、魔法の練習でも楽しみなさい。あ、でも向こうに行ってすぐに全部は使えないけど、 地球の知識があれば飲み込みは早いはずだから、焦らないでね? 制御を重視すると良いわよ」
「うむ、それがよかろう。万一盗賊が居っても、お主ならそこらの盗賊団に遅れを取ることはまず無かろうて」
「……気楽に、気の向くままに、か。……なら、森で生活できそうならしばらく森に篭っていよう。少しばかり気が楽になったよ、ありがとう」
「もし街に行くようになったら、こまめに教会に足を運ぶといいよ。僕たちと会う事はできないけど、神託のスキルを手に入れれば極短時間の会話は出来るようになる可能性があるから。Lvが高いほど長く、頻繁に話せるようになるよ」
「了解、街に行ったら忘れずに行く。何時になるかは分からないが、必ず教会には行くと約束する」
「うん、待ってるよ。その時は話し相手になって貰うからね」
「儂らも暇じゃしの、ほっほっほ」
そうガインが笑ったと同時に、竜馬の体を光の粒子が包み始めた。
「……時間みたいだな」
光は徐々に強くなり、竜馬の視界が遮られていく。
「……どうやら準備が整ったようじゃな」
「時間だよ」
「元気で、楽しくやっていくのよ?」
「ああ、わかった……本当に、本当にありがとうございました!!」
「うむ! ではゆくぞ! いざ、新しき世界への道を開かん!」
「あなたに我らの祝福を!」
「次の旅路に光あれ!」
「「「新たな生を楽しみなさい!」」」
その直後、竜馬は一際強い光に飲まれた。
そしてその光が消えたとき、竜馬だけでなく神々もその場から姿を消していた。