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プライベートビーチに行こう はじめ

すっかり海の季節となりました。

鬱陶しい雨の季節は過ぎ去り、日差しが照りつける真夏へと世界は変貌を遂げます。

僕の乙女ゲー攻略も親友キャラの女筒さんの強力なバックアップにより順調に進み、既に幼馴染さんとアクトくんは親友レベルで仲良くなって一緒に公園で遊んだりする仲です。

彼らがいたのは決まって通学路の寂れた公園とか、河原にいるので攻略は容易かったのも要因の一つを言えるでしょう。

ゲーム内容をノートに書いていたことも幸いして、特に地雷を踏むことなく友好的な関係を築き上げました。

後は街中を気まぐれに歩く猿治先輩とカフェによくいる後輩くん、後は夜遊び盛んな俺様勘違い超ウザ男ですので出来ればお近づきになりたくないのですが。


捨て猫の為にコンビニでキャットフードを買い、路地裏でこっそり餌やりするアクトくんの後ろ姿とか。

何も考えていないようで実はとても気遣いさんで、一人でいる時は表情の抜けた顔をする幼馴染さんの丸くなった背中とか。

ギャップ萌えと言いますか、こう二面性を感じさせる二人なので僕はとっても好きなんですけど。

ですが他の3人はアクが強すぎるというか、(一人は優しい笑顔の裏に腹黒い本性を隠しているのです。)僕が積極的に友達になりたいタイプではない。

出来るなら遠慮したい人種の方達なのですが、そうもいかないでしょうね。

時を見て彼らの攻略もやっていくこととしましょうか。全く気は進みませんけど。



「おーいいあわせ!そんなとこで突っ立ってねぇで、早く海で泳いじまおうぜ!」


「こらしずちゃん!あーちゃんはこちらで私とお砂遊びをするのです。海で泳ぐなんて許しませんから!」



二人の声がどこか遠くに聞こえて、僕は目を開ける。

ここは夜角目家が所持しているプライベートビーチ。有体に言えばグレートスさんのお金で買った無人島に僕たちは来ていました。

僕たち以外の人は誰も居なくて、目の前に広がるビーチの全てが自分たちの物。

混じりけのない白砂、どこまでも続く青く澄んだ海が心躍らせます。

白スクール水着のしずくと一枚上に羽織ってフリル付の水着を下に着たひかり。

僕はと言えば青ストライプ柄のビキニです。一見すると下着にしか見えませんこの水着が今は憎い。



「天候もいいですし、絶好の海日和ですわね。合ちゃん」



ヤシの木の下で一人パラソルを広げて、優雅に海を満喫しているグレートスさん。

真っ赤なパレオが目に痛い。傍には黒ビキニを着た家令さんが佇んでいました。


今は夏休み真っ盛り、皆海よ山よと計画を立てる中グレートスさんの一声で、プライベートビーチに遊びに来ることとなりました。

この後の日程も夏祭りや山でキャンプなんかを計画しているようです。

僕の夏休みは乙女ゲー攻略にはどうも使えないみたい。予定が目白押しである8月を思い、自分の生死がかかっているというのに少しだけ心が躍ったのは、内緒です。



「…えぇこれもみんなグレートスさんのおかげですね。あっちの二人も楽しそうです。」



ひかりは重度の精神疾患を患っており、水に入ることは禁忌とされいるが足が届く位置で友人と戯れることくらいはできるようだ。

二人がはしゃぎ、水の掛け合いをする姿は見ていて非常に微笑ましい。

ついつい目を細めて、その光景を脳内に永久保存するように焼き付ける。

それはグレートスさんも同じようにその光景を見ていることでしょう。しばし無言のまま二人が和気藹々とする姿を眺めていました。



「…さて私達も遊ぶましょうか。折角海に来たのですから、遊ばなくては損ですよね。」



そして思い出したかのようにグレートスさんは、家令さんが引いたマットに下向きに寝て、僕に一つのボトルを手渡した。



「オイルを塗ってくださいませ。日焼けしたら敵いませんから、お願いしますよ合ちゃん。」



マットに胸を押し当てて、背中を無防備にも曝け出す。

大きな胸は押し当てた所為で潰れ、はみ出した横乳が限りない色香を感じさせる。

僕を待つグレートスさんは何処か楽しげに鼻歌でも歌うが、僕の心情は大変穏やかなものではない。

元々僕は男性であり、やはり性の対象は女性なわけで。でも今はしがない一人の少女であり、何も問題はないはずだ。

問題など起こるはずもない、僕とグレートスさんの仲にふしだらなものは今のところ一切存在しない。

僕はグレートスさんに感謝しているし、ここまでしてくれるのは世界中でこの人だけだろうとも思う。

信頼の証というわけである。無防備に背中を晒すのも僕を心から信頼した結果。

性的な意味など含まれているはずもない。



「…どうしたんですか?私が終わったら、勿論合ちゃんにもしてあげますよ。紫外線は女性の大敵ですからね。」



ほら見ろ。女性同士なのだし、グレートスさんも何も感じるものはないのだ。さっさと終わらせてしまおう。

僕は受け取った容器から少量のオイルを絞り出し、両手に馴染ませる。

妙に白濁とした液だこと、しかも粘々していて気持ち悪い。

僕は意を決して、グレートスさんのくっきりとしたボディラインの真ん中目掛けて両手をつく。

すると小さく漏れる声の、何と艶やかであろうか。それ以上手を動かすことをためらわせるには十分で、でもこのまま終わりにもしたくなくて。

無心を偽り、目を外に向けながら体の隅々までオイルを塗りこんだ。

横目でちらりと見たグレートスさんには苦悶の表情が浮かんでいる。ぎこちない手先に、機嫌を損ねたのかと内心怯えていると―――



「…ふっまさかここまでとは。拙い動きがくすぐったくて、気持ちいい。ありがとうございます合ちゃん、今度は私の番ですね。」



如何やら好評のようで、安心をしました。ですが何やら嫌な予感しません。

僕はすぐに逃げられるよう、体勢を整えるに至りました。



「…いっいえ。やっぱりいいです、僕家から出る前にクリーム塗ってきましたから。」


「何を遠慮してますか。私が、塗りたくってあげましょう。勿論体の隅から隅まで、ね。」



逃げましょう。嫌な予感的中、絶対に確実に人をダメにする目をグレートスさんはしていました。



「逃げられませんよ。合ちゃんは私に、オイルを塗られる運命にあるのです。」



ガッチリと僕は捕まえられてしまいました。

いつの間にか背後を取った家令さんに両腕を拘束され、その場に立って居るしか道はありません。

僕のビキニでは隠し切れないお臍辺りにグレートスさんは手を当てます。

思わず自分でもおかしいぐらいの悲鳴が小さくなりました。お腹がむずむずして、居ても立っても居られません。

そのまま僕は位置を変えられ、先程までグレートスさんが横になっていたマットに押し倒されてしまいました。



「大丈夫、痛くないですよ。寧ろひんやりしていてとっても気持ちいい。怖くありません、いつものように合ちゃんは身を任せればいいのです。」



それからのことは実はよく覚えていません。

何やらひんやりと冷たいものが体に触れたと思いましたら、そのまま記憶が飛んでしまっていたのです。

不思議なこともあるのですね。そして意識を取り戻した際横たわるマットが少し臭かったのは、気のせいだったと思いたい。



「とても良い光景でありました。ご馳走様です。」



なんて家令さんが言っているのが聞こえなければ、僕の精神はここまで乱さなかったのに。

無神経な家令さんを少々憎みながら、僕は先程まで行われていた行為を思い、顔を赤くするに至ったのでした。

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