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お前だけ  作者: snowman
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6ページ目

 俺はまた現実を生きていかなくてはならない。

しっかりと金を稼ぎ、家族を養い、休日には家族サービスを・・・

以前みのりにもこんな話をしたな。。。

だからかな、アイツが頑なにバイクはやめないで欲しいと言ってきたのは。


 今頃アイツは元気にやってるのだろうか・・・


 彼氏出来たかもな・・・


 最近店に入ったお気に入りのホールの女の子、そういえば笑顔が少しアイツに似てる。

それでもやっぱりみのりには敵わない。

気取ってない、あのクシャっと笑う人懐っこい笑顔。

見てるこっちも笑ってしまう程だった。

会いてぇな・・・


 

 これから時が過ぎるままに生きて行くのだろうか。

時間なんて残酷なもんだ。

最後に言葉を交わして6ヶ月。

案外平穏に過ぎてきた。

暮れの忘年会でお気に入りの子が隣に座って、なんか無性に淋しくて・虚しくなって、バカみたいに飲んだくれて倒れた以外は…

俺の隣にアイツが座ることは無いという事実が突きつけられた気がした。



 もう冬も終わり始める。


 俺ももうすぐ歳を重ねる。


 そんな時だ。

みのりから突然電話を貰った。

「もしもし?ミノリかぁ〜どした?」

平然を装って、出来るだけ明るめに出た。

「お久しぶりです。あのですね...今のバイト先で社員になることが決まって、高井さんにはちゃんと報告したくて。。」

緊張しているのか、少し声が畏まっていた。


 そして、小さな期待を打ち砕かれた気がした。

半年間、いつかアイツが俺のところに戻ってくるんじゃないかと期待していたのだ。

この電話も、「やっぱり高井さんと一緒に仕事したいです」なんて言ってくれるんじゃないかと思っていた。

「そっかぁ…おめでとぉ。じゃあ今度飲みにでも行くか」

このまま切ってしまいたくなかった。

また連絡がくるなんて確証はない。


 俺とアイツの間に、小さな約束を・・・


 もう一度だけでいいからあの笑顔を見せてくれないだろうか・・・


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