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仕事の帰り。
みのりに連絡を取ろうと携帯を取り出した。
仕事終わりで皆と飲んでいる時に、少し酔っ払ったみのりに聞かれていた。
「高井しゃん。。携帯の番号教えてください」
だいぶ呂律が可笑しくなっていて可愛かったのを憶えている。
思い出してまた苦しくなって、今どうしているのか・・・
俺のことなど忘れただろうか・・・
それでも俺は勝手に消えたアイツが許せない。
「・・・もしもし。」
何コール目かで出た。
声だけでも戸惑っているのが受け取れる。
「もしもし?俺だけど。お前辞めたってどういうことだよ!」
抑えが利かない。
俺の存在をみのりに判らせたくて。
「いやぁ〜…ちょっと病気になって。限界が来てしまいました…」
最後に会った時の、顔色が悪かったみのりを思い出す。
「お前なんで一番に俺に言わないわけ?」
俺はお前の一番の存在なんじゃないのか。
俺を忘れる気なのか・・・
「だって高井さん。事故で大変だったし・・・」
そうだった。
コイツは自分のことより人のことを考え過ぎる。
「あのなぁ〜言ってくれてれば、俺が主任のところに行ってお前をくれって頼みに行ったのに。。
俺はお前ともっと一緒に仕事したかったんだよ!それをよ・・・黙って消えるなよ…」
本当に悔しい。
辞める時に俺に言ってくれていれば・・・
丁度俺の下で働いていたスタッフが辞めた時だった。
みのりをちゃんと自分の下で働かせることが出来たのに。
「私も、もっと高井さんと仕事したかったです」
電話越しでも分かる。
本心で言ってくれていることが…
遅かった。。
すべてが遅すぎて、時間を戻すことが出来たなら・・・
俺はアイツの隣に居続けることが出来るのに。。。
こうなることが正しかったのか?
そう仕向けたのは神様って奴か?
さぞかし面白がってるんだろうな。。。
こんなオッサンが15も下の娘に恋焦がれてる姿を...




