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お前だけ  作者: snowman
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5ページ目


 仕事の帰り。

みのりに連絡を取ろうと携帯を取り出した。

仕事終わりで皆と飲んでいる時に、少し酔っ払ったみのりに聞かれていた。

「高井しゃん。。携帯の番号教えてください」

だいぶ呂律が可笑しくなっていて可愛かったのを憶えている。



思い出してまた苦しくなって、今どうしているのか・・・



俺のことなど忘れただろうか・・・



それでも俺は勝手に消えたアイツが許せない。


「・・・もしもし。」

何コール目かで出た。

声だけでも戸惑っているのが受け取れる。

「もしもし?俺だけど。お前辞めたってどういうことだよ!」

抑えが利かない。

俺の存在をみのりに判らせたくて。

「いやぁ〜…ちょっと病気になって。限界が来てしまいました…」

最後に会った時の、顔色が悪かったみのりを思い出す。

「お前なんで一番に俺に言わないわけ?」

俺はお前の一番の存在なんじゃないのか。

俺を忘れる気なのか・・・


「だって高井さん。事故で大変だったし・・・」

そうだった。

コイツは自分のことより人のことを考え過ぎる。


「あのなぁ〜言ってくれてれば、俺が主任のところに行ってお前をくれって頼みに行ったのに。。

俺はお前ともっと一緒に仕事したかったんだよ!それをよ・・・黙って消えるなよ…」


本当に悔しい。


辞める時に俺に言ってくれていれば・・・

丁度俺の下で働いていたスタッフが辞めた時だった。

みのりをちゃんと自分の下で働かせることが出来たのに。

「私も、もっと高井さんと仕事したかったです」

電話越しでも分かる。

本心で言ってくれていることが…

遅かった。。

すべてが遅すぎて、時間を戻すことが出来たなら・・・

俺はアイツの隣に居続けることが出来るのに。。。



 こうなることが正しかったのか?


 そう仕向けたのは神様って奴か?


 さぞかし面白がってるんだろうな。。。


 こんなオッサンが15も下の娘に恋焦がれてる姿を...

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